多量のシェールガスや同オイルがフラッキングによって採掘されているアメリカのノースダコダの小さな町ウィリストン(Williston).住民たちの暮らしは,その影響を受け過去数年間で大きく変わりました.今や,ニューヨークよりも高いと言われる土地代の値上がり,犯罪の増加等.現代のゴールドラッシュがアメリカの一地方都市に及ぼした影響のシュピーゲルのビデオリポートです.
これを視ると,今や,ロシアへのエネルギー依存から自前のシェールガスやシェールオイルを採掘することで抜け出したいヨーロッパですが,フラッキングを用いることの環境への影響はもとより,採掘事業全体が地元住民の暮らしに及ぼす様々な影響を十分に考慮する必要がありそうです.Cf. NZZ4月18日付"Europas Energieabhängigkeit von Russland Zähflüssige Erdgasmärkte")現在,欧米,そしてもちろん日本でもより環境負荷の少ない採掘方法が研究されていますが,いずれも実用化までもう暫く時間がかかるようです.(例えば,フランス,ポー大学などで研究が進められているElectric Fracturingなど.)
なお,すでに昨年8月29日付シュピーゲルの"Massensterben seltener Fische: Fracking-Substanzen verschmutzen See”でも取り上げられていましたが,アメリカ政府によるフラッキング工法の環境への影響のリポートも公開されています.(特に,河川のpH度が上がったためと思われる絶滅危惧種も含む多数の魚の死などが報告されています.)
ところで,以前のポストでもご紹介しましたが,アメリカのEIAの報告によると,中国にも多量のシェールガスや同オイルを埋蔵されていますが,Die Weltの2013年2月15日付"Fracking wird geopolitische Schicksalsfrage"は,もし中国がそれらを賢く用いるならば,現在のアジアにおける緊張は相当和らぐと見ています.もちろん,逆にそれらを用いて世界の覇権を目指す道を選ぶことも十分あり得ますが.ただ,懸念されるのは,もし中国が現行のフラッキング工法を用いた場合の環境汚染の悪化です.中国では,すでに水質汚染がしばしば問題となっているのはよく知られていますが,東南アジアの貴重な水源となっている大河川は殆ど全てが中国を経由しているため,それらが汚染されたら中国一国の問題に留まらずにアジア全体の生活環境の破壊を引き起こすことになります.(Cf. 本ブログの『水を巡るアジア危機』)
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