Saturday, 21 July 2018

山と海のラビリンスとしての三陸と来年3月の営業再開を待つ吉里吉里駅と船越の八幡神社 (2018年7月22日更新)

山田線の釜石,宮古間(運行が再開される来年の3月23日以降は三陸鉄道リアス線の一部)の現状が見たくなり,吉里吉里駅を訪れました.


深山幽谷の間を縫って走る国道45号線の間から垣間見える断崖の岩肌.三陸は山と海とが形成するラビリンスなのです.(森林浴ももちろん可)
高台にある吉里吉里駅.



試験運転は未だのようです.なお,枕木は,木製とコンクリート製のハイブリッド.
帰る途中に寄った船越で見かけた素敵な蔵.


船越漁港にいるたくさんのお腹を空かしたカモメくんたち.10mくらい近づくと,飛び立たずに,全員で後方に移動します.
漁師さんたちの明るい笑い声が響く,穏やかな漁港の午後.
漁港を見下ろす八幡神社.船越地区の避難場所に指定されています.
お社は,もちろん無傷.境内の石碑に延享元年と記してあったので,建立,あるいは移設は貞観,慶長地震の後の時代かも知れません.
震災で倒壊したため,再建されたと思われる鳥居.
この神社も,津波遡上限界ラインのぎりぎり手前のところに位置しています.(赤丸の中央) (国土地理院提供浸水範囲概況図より)

この船越のある山田町では,多くの方が津波の犠牲になりましたが,それは山田湾の形状が津波のアッテネーター,あるいはバッファーとして機能するという経験則への多くの住民の過信によるものでした.山田湾に津波が押し寄せた後,この船越湾に押し寄せた津波が半島の短いくびれを乗り越えて山田湾へなだれこみ,それによって被害がさらに大きくなりました.(Cf. 『「津波に強い」過信あだ』, 2011年4月17日付河北新報)

最後に,ラビリンスと言えば,現在,各地で防潮堤の建設が続いている沿岸の道路も,あちこちが通行止めにされ,まさにラビリンス状態.実際,帰りの途で,船越まで下りたのはよかったのですが,戻ってくるのに,どの道を走ればよいか判らなくなってしまいました.日本狭しと雖も,三陸地方程,カーナビゲーションシステムが機能しない場所も他にあまりないと思える程,この文明の利器も役に立ちません.そこで,たまたま通りかかった白髪白髭の紳士に国道への戻り方を伺うと,それはお困りでしょうと笑顔で応じてくださり,丁寧に教えてくださいました.後で,八幡神社の神様だったのかなと,ふと思った出会いでした.

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