Thursday 24 April 2014

深刻化する中国の環境汚染 - 地下水の60%が飲用不適

ウェブギャラリー付でそう伝えたのは,4月23日付シュピーゲルの"Umweltschäden: 60 Prozent von Chinas Grundwasser ungenießbar".

中国の水質汚染というと,4月の始めに蘭州市で発生した,China National Petroleum Companの子会社のパイプラインから漏れ出したガソリンが飲料水に混入したとされる事故が思い出されますが,中国全体でも恒常的な水質汚染がますます深刻化しているようです. 

昨年,203の都市で実施された水質検査の結果,汚染のために飲用不適とされた地下水の割合は2013年の57.4よりさらに高い60%に上昇したことが判りました.さらに,中国環境保護部によると国土の16%が有害物質によって汚染されていて,耕作地のほぼ5割もカドムウムなどによって汚染されているそうです.また,世界の様々な資源が持つ脆弱性やリスクを調査し,それらの対策を提案している団体Earth Security Initiative*1)の専門家も,すでに中国の地下水源の半分以上は,工業廃水や家畜の飼育により汚染されているのに,中国政府は,今後,石炭火力による発電量をさらに75%増加させようとしていると指摘しています.新しい発電施設の大半は,すでに水質が悪化している地域に建設されようとしており,それらの稼働により当該地域の水質はさらに悪化するだろうと言うのです.

そして,飲料水の汚染は直接人々の暮らしに影響を及ぼすことはもちろんですが,同時にそれをもちいて生産される食物にも深刻な被害をもたらしています.例えば,重金属によって汚染された水が栽培に使用されたことが判明した穀物の廃棄量は年間1,000万トンにものぼるとされています.

このような飲料水不足は,地球的規模で深刻化しつつあり,人口の増加と相まって最終的には紛争や戦争の火種にもなりかねないと記事は伝えています.

今や,多数の企業進出により多くの日本人が暮らす中国ですが,中国の人たちに加えて彼らの健康も心配になります.



*1) Earth Security Initiativeが発行しているリポート"Earth Security Indexは,こちらからダウンロードできます.

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