Tuesday 8 July 2014

スイス国鉄のC 5/6形2969号復活間近

* 本文内のリンク先サイトおよびページは,すべてドイツ語のみの表記です.

ゴッタルド峠越え用の機関車として1913年に製造が開始され,1968年に現役を退いたC 5/6形ですが,保存されている二両のうち,動態保存機として復活が決まった2969号のボイラー設置作業が今年の5月に完了しました.(詳しくは,Lockremise Sulgenのサイトをご覧ください.)

現在,ロマンスホルンにあるスイス国鉄車両保存館(Locorama)において野外展示されている2958号(下の写真)は,2969号の交換部品の供給機となります.なお,同館を訪れた際,職員の方からの情報によると2969号の復活は,早くて来年末ごろになるだろうとのことでした.


2969号が復活すれば,すでに動態保存機として活躍中の同形式2978号と合わせて2両の”エレファント”(C 5/6の愛称)が,標準軌のメインライン上を疾走する姿が見られるようになります.(スイスでメインラインを走行する特別列車の運行情報は,スイス国鉄のこちらのページおよびEurovaporでご確認ください.

最後にC 5/6に関するデータを少し紹介すると,UIC表記では1'E h4v,すなわちコンパウンド4気筒の5動軸機です.1'Eというと,ドイツの標準規格(あるいは統一規格)機のテンダー貨物機42, 43, 44, 50, 52と同じ車軸配置です.なお,これらのうち44形のみ三気筒で,他はすべて2気筒ですが,例外的に44形の011,012号機のみ四気筒でした.*1) このなかで最大出力を誇る44形とC 5/6の緒元を比較すると次のようになります.* 2)


C 5/6

全長(含緩衝器) : 19,200 mm
動輪直径: 1,330 mm
軸重: 15.8 t
最高速度: 65 km/h
火格子面積: 3.7 m²
缶圧: 15 bar
最大出力: 1,200 kW


44*3)(1'E h3)

全長(含緩衝器) : 22,620 mm
動輪直径: 1,400 mm
軸重: 19.3 t
最高速度: 80 km/h
火格子面積: 4,55 m²
缶圧: 16 bar
最大出力: 1,405 kW


以下,おまけとして,車両保存館を訪れた際に撮影した写真を数枚.

屋内展示車両中,最初に目を引くのがこちら.「林檎ジュース急行」用車両BDe 3/4 43
です.もちろん本線上走行可.特別列車の運行の際に使用されます.
同運転台
同客席.広々としています.
続いて,Mittelthurgaubahnのサロン車C 111.
同車内.木製の内装が素敵な雰囲気を醸し出しています.
奥に見えるのは,優美な旧バイエルン国鉄S 3/6形 Nr18508.
そして,いよいよ子供に戻ってシュミレーター体験.
シュミレーター室に飾られていたB 3/4
つきっきりで案内をしてくださった職員の方.
こちらの方は,シュミレーターの操作の仕方を丁寧に教えてくださいました.お二人とも,ありがとうございました.(観光大国のスイスとあって,こうした鉄道お宅しか訪れない場所でも,英語で対応してくださいます.たまに,これは英語で何というのですかと訊ねられたりしますが,それはそれでご愛嬌.)

「後ろのロゴも撮っておいて下さい」と言われて撮影したもの.
こちらは保存館を訪ねる前,ロールシャッハの駅で見かけたロールシャッハ・ハイデン・山岳鉄道のアプト式タンクエンジンRHB I/2.日曜日の特別列車の牽引中のようでした.(I/2の車軸表記が示すように,元々,この形式は両側の車輪には動力は伝わらず,動輪は中央のギア付きの車輪のみでした.しかし,その場合,ラックレールが設置されていない区間では自走ができないため,1877年に先輪に動力が伝わるように改造されています.)
Idem.



*1) 44形の四気筒バージョン011および012号機は,ヘンシェルによって1932年から翌年にかけて製造された車両.最大出力は,2,350 PSi(1,727 kW).なお,ドイツ帝国鉄道の貨物用統一規格機として,他に41形(1'D1' h2),45形(1'E1' h3)があります.
*2) C 5/6のデータについては,SBB Historicのこちらのページ参照.なお,同形式は
Wikipediaでも紹介されています.(英語/ドイツ語
*3) Cf. Eisenbahn JOURNAL, Typenblätter Band No1, 2002, p149.  Wikipediaの英語のページはこちらから.

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