Wednesday, 2 April 2014

ベルギーのある市長の英断,スーパーで売れ残った食品の廃棄を禁止

現在,世界中で飢餓に苦しむ人の数は10億と言われています.また,7人に1人は十分に栄養が摂取できていないとも言われています.そして,世界の人口は,毎年8200万人ずつ増え続けていますが,同時に,1200万ヘクタールもの農地が消失しているそうです.*1)

そうした中,ベルギーのリエージュ近郊のヘルスタル(Herstal)のFrédéric Daerden市長が,最近採った政策についての報道を目にしました.その政策とは,スーパーマーケットが市内で営業するには,市から環境保全に関する免許が必要ですが,その更新の条件として売れ残った食料品すべてを食料援助を行っているボランティア団体に譲渡しなければならないというもの.同市長は,また,欧州議会の議員であることから,この政策の規模をさらに欧州全体にまで広げたいと考えているそうです.世界食料計画(FAO)によると先進国では毎年およそ13億トンもの食料品が廃棄されており,ベルギーでは,毎年1人平均15キロの食品を廃棄しており,それは30000人に毎日3回の食事を与えられる量に匹敵します.その反面,20万人もが食料援助を受けているのです.なお,ベルギーの自治体の中には,ヘルスタル市以外にもスーパーマーケットに売れ残った食料品を食料援助団体へ譲渡するように指導しているところがあるそうです.(以上,Journal Alternativeの2014年1月16日付の"La Belgique interdit le gaspillage alimentaire dans lessupermarchés"より.同じ内容を伝えるconsoGlobeのサイトはこちらから.)

ところで,4月から日本の消費税が8%に変更されました.これを例えばEU各国の付加価値税と比較すると,食品に関する限り必ずしも高い税率とは言えません.もちろん,日本の場合,本当にそれが必要なのか,そして,それが何に使われるかが問題であることは事実ですが.(EU各国の付加価値税については,EUが公開している付加価値税に関する資料をごらんください.*2))消費税の税率の引き上げに限って言うならば,所得や受給する年金の額が低い世帯や,就学中の児童を抱えた世帯の家計には場合によっては相当深刻な影響を与えることになるでしょう.しかし,反面,上記の事実を知ると,消費税のそれによって少しでも日本全体における食品の無駄使いが減るのであれば,それはそれで良いことではないかとも思っています.もちろん,上に挙げたような限られた家計でなんとか生活をされている世帯が食品を無駄使いしているとは考えにくいので,そうした世帯のこと,また,特に東日本大震災や福島の核災害の多くの被害者の方のことを思うと日本に於いても食料品などへの軽減税率の導入は絶対に必要だと思います.




*1) 2014年3月25日にARTEで放送されたドイツ南西放送局制作のドキュメンタリー"Hunger"(2010)より.なお,世界中の,特にアフリカや南アメリカなどの発展途上国の農地は,今や国際巨大資本の投機の対象にもなっていて,ヨーロッパや中国に家畜の資料として輸出する大豆の大規模栽培が行われ,本来それらの土地は現地の小規模農家たちの土地でしたが,それらの資本の手に渡り,現地の農民たちが行き場を失う事態も起きています.(Cf. 本ブログの『肉食が人類と地球にもたらしているもの』).
*2) 当該資料の4ページの表IIのFoodstuffs(食品)の行をご参照ください.なお,これを見るとアイルランド(IE)や英国(UK)においては,食品のあるものについては0%,すなわち非課税となっています.具体的には,英国内務省のこちらのページの3.1の項をご覧になると判るように,非課税の対象食品として挙げられているのは,魚,肉,野菜,果物などの生鮮食品,穀類,堅果類,そして香草などの食用の草類です.同項の表には0%の付加価値税が適用される食品類が詳しく記載されています.

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