Thursday 30 January 2014

鉄道ファンのための便利メモ(IIIb) - ドイツで蒸気機関車を観るには(2014年のイベントから)(続き)

蒸気機関車祭について,新しい情報を少しまとめて追加させていただくことに致しました.(本ブログにおいて勝手に「蒸気機関車祭」,または「SL祭」と訳させていただいている一連のイベント群ですが,ご紹介しているすべてのイベントの呼称が蒸気機関車祭(Dampffest)というわけではなく,実際には,それぞれ"Dampftreffen", "Dampftag(e)", "Dampfparade"などとかなりばらつきがあるのですが,個別に訳すのが面倒なので上記二つを訳語として使わせていただいております.ご興味があれば,これらの言葉をキーワードとしてウェブ検索を行ってみてください.これらの名称がつけられた各地の様々なSL関連イベントが表示されるはずです.)

ドイツのSLドック(人間ドックならぬ)マイニンゲン車両工場で毎年開催されている催しのようです.工場内の見学付きのツアーなどもラウジッツァーSLクラブにより企画されています.例えば,現在,03 2204がオーバーホールされていますが,その進捗状況も実物を見て確認することができます.

開催地は,ドイツではなくオランダですが,とにかくたくさんのドイツの現役蒸気機関車を見たいのだけど,4月に開催されるドレスデンSL祭への参加は無理,でも9月ならなんとか時間がとれそうという方には,自信を持ってお薦め出来るイベントです.ドレスデンSL祭にドイツ中のスター機関車が集結するのと同様に,こちらもオランダ中のスター機関車(殆どがドイツSL)が集結します.その中には,まず間違いなく,現時点ではヨーロッパにおいて唯一の現役三気筒01,オランダSL財団の01 1075も含まれると思われます.(ドレスデンには,三気筒旅客用としては,DBハレ博物館所蔵で01に比べ軸重の軽いエレガントな03 1010が参加する予定.)参加する形式の種類,数においてやや劣るとはいえ,こちらのSL祭でも,現役のドイツSLの主要形式をほとんど観ることができます.ベールべルケンに保存されているSLのリストはこちらから.("betriebsfähig" =「動態保存」.もちろん,実際に参加する車両は,各地の保存車両もゲストとして招待されているので,これに留まりません.比較されたい方のために,ドレスデンで展示が予定されている車両のリストはこちらからご覧下さい.)

さらにもうひとつ,こちらはドイツではなく,英国のSL祭のお知らせです.ですから,観られる車両も英国の機関車ですが,おまけとして.

(参考迄に,こちらは元々"Steam Gala"というイベント名がつけられています.)最近,英国の鉄道愛好家たちから寄せられるツィートに,昨年からヨークの鉄道博物館に世界中から集結した現存のA4形が,それぞれ帰国の途につきはじめたという報告が載るようになりましたが,青塗りのA4形動態保存機Sir Nigel Gresleyを管理している当該鉄道のイベントなので,マラード号と同形式のこの車両の出番も当然期待出来ると思います.詳細は未定のようですが,過去のイベントのギャラリーが公開されています.

ほかにも,英国では各地の保存鉄道がSL祭が予定されていて,3月7日から9日にかけてMid Hants Railwayで開催されるSL祭では,A4形は参加しないようですが,ゲスト機や機関車トーマスも含めて多くの車両に会うことができます.

ところで,個人的な話で恐縮ですが,今年も何とかドイツに赴けそうになったので,少々気が早いとは思いましたが,6月に予定されている,フランクフルト保存鉄道協会が主催する01 118が牽引する特別列車でのノイエンマルクトSL祭ツアーを予約してしまいました.こちらの団体の特レを予約するのは初めてなのですが,メールで依頼したところ,すぐに返信で予約された車両番号と座席番号を教えてくれました.しかも,料金は当日,車内で車掌に支払ってくださいとのことでした.随分簡単だなぁと思いましたが,以前,ウルム鉄道友の会2014年の年間カタログが公開されています.)の特レに乗ったときも同様の指示を受けたことがありました.このツアーを特に選んだのは,ヴァグナー式除煙板の付いたオリジナル仕様に近い01 118が観られるためであることはもちろんですが,フライヤーの説明にあるように,4時間余りのノイエンマルクト滞在中になんと01が重連で牽引するシーフェエーベネを往復する特レにも乗車が可能というオプション付きだったからです.(現在,計画中とのことですが.)なお,フランクフルト保存鉄道協会が運行する列車を予約する際には,ナビゲーションの中のKontaktを開き,Zur Buchung von Sonderfahrten an DERのリンクをご利用ください.(DERのメールアドレスが変更されているため,同協会のフライヤーなどに紹介されているDERのアドレス宛に直接メールを送っても正しく着信しないようです.)

さらに,ことによると,今回もう一本,バイエルン鉄道博物館18形のさよなら運転にも乗れるかとも思い,予約の方法を同博物館に確認したところ,予約はもちろんすぐに可能,ただ,車両番号や座席番号などは運行日のおよそ一週間前に通知するので,その際に指定の銀行口座に料金を予め振り込んでもらうことになるとのことでした.(以前,一度,申込数が最小催行人数に満たなかったため,予約したツアーがキャンセルになったことがありましたが.確か,やはりヴァグナー式除煙板付の01 066が牽引する特レだったと思います.)なお,同博物館のオンライン予約システムが故障しているようなので,問い合わせはサイトのメニューバーにあるKontaktformularから行いました.予約もこちらから受け付けるそうです.

Monday 13 January 2014

蘇れ,65 1057!

人間に対する一目惚れの経験はあったとしてももほや思い出せませんが,蒸気機関車に対しては50代半ばになった今でも時折経験しています.

最近,その対象となったのが,旧東ドイツ国鉄(DR)の65.10形タンク機関車です.ご参考迄に,下にWikipediaから借用した写真を掲載しますが,第二次世界大戦後,東ドイツ国鉄によって最初に開発された機関車(Neubaulok.=新規開発機)で性能的にたいへん優れた形式だったそうです.*1) なお,旧西ドイツ国鉄(DB)でも65形という同じタンク機が開発されており,両形式とも近郊旅客用タンク機の需要に応じるために開発されたもので同じ1'D2' h2タイプですが,外観を始め緒元において大きな差異があるため,事実上別形式と考えた方がよいでしょう.(戦後の東西国鉄の車両は仕様が異なり,この時期に改造されたものも含め総じて相当異なる外観を備えています.)製造量数は,前者が18両,後者は88両でした.

さて,この二つの65において最も目を引く違いというと65.10の並外れた全長です.DBの65の15,475 mmに比べDRの65.10は17,500 mm.狭軌とはいえ,日本の国鉄C11形が12,650 mmですから,それに比べて凡そ5 mも長く,また,同じく小型テンダー機のC56の14,325 mmよりも3 m以上も長いということになります.また,動輪直径も65の1,500 mmに比べ65.10は1,600 mm.国鉄D51形の1,400 mmを上回っているのは言う迄もありませんが,ドイツ帝国鉄道のテンダーミカド機41と同じサイズであり,帝国鉄道時代に開発製造された統一規格型(Einheitslok.)と呼ばれる形式のうちテンダー機も含めて4動軸機としては,2両しか製造されず,また実運用に供されることもなかった06形の2000 mmを例外とすれば最大です.そして,当然といえば当然ですが,65.10は水タンク,石炭庫の容量共にドイツのタンク機の中では最大を誇っています.具体的には,水タンクの容量は16.0 m3,そして石炭庫は9.0 tです.(因みに,水タンク容量における第2位はやはりDBの新規開発機の66の14.3 m3,石炭庫では同じくDB66と旧バイエルン国鉄のマレー式Gt 2x4/4(後の帝国鉄道96形)が同位で5.0 tでした.*2 なお,参考迄に66形もその番号から判るように旅客用タンク機ですが,1'C2' h2の3動軸機で,動輪直径はこちらも1,600 mmでした.*3)



細身のボイラー,東独国鉄特有のエプロン部の全面カバー,そして煙室上部のIfS形混合予熱器という外観のため,ボイラー側部のタンクがなければ同じく東独国鉄の新造テンダー機23.10(35.10)形と見間違えそうです.(以上3枚ともWikipediaの"DR-Baureihe 65.10"の項に掲載されている画像)

実は,この機関車に一目惚れをするきっかけとなった写真は手元のドイツの蒸気機関車に関するある本*4)に掲載されていたものなのですが,著作権上ここでご紹介することができないので,例えばこちらの写真をご覧下さい.その美しく均整のとれた形状とタンク機ながらテンダー機並みの迫力がよくあらわれていると思います.また,ベルリン鉄道友の会のギャラリーにもその写真が掲載されていますが,こちらは長焦点のレンズで撮影されたものらしく,65.10の魅力的なロングボディーが残念ながらやや圧縮されて写ってしまっています.)

ところで,現存する65.10のうちの一台ベルリン鉄道友の会所有の65 1057が,このたび動態保存機として復活するため点検整備が行われることになりました.現在,ドイツではメインラインを走行する保存車両にも自動列車保安装置*5)の設置が義務付けられていますが,同機についてはそれが可能であるため,ベルリン鉄道友の会は再び動態保存機として復活させる決断をしたそうです.(ブラボー!詳しくはこちら(ドイツ語)をご覧下さい.)そこで,同団体では整備工事のための寄付を受け付けています.金額は100€からで日本からでもPayPalによる送金が可能です.(寄付の受付はこちらから.送金の際,"HU65 1097”とお書き添えください.)

なお,65.10の動態保存機としては,もう一両65 1049が残っていたのですが,残念ながら耐用期限前の2011年9月10日にさよなら運行が行われた後,復活の予定はないようです.




*1) Gerth, D., DEUTSCHE DAMPFLOKOMOTIVEN Baureihen 01 bis 99, Königswinter, 2011, p157
*2) Die Dampflokomotive-Technik und Funktion, Teil 3 Kurvenbewegliche Laufwerke, Bremsen, Lokomotiveausfüstung und Tender, Eisenbahn Journal Archiv, 3. Auflage, Fürstenfeldbruck, 1994, p78

*3) タンク機関車でも3動軸機まで含めれば,最大の動輪直径は,テンダー機に改造され,現在動態保存機として活躍している18 201の母体となった61形の2300 mmです.(18 201は3気筒の61 002の改造機ですが,もちろん三気筒で動輪直径も2300 mmのままです.現存する動態保存機の中で最速を誇るマシンです.)
*4) Gerth, D., DEUTSCHE..., Königswinter, 2011, p157
*5) 2012年12月1日より施行された新たな鉄道設備および運営規則(EBO)により動力車両への装着が義務付けられた新しい自動列車保安装置PZB 90.(一般にはIndusiと呼ばれている電磁誘導列車保安装置.ATSのようなものです.前掲二枚目の写真で○で囲んだ機器.Indusiの仕組みについてはこちらのページ(英語)が判り易く説明しています.もちろん,Wikipediaなどでも.)

Wednesday 8 January 2014

クールのイタリア料理店La Vitaの3コースメニューが半額に

スイス,グラウビュンデン州の首都クールにあるこの店の通常88フランの3コースメニューが44フランで楽しめるクーポンが,現在Südostschweiz.chのサイトで購入可能です.

使用可能期間は,1月13日から8月6日迄.洗練された地中海料理と充実のワインセラー,そして快い雰囲気が自慢のレストランだそうです.

なお,クーポン使用の際には予約が必要です.

Sunday 5 January 2014

スイスのレティカ鉄道,SL列車の初運行は2月23日

ルートは,以下のようにラントクアルト発着ディゼンティス往復です.

Landquart
 dep
 08.55
Chur
  arr
 09.21
Disentis/Mustér
  arr
 11.44
Disentis/Mustér
 dep
 14.15
Chur
  arr
 16.36
Landquart
  arr
 17.18

詳しくはRhBサイト内のこちらのページ(英語)をご覧下さい.天候に恵まれれば,パウダースノーで覆われた白銀の世界を駆け抜ける迫力ある走行が眺められそうです.

Wednesday 1 January 2014

Happy New Year!

新年あけましておめでとうございます.

本年一年の皆様のご健康とご多幸をお祈り致します.

本年もよろしくお願い致します.


May peace reign on the earth, not hindered by some Shinto-fundamentalists or Shinto-extremists.