Thursday 10 April 2014

タミフル,製薬会社が宣伝する程の効果はなく,副作用も過小報告されていたことが判明

スイスのチューリヒ新報(NZZ)の4月10日付の記事"Mehr Versprechen als Fakten zu Tamiflu"は,インフルエンザの特効薬タミフルの効果を巡ってのこれまでの議論にようやく終止符が打たれたと伝えました.タミフルの製造元ロッシュ(Roche)の内部報告書がようやく公開され,外部の専門家による精査が行われた結果,同薬の効能が過大に宣伝されてきたこと,同時にその副作用については過小に報告されてきたことなどが判明したそうです.その関連で,同紙は同日付で"Das Grippemittel als Modellfall"というAlan Niederer氏のコメントも紹介し,その中で同氏は,臨床実験の過程におけるさらなる透明性の確保が必要であると述べています.

さらに,同じく10日付のシュピーゲルの"Neue Daten: Grippemittel Tamiflu nutzt nichts"には,タミフルには全く効果がないとまで書かれています.

ひらたくいえば,スイスの製薬会社が長年にわたって世界中をだましていたということになりますが,それを伝えるのもまたスイスの新聞であることにスイスのジャーナリズムおよび社会の健全性も感じます.それに比べ,わが国の昨今のSTAP細胞に関する論文を巡る大騒動は異常としか思えません.少なくとも直ちに人の命に関わることではないのに何故斯くも日本のニュースメディアは騒ぎ立てるのか全く理解できません.日本の多くのニュースメディアで働く人たちは,本当に狩るべき獲物は追わず,社会のストレス発散のために犠牲にすべきスケープゴートを探ように訓練されたハンティングドッグでしかないのでしょうか.そう考えると,"いじめ"(mobbing, harassment)が問題となる学校は,そうしたスケープゴートを求め続けるご主人たちによって構成された日本社会の正確な縮図ともいえそうです.

(そういえば,鳥山石燕が描いた妖怪の中に 幣六(へいろく)というのがいましたが,現代日本のニュースメディアの先祖かもしれません).

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