Tuesday 29 April 2014

全世界のアメリカ企業が保有する顧客の個人情報にアメリカ政府はアクセス可能

ことの発端は,アメリカの捜査当局がマイクロソフト社へ一人の顧客のメールアドレス,送受信したすべての電子メールの内容,オンライン状態にあった時間,クレジットカード番号,銀行口座などのデータの提供を求めたことでした.ただ,当該の顧客のこうした情報は,アイルランドのダブリンにあるサーバーに保存されていたため,マイクロソフト社としては国外に保存されている情報は提供する義務はないとして政府を相手取り訴訟を起こしたのですが,初審で連邦裁判官のJames Francis氏はマイクロソフトに求められた情報を開示するようにという決定を下したというわけです.その理由は,従来,アメリカの捜査当局がこうした捜索を行う際,捜索対象が外国に存在している場合,現地の警察に協力を要請せざるを得ず,その費用,また手間が連邦政府にとって負担となり,加えて捜査に支障をもたらすからというものでした.併せて,アメリカ企業が捜索の対象となった場合,これまでも,その所在地にかかわらず令状は効力を持つとされていることも理由とされました.マイクロソフト社は,この決定を不服として引き続き裁判で争う意向を示していますが,とにかくアメリカ政府は,世界中の人の個人情報を把握しておきたいようです.

以上,シュピーゲル4月28日付"US-Richter: Amerikanische Behörden haben weltweit Zugriff auf Kundendaten"からでした.(オリジナルの記事は,ロイター通信の4月25日付"U.S. judge rules search warrants extend to overseas email accounts".)

英訳はまだ出版されていないようですが,NSAによる通信傍受の全貌を明らかにした下記の本がドイツで出版されています.(日本ではAmazon.co.jpでキンドル版のみ購入可能です.価格は1,339円です.)

Rosenbach, M,. Stark, H., Der NSA-Komplex: Edward Snowden und der Weg in die totale Überwachung, Deutsche Verlags-Anstalt (31. März 2014)

No comments:

Post a Comment