Monday 14 April 2014

日本の鉄道自殺について思うこと - ドイツ,スイスとの比較から(訂正版)

(以前に公開して,その後データの誤認があったことが判ったため,一度取り消したポストですが,ときおり,その件についての「お詫びと訂正」というポストを閲覧して下さる方がいらっしゃるため,使用したデータを再度確認し,内容を正しいデータに基づいて書き換えたものです.)

先月,3月29日の土曜日,用事があって東京へ出かけたのですが,乗車した東急田園都市線の青葉台駅の電光掲示板を見て驚きました.中央線の新宿駅と埼京線板橋,十条間で発生した人身事故により両路線において運転が見合わされているというのです.土曜日の朝の時間帯にしかも首都圏で二件もの人身事故が起きたのかと,唖然としながらしばし目が流れる文字から離れませんでした.果たしてそれらが自らの命を絶つためのものだったのか,偶発的な事故だったのかは判りませんが,仮に前者だったとしたら痛ましい限りです.ご本人が経験された苦しみ,そしてご家族およびお身内の方々のご心情や置かれた境遇のお辛さは察して余りあります.

毎年,3万人以上の方が自らの命を絶っているという日本.OECDの"Society at a Glance 2014"の自殺に関する章(Suicide, pp126f)には,統計上,全体的には経済状況と自殺の件数との間に相関関係は見られないとありますが,日本に限って言うならばそれは十分に見られると思います.(下図は,同報告書のp127に掲載されているもの.)

Figure  6.7  The economic crisis does not appear to have led to a sharp change in overall suicide rates

Trends in age-standardised suicide mortality rate per 100 000 persons, selected OECD countries, 1990-2011
The economic crisis does not appear to
have led to a sharp change in overall suicide rates
Source: OECD Health Statistics 2013, (http://dx.doi.org/10.1787/health-data-en).

これを見る限り,日本の自殺の数はバブル景気の崩壊後の1994年頃から徐々に増加を始め,多量の負債を抱えた大手金融機関の破綻などが相次いだ1997年からアジア通貨危機が発生した1998年にかけて急激に増加したことが判ります.なお,韓国も同様のパターンを示しているようです.*1)

話を先に進める前に,同じページに掲載されているOECD各国の自殺の件数比較もご紹介しておきます.(下図)

Figure  6.6  Ten-fold difference between countries with highest and lowest suicide rates

Age-standardised suicide mortality rate per 100 000 persons, 2011 or nearest year
Ten-fold difference between countries
with highest and lowest suicide rates
Source: OECD Health Statistics 2013, (http://dx.doi.org/10.1787/health-data-en).

[第1-34図]手段別の自殺者数の構成割合
[第1-34図]手段別の自殺者数の構成割合

下のグラフは,やはり内閣府が公表している警察庁の自殺統計に基づいた自殺者数の推移ですが,1998年以降は全体で3万人台前半を維持しています.ただ,2009年以降,女性のほうは横ばいですが,男性の自殺者は僅かながら減少しているようです.

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