Tuesday, 16 December 2014

12月14日のダイヤ改正後のヨーロッパ鉄道事情

1. ウクライナとポーランドで高速列車運転開始

ウクライナでは,12月12日にKiev,Krioy rog間の448 km区間において160 km/hの高速列車の運行が開始されました.両駅間の所要時間は5時間.投入された車両は,Kryukow Wagon Plant製のEKr1 Tarpan EMU(最高速度:200 km/h)です.
  (Cf. "Ukraine introduces new express service" in 国際鉄道ジャーナル

ポーランドでは,今回ダイヤ改正に合わせて,Pendelino(振り子電車Pendelinoのプラットフォームを使用しているものの,振り子機能の無い車両)のEIC(Express InterCity)による200 km/h運転がWarszawa,Gdynia,Kraków,Katowice,Wrocław間で開始されました.(当該車両の最高速度は250 km/h.また,ポーランド国鉄(PKP)の直流3 kV区間のみならず,15 kV 16·7 Hzおよび25 kV 50 Hz電化区間にも対応可能で,ドイツ,オーストリア,チェコにおいての走行も可能です.とはいえ,今後10年はEICの運行を国内のみに限るというのが,このプロジェクトにかかった費用の22%をカバーしたEUからの資金提供の条件であるため,上記各国へまたがる運行は当面予定されておりません.)
(Cf. "Polish Pendolino launches 200 km/h operation" in 鉄道ガゼット)


2. TRENITALIA,ローマ空港直行高速列車運行開始

12月14日から,Venice, Padova, Bologna Central, Florance Santa Maria Novella (SMN) からローマ空港(Leonardo da Vinci)へのアクセスが便利になりました.運行本数は1日2本.ローマのTiburtinaおよびTermini駅を経由して,所要時間は,Venice Mestreからは4h 12min,Bologna Centralからは2h 59min,そして,Florence SMNからは2h 14minです. 
  (Cf. "High-speed services reach Rome airport" in 国際鉄道ジャーナル


3. イタリア,オーストリア間直通列車増発

12月14日から,オーストリアのチロル州とイタリアの南チロル州を結ぶ路線の新駅(Versciaco/Vierschach)の開業に伴い,Fortezza,Lienz間においてStadler ETR 170による列車が10:50から12:50の間を除いて1本/時に運行されることになりました.これに加えて,イタリアンチロルのボルザノからインスブルックまでの直通列車もSADオーストリア連邦鉄道による共同運行が開始されました.今回のダイヤ改正により,2012年時点では1日あたり16本だった,両地域を結ぶ旅客列車が33本に増加しました.将来的には,Trento – Bolzano – Innsbruck間の直通列車の運行も計画されているようです.
  (Cf. "New Italy – Austria regional services launched" in 国際鉄道ジャーナル


4. ダイヤ改正の明暗 - 昼行列車の増発と夜行列車の減少

様々な問題のため,暗礁に乗り上げた格好となったオランダ,ベルギー間の高速列車Fyraに代わり,従来の毎時1本の通常列車のダイヤが復活しました.(Fyraの運行開始は2021年まで先送りとなっています.)

アムステルダム,ブリュッセル間のサービスでは,ブリュッセル空港にも停車するようになったため,アムステルダム空港とブリュッセル空港が初めて直行列車で接続されることになりました.ベルギー国鉄の他の路線でも,列車が増発されました.

残念なニュースは,引き続き多くの夜行列車が消えたことです.今回,血祭りにあげられたのは,Paris発Berlin/Hamburg,Basle/Amsterdam行き,そして,Prague発Copenhagen行きです.さらに,Warsaw/PragueとAmsterdamを結ぶ列車はCologne止まりとなり,オランダ迄は行きません.そして,ロシア鉄道は,すでにこちらのポストでお伝えしたように,MoscowからBucharest, Sofia, Budapest, Belgrade, Bratislava行きの列車の運行を停止しました.さらに,Hamburg – Berlin – WroclawとHamburg – Berlin – Prague – Viennaの2本の列車も消滅しました.それに替わって毎2時間に1本のRailjetがPrague, Vienna及びGraz間で運行を開始しました.

ただ,新たに運行が開始された夜行列車もあります.1つは,LjubljanaとBelgradeと結ぶもの,もう1つは,BudapestからSofiaを結ぶ列車です.後者は,ドナウ川に架けられた新しいVidinの橋梁上を通ります.

イタリアでは,Thelloが新たにMilanとNiceおよびMarseilleを結ぶ昼行列車の運行を開始しました.

ドイツとリュクセンブルグを結ぶ最後のインターシティサービスが無くなりましたが,KoblenzとLuxembourg間を2時間28分で結ぶサービスが導入されました.

オーストリアでは,GrazやVillachからの列車が事実上開業した新しいウィーン中央駅に停車するようになりました.また,ドイツから到着するすべてのICEが,この駅を通過するようになり,ウィーン空港迄乗り入れることになりました.

最後に,ノルウェイでは, Oslo – Kristiansand – Stavanger間のデイサービスの列車が2倍に増加(6往復)され,スウェーデンでは,Stockholm,Malmö間の夜行列車が復活,さらに3月7日には,MTR Nordicによって,Stockholm,Gothenburg間の平日4往復のサービスが開始されます.(週末は2往復.)
 (Cf. "Winners and losers in Europe’s new timetable" in 国際鉄道ジャーナル


5. バーゼル市電,ドイツまで乗り入れ開始

鉄道のメインラインの話題というわけではありませんが,12月12日,バーゼル市電の8番がKleinhügenからドイツのWell am Rheinまで延長されました.なお,これにより,これまでフランスに乗り入れる10番のみだったバーゼル市電のクロスボーダー路線は2本となりました.
(Cf. "Basel opens cross-border tram route" in 鉄道ガゼット,"Basel cross-border tram line inaugurated" in 国際鉄道ジャーナル


6. ベルリン市電(Metrotram)M5線,ベルリン中央駅まで延伸

S-Bhf. Hackescher MarktからOranienburger Str. – Chausseestr. および Invalidenstr. を経由して中央駅まで延伸されました.運転間隔は10 min.
(Cf. "Berlin Main Station tram link opens",Public Transportation in Berlin

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