まず,ドイツ語圏ですが,少なくともよくみるSPIEGEL(ドイツ)とNZZ(スイス)では,それぞれの姿勢がはっきりしていて,とても判り易いと言えます.例えば,先日の衆議院議員選挙の結果を伝える前者の12月14日付"Japans Premier und Atomfreund Abe. Strahlender Sieger"では,「輝かしい勝利者」や「原発の友達("Nuclear Friend),安倍」といった言葉が使われていますが,後者の同日付"Abes Wette geht nicht ganz auf"では,むしろ自民党が議席を減らしたことを挙げて,必ずしも勝利した訳ではないとコメントし,沖縄では県民の現政権の安全保障政策に対する怒りが渦巻いていると伝えています.そして,12月28日付"Japan legt Konjunkturpaket über 29 Milliarden Franken auf"では,政権のいわゆる「ばらまき」政策を紹介して来年予定されている参議院選挙をにらんだものと報じ,日本のニュースメディアに近い論調が感じられます.(スイス放送のニュースサイトにも同様の記事が掲載されました.)おしなべて,スイスのメディアのほうが日本に対して冷静と言いますか,深く洞察している印象を持っていますが,最近の記事では,選挙とは関係ありませんが,カジノを導入しようとしていることを報じる記事,今年9月11日付"Japan liebäugelt mit Spiel-Casinos"(「カジノゲームに魅了されている日本」)の中でパチンコにのめりこむ日本人の姿を紹介し,その他国に比べて異常に高いギャンブル依存度を数字を挙げて伝えていました.余計なお世話とは言いたくなるものの,読者に考えるための十分な情報を整理して提供するという姿勢は日本ではあまりお目にかかりません.ドイツは,日本に対しては,捕鯨(欧米のメディアはほぼ全面的に反対)と原発や環境政策以外のテーマには,さほど関心を持っていないようです.(いずれの分野でも殆どの場合,批判的な論調が目立ちます.)
フランス語圏では,基本的にフランスの主なニュースメディアしか目を通していませんが(無料の記事のみ),ドイツ語圏ほど丁寧には扱うことは殆どないように見受けられます.例えば,Le Mondeの選挙結果を伝える12月24日付"Troisième mandat de premier ministre pour Shinzo Abe"は,事実を簡単に伝えただけでした.Le Figaroの記事はさらに簡単でした.ただ,Le Mondeは消費税率の引き上げと衆議院の解散が首相によって発表された日に,その経済政策が行き詰まりを見せていることを伝えていました.(Cf. 11月18日付"Au Japon, Shinzo Abe cherche à se relancer") L'EXPRESSは,選挙結果について比較的長い記事(12月24日付"Japon: Shinzo Abe réélu Premier ministre par le Parlement")を載せていましたが,内容はというと,やはり事実を淡々と述べるだけでした.しいていえば,唯一,L'OBSが,12月14日付"JAPON. Shinzo Abe, l'audace gagnante"という「その大胆さが勝利」という言葉を含む大仰な見出しをつけた記事の中で,安倍政権の政策について,首相の祖父の岸信介にまで言及し,歴史を踏まえたかなり詳しい分析をしていました.L'OBSのこうした記事を読むと,上の段落で述べたような考える為に必要な情報に加え,歴史的経緯もかなり遡って伝えるヨーロッパのメディアの姿勢に大いに共感を覚えるものです.(日本の場合は,「年忘れ〜」という言葉に表されるように過去(特に災い)を簡単に忘れる,あるいは忘れようと努力するので仕方が無い部分もあるのですが.)
なお,アベノミックスが転じてアベゲドン"Abegeddon"になるという論説は,英語圏およびドイツ語圏において多く見られますが,フランス語圏では確認した限り見られませんでした.
結論めいたことを言うならば,あくまでも個人の好みではありますが,日本について深く冷静に考えるのであれば,例えば,NZZなどのスイスのニュースメディアの日本についての記事を読むとよいのではないかと思います.(ドイツ語に馴染みがなくても,翻訳ツールで英語に訳せば大半の意味は理解できます.試しにNZZのサイトで"Japan","Abe"といったキーワードで記事を検索してみることをお薦めします.)
フランス語圏では,基本的にフランスの主なニュースメディアしか目を通していませんが(無料の記事のみ),ドイツ語圏ほど丁寧には扱うことは殆どないように見受けられます.例えば,Le Mondeの選挙結果を伝える12月24日付"Troisième mandat de premier ministre pour Shinzo Abe"は,事実を簡単に伝えただけでした.Le Figaroの記事はさらに簡単でした.ただ,Le Mondeは消費税率の引き上げと衆議院の解散が首相によって発表された日に,その経済政策が行き詰まりを見せていることを伝えていました.(Cf. 11月18日付"Au Japon, Shinzo Abe cherche à se relancer") L'EXPRESSは,選挙結果について比較的長い記事(12月24日付"Japon: Shinzo Abe réélu Premier ministre par le Parlement")を載せていましたが,内容はというと,やはり事実を淡々と述べるだけでした.しいていえば,唯一,L'OBSが,12月14日付"JAPON. Shinzo Abe, l'audace gagnante"という「その大胆さが勝利」という言葉を含む大仰な見出しをつけた記事の中で,安倍政権の政策について,首相の祖父の岸信介にまで言及し,歴史を踏まえたかなり詳しい分析をしていました.L'OBSのこうした記事を読むと,上の段落で述べたような考える為に必要な情報に加え,歴史的経緯もかなり遡って伝えるヨーロッパのメディアの姿勢に大いに共感を覚えるものです.(日本の場合は,「年忘れ〜」という言葉に表されるように過去(特に災い)を簡単に忘れる,あるいは忘れようと努力するので仕方が無い部分もあるのですが.)
なお,アベノミックスが転じてアベゲドン"Abegeddon"になるという論説は,英語圏およびドイツ語圏において多く見られますが,フランス語圏では確認した限り見られませんでした.
結論めいたことを言うならば,あくまでも個人の好みではありますが,日本について深く冷静に考えるのであれば,例えば,NZZなどのスイスのニュースメディアの日本についての記事を読むとよいのではないかと思います.(ドイツ語に馴染みがなくても,翻訳ツールで英語に訳せば大半の意味は理解できます.試しにNZZのサイトで"Japan","Abe"といったキーワードで記事を検索してみることをお薦めします.)
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