Monday, 15 December 2014

強すぎるドルの世界経済への影響

門外漢の私が書くまでもなく,広く知られたことでしょうが,備忘として残すことにします.

以下,SPIEGELの12月14日付"Furcht vor Pleitewellen und Staatsbankrotten:Starker Dollar bedroht die Weltwirtschaft"の中で興味を覚えた箇所の抄訳です.

さて,強いドルがどうして困る結果を生むかというと,ドイツや日本のように,その経済を輸出に頼る国は,世界的に視て今後発展拡大を続ける市場が縮小してゆく,つまりお得意様の財布のひもが絞られる結果になるからです.すなわち,トルコ,南アフリカ,ペルー,コロンビアなどの新興工業国は,これまで極めて低い利率でドル資金を借りることができたのですが,今後,フェデラル・ファンド・レートが上昇すれば,それらの負債が重くのしかかり,その結果,経済成長は鈍化します.そうすれば,当然,輸入の額も減少するというわけです.また,世界的な規模で倒産の連鎖も生じかねません.すでに国際決済銀行は,こうした状況下では,多くの企業の信用格付けが低下する可能性があると警告しています.特にこうした影響が深刻とされているのが,Petrobras(ブラジル)やPetronas(マレーシア)などの新興工業国の石油会社です.確かにドルの価値が上がると,原油の輸出による収入は増加します.しかし,その反面で原油価格の下落により,それが相殺されてしまうのです.なお,GazpromやRosneftなどのロシアの石油会社もこうした企業と同じ立場に置かれており,新たな資金の調達先を見つけることが必要となっています.こうしたドルの価値の上昇に拍車をかけているのは,日本銀行と欧州中央銀行の金融政策であることは言うまでもありませんが,少なくとも日本の国民は,今回の選挙でこうした自国の中央銀行の姿勢を支持したわけです.もっとも日本の場合,今後の世界経済の動向がどのように影響するかは判りません.日本をコバンザメとするとジンベイザメのような存在であるアメリカの経済が順調に推移する限り,日本経済は盤石ということなのでしょうか.

ところで,今のところフランスの新聞や雑誌のサイトは触れていませんが,今回の日本の選挙結果をSPIEGELは同日付の"Japans Premier und Atomfreund Abe:Strahlender Sieger"と題する記事で伝えています.つまり,日本の有権者は原子力発電所の再稼働を選択したと.("Atomefreund"=《原子力の盟友,安倍》)12月15日付,スイスのNZZの"Abes Wette geht nicht ganz auf" は,ほぼ日本の東洋経済の記事のような内容を伝えていますが,それに加えて沖縄の自民党の惨敗を詳しく伝えています.(少なくとも仏独語圏で最も日本について,しばしば日本のニュースメディアより多面的な情報や詳細な分析を提供しているのはスイスのこの新聞とフランスのLe Mondeのようです.)

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