Friday, 12 December 2014

エアバス,ボーイングに敗北? - コスト割れに終わりそうなA380

これまでに売却されたA380は318機.採算に合うとされる450機に比べ,はるかに少ない数です.しかも,一度は購入したものの,今年になって追加購入した航空会社は皆無でした.2025年までにおよそ1500機の販売を見込んでいたエアバス社にとって,これは完全な見込み違い.そもそもA380の開発の前提となっていたのは,今後のフランクフルト,シンガポール,東京,ニューヨークといった世界の主要な空港間における航空旅客の増加ですが,現在の航空旅客の傾向として,混雑するハブ空港での乗り換えを避けた直行便の利用が増えていて,こうした今後の需要によりマッチしているのは,むしろ,B787,あるいはエアバスならばA350などの燃料が節約できて,且つ需要の変化に細かな対応が出来る300座席前後の長距離用機材です.(A380は850座席以上.)おまけに,IATAによると,2015年において航空旅客は7%の増加が見込まれているとのことで,A380によるビジネスは,結果として,こうした市場の変化に完全に乗り遅れた形になってしまったようです.

こうしたA380の問題を抱えるエアバスにとって,泣きっ面に蜂といえるのは,上得意のエティハド航空の意向です.今後,A380のフリートを140機にまで増強する同航空会社は,エアバス社に対し,A380の低燃費化を要求してきています. しかし,それを満たすにはエンジンの改良のみにとどまらず翼設計などほかの部品や構造の見直しが必要となり,さらに新たなコストが発生してしまいます.ようやく,1機を売れば多少の利益が得られるようになったエアバスですが,上得意からの要求を無視するわけにもいかず,窮地に立たされているといった状況のようです.

(Cf. "Drohendes Ende für den A380: Der Traum ist aus" in Spiegel)

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