Wednesday, 30 October 2013

ヨーロッパ最後の魔女アンナ・ゲルディンとは

魔女狩り,または魔女裁判というと,中世のヨーロッパで行われていたと思われがちですが,実は,18世紀にも行われたケースがありました.場所は,スイスのグラルス州.魔女として訴えられたのは,アンナ・ゲルディン(Anna Göldin またはAnna Göldi) という,ある裕福な医者の家庭で家政婦をしていた女性でした.訴えの内容は,アンナがその家の次女に牛乳に混ぜて針を飲ましたり,呪いをかけたということでした.実際,女の子は衰弱し,喀血の際に血と一緒に針を吐き出すなどしたというのです.

彼女は,裁判にかけられた結果有罪とされ,1782年6月18日に斬首刑に処せられました.そして,200年以上も経った2008年になって,ようやく彼女の裁判が誤りだったことが判明し,彼女の名誉は回復されたのでした.なお,モリス(Mollis)には彼女に関する資料や自白を引き出すために使用された拷問の道具などを展示する博物館があります.

ところで,魔女狩りはカトリック教会によって行われていたと思われる方もおられでしょうが,当時のグラルス州の州教はプロテスタンティズムです.また,17世紀にアメリカ,セイラム(Salem)で起こったの魔女狩りでも,宗教的背景はもちろんプロテスタンティズムでした.

最近は,日本でもこの季節になると,魔女の仮装をして街中を歩く女性を見かけることがありますが,ヨーロッパで最後の魔女裁判の被告になった気の毒な一人の女性に思いを馳せるのも諸聖人の日にふさわしいことかもしれません.

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