Saturday 12 October 2013

ドキュメンタリー映画『ある隣人の死』

ベルリン・ブランデンブルグ放送局(RBB)によって今年制作された作品です.観終わった後,何かとても温かいものを感じて目頭が熱くなるのを感じました.

ベルリンのヴィンス通り(Winsstrasse).天気や季節には関係なく,毎日自宅アパートの玄関前に立って笑顔で道行く人に挨拶をしている一人の老人がいました,彼は,ある年の暮れに突然亡くなります.見つけたのは,年金を届けに来た市の職員.ドアフォンに応答が無かったため警察に連絡し,やって来た警察官と一緒にその部屋に入り,亡くなっていた老人を発見したのでした.いわゆる孤独死でした.

この界隈に住む監督のメヒティルド・ガスナーは,たまたま旅行から帰って来たとき,この老人がいつもの場所に立っていないことに気づき,彼を知る土地の人たちにインタビューを行いました.そして,それらを編集したのがこの作品です.

子供のころにかかった病気のせいで少し発達障害を持っていた老人には身寄りもなく,そのため市によって,匿名で,日本で言えば無縁仏として埋葬されることになりました.しかし,彼のことを知る隣人たちが,せめて名前を刻んだ墓に葬ってあげたいと寄付を募ったところ,必要な額のおよそ4倍にあたる3000ユーロが集まったのでした.そして,告別式の当日は,会場となった地域の教会は老人は知っているものの,お互いは知らない隣人たちで一杯となったのでした.クリスマスから大晦日の間に亡くなったということも,僅かながらその理由のひとつかもしれませんが,あのような大都会でも土地の人の人情は存在していることを強く感じさせてくれた作品でした.

原題:『Einer fehlt』
監督:Mechthild Gassner

*フランス語版は10月17日現地時間22:44, ドイツ語版は23:00までARTE+7を通じて無料視聴可能.(52分)

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