Monday 28 October 2013

ブロッコリが放射線の影響から人体を守る?

緑黄色野菜にガンを予防する効果があることはよく知られていますが,その理由は,これらの野菜に含まれるインドール3カルビノール(I3C)という成分だそうです.これが消化されて生成されるジインドリルメタン(DIM)という物質が,腫瘍に養分を補給する血管の発達を妨げるのだとか.

最近,このDIMが注入されたマウスが,致死量の放射線を浴びても死ななかったという実験結果が,アメリカ人と中国人の合同研究チームから発表されました.(こちらに発表された論文が公開されているのでご参照ください.)

実験では,DIMを注入したグループと注入しなかったグループにそれぞれ異なる線量の放射線が浴びせられましたが,致死量の13グレイの放射線を受けたグループのうち,DIMが注入されなかったグループは全個体が8日後に死亡,しかし,被線の10分後にDIMが注入されたグループでは60%の個体が一ヶ月後も生存したそうです.そして,線量を9グレイに落とした場合の一ヶ月後の生存率は80%, 同じく5グレイの場合は100%だったとのことです.

何故,DIMが放射線の影響からマウスを守ったかというと,DIMはATMというタンパク質を活性化したからで,このタンパク質には破損したDNAを修復する機能があるからです.しかも,興味深いことには,ATMが修復するDNAは健全なもののみであり,ガン細胞のDNAは修復しないのです.さらに,DIMは被線した細胞が死滅するのを,細胞の自滅(アポトーシス)が機能するのを妨げる遺伝子を活性化させて防ぎます.

ただ,以上はあくまでもマウスを用いた実験の結果,判明したことであり,こうした実験を生きている人間を用いて実施するのは不可能ですが,この研究結果を発表した研究者たちは,確認出来たDIMの効能は人間においても有効であり,福島の核災害のような突発的被線の影響を抑える効果があるとしています.

以上,10月27日付Le MondeのBlog"Le brocoli, arme inattendue contre la radioactivité"からでした.

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