Sunday, 13 October 2013

エネルギーを巡る話題二つ - フランス,中国,アメリカの進む方向

まず,フランスの憲法評議会が,オランド大統領によるシェールガスのフラッキングによる採掘の禁止が,憲法違反でないという評決を下したというもの.

ことの発端は,このオランド大統領の決定が企業の自由および(工業)所有権への侵害にあたるとして,アメリカのSchuepbach Energy LLCが憲法評議会にその合法性についての審査を申請したことでした.評決の結果に不服のSchuepbach Energy LLCは,今後も司法の場において主張を続ける以降のようですが,今回の評決により,憲法が変わらない限りフランスでのフラッキングによるシェールガスの採掘は不可能になりました.もっとも,オランド大統領としては,禁止したのはあくまでもフラッキングによる採掘であって,もし他の(環境に負荷をかけない,あるいは環境への負荷が少ない)方法であれば許可するのにやぶさかではないとのことですが,現時点において,フラッキングはシェールガスの採掘に用いることのできる唯一の手法のようです.

以上,L'EXPRESSの10月11日付"Gaz de schiste: la fracturation hydrolique reste interdite, et maintenant?"からでした.

もうひとつは,中東からの原油輸入量では,今やアメリカを抜いて世界第一位となった中国についての話題です.

現在,国全体がエネルギーを貪る喰う,とてつもないエナギボラス(energivorous)と化している中国.中東の,今のところ政情が比較的安定しているサウジ・アラビア,イラン,イラクにとって,また,中国市場の拡大が加速しているドイツの自動車製造業にとってみれば良い知らせですが,果たして深刻化するスモッグに悩まされている北京などの大都市民にとってはどうでしょうか.*1) ところで,これまで莫大な予算を投じられて中東の原油の安定的な供給を保障していたアメリカの海上軍事力ですが,今後,財政問題から縮小化が進むことも考えられます.アメリカ自体,豊富に埋蔵されているシェールガスやシェールオイルの採掘によりエネルギー輸出国になる可能性も取り沙汰されており,もはや当該海域における航空母艦によるパトロールを続ける必要性自体も議論の対象となるでしょう.同様に,ロシアもエネルギー資源は豊富であり,敢えてアメリカがこれまで担ってきた役割を引き継ぐ必要はありません.こうした中,中東産原油の輸入が増え続ける中国の出方が注目されています.果たして,太平洋,アフリカ,そして中央アジアで行っているのと同様に,中東にもその力を示すようになるのでしょうか.

以上,10月12日付Spiegelの"China und der Nahe Osten: Die widerstrebende Weltmacht"からでした.

最後にSpiegelが提供する2030年における世界のエネルギー需給状況を予想したインフォーグラフはこちらから.

関連ポスト:アメリカ,世界第一位のエネルギー資源輸出国へ水を巡るアジア危機 - 中国政府によるチベットの水資源独占の影響



*1)Cf. Mehr als 20 Prozent plus: Chinesischer Automarkt wächst im Eiltempo" in Spiegel, 11.10.2013

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