Wednesday 23 October 2013

80歳を迎えるタンタン

2014年は,世界中にファンを持つ少年レポーター,タンタンのシリーズ第1作が出版されてから80年目にあたります.出版元のカステルマンおよび作者エルジェの作品の管理および販売を行っているムランサールは,10月21日,2014年にエルジェとタンタンに関する特別なシリーズを共同編集し刊行すると発表しました.皮切りは"Les Cigares du pharaon"を特集したものになるとのこと.(2014年3月発行予定)その後,"Les Sept Boules de cristal", "Le Temple du Soleil"の特集が続くそうです.さらに,カステルマンとムランサールは,ベルギーのルヴァン・ラ・ヌーヴにある私設のエルジェ美術館(Musée Hergé)のスポンサーになることも発表されました.同館は,これまでに35万人を超える人が訪れています.

77もの言語に翻訳された『タンタンの冒険』("Les Aventures de Tintin")シリーズのこれまでの販売数は,2億3千万部以上.そして,スピルバーグ監督の作品"Le Secret de la Licorne"の公開以降,タンタンの本はコミックとしては最大の販売部数を記録しています.*1)

以上,10月21日付L'EXPRESSの"Casterman et Moulinsart coéditeront des inédits pour le 80e anniversaire de Tintin"からでした.

そういえば,エルジェがなくなった1983年は,フランスのメディアも彼を追悼する番組を放送しましたが,そのなかのある番組で実写版の映画でタンタン役を演じたジャン・ピエール・タルボへのインタビューが紹介されていました.そのなかでタルボは,オーディションのときの様子を始め,さまざまな思い出を語っていましたが,特に印象深かったのは,映画出演の数年後,彼が,確かベルギーを訪問した英国女王のパレードの衛兵として沿道に立っていたときのエピソードです.沿道に詰めかけた人々は,最初は通り過ぎる女王陛下に向かい"Vive la reine!"(「女王陛下万歳!」)と叫んでいたのですが,やがてタルボに気づき一斉に"Vive Tintin!"(「タンタン万歳!」)と叫び始め,おしまいには収拾がつかない騒ぎになってしまったため,結局,彼は上官から帰るように言われたそうです.*2)

(映画の中のタルボの画像は,"Jean Pierre Talbot"というキーワードで検索すると表示されます.)

*1) 2位は"Asterix"
*2) このエピソードの内容が正しい,つまり私の記憶が正確だとしますと,1966年にエリザベス女王がベルギーのブリュッセルとアントワープを訪れたときのことのようです.(Cf. List of state visits made by Queen Elizabeth II in Wikipedia)タルボがタンタン役で映画に出演したのが,1961年の"Tintin et le Mystère de la Toison d'or"と1964年の"Tintin et les Oranges bleues"でしたから,1966年というと,まさに人気が絶大になっていた頃でしょう.なお,最初の作品である"Tintin et le Mystère..."に出演したときの彼の年齢は17歳でした.

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