Thursday, 10 October 2013

ランペドゥーザの住民こそ2014年ノーベル平和賞候補

10月3日,イタリア,ランペドゥーザ島でアフリカからの避難民を乗せたボートが座礁,また,その数時間後には別の同様に避難民を載せた漁船が炎上し,合計数百名にのぼる犠牲者を出しました.これらの船に乗っていたのは,エルトリア,エジプト,ソマリアから逃れて来た人たちでした.

以下は,10月8日付電子版Le Monde紙に掲載された"Lampedusa doit être candidate au prix Nobel de la paix 2014"の内容の要約です.執筆したのは,イタリアの日刊紙L'Expressoの記者Fabrizio Gatti氏です.

ブログFortress Europeによると,1994年以降,同島近海で命を落とした避難民の数は6825名にのぼるそうです.そのうちの2352名が,2011年の1年間に確認された数です.また,範囲をカナリア諸島からトルコまで広げると,1988年以降の犠牲者の数は19142になるそうです.

この数年間,EUは,数百万ユーロの予算を国境警備につぎ込みました.しかし,避難民の保護や亡命許可の基準などについては,各国の足並みは未だに揃いません.特に,海上における避難民の保護への関心は薄く,こうした悲劇が 繰り返される原因ともなっています.こうした,EUとしての避難民政策の不在が,皮肉なことにマフィアに避難民ビジネスの機会を与えてしまっているのです.こうした状況にも関わらず,一年前EUはノーベル平和賞を受賞しました.

私は,むしろ, 同賞を受賞すべきなのは戦争から逃れようとした数千二も及ぶ避難民たちではないかとL'Expressoの紙面で訴え,同時にそのための署名も集めることを提案しました.しかし,亡くなった方たちが受賞することはできません.それなら,悲惨な事故が起きるたびに犠牲者の遺体の回収を続けて来たランペドゥーザ村とその住民こそ受賞すべきではないかと考えています.

なお,L'EspressoにおけるGatti氏の記事および署名の呼びかけはこちらです(フランス語).また,英国の10月8日付The Guardianの電子版に掲載された記事"EU pressed to rethink immigration policy after Lampedusa tragedy" では,EU内部における避難民政策についての不一致の状況を伝えられていました.

10月10日のL'EXPRESSに掲載されたランペドゥーザの悲劇のウェブギャラリーはこちらです.

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