Saturday 3 May 2014

憲法記念日に思い出した江原素六の言葉と2009年にアフガニスタン,クンドゥズで起きたこと

日露戦争当時,麻布中学校長だった江原素六は『中央公論』1904年8月号に「新国民の自覚を促す」という論説を発表しました.以下は,その中の一部です.
政治家のいふには背後に兵力のない外交は効力がないといふが、兵力のみを相手にする外交も當てにならぬのである。やり損ふたら兵力でやるといふのは極めて危ない外交といはなければならぬ。兵力を充實すると同時に、背後の国民に高尙なる外交心が備はる様に教育せねばならぬのである。外交に關する教育を授けて外交心即ち當世の言葉でいへば對外的精神を高尙にすることは徳育上最も注意せねばならぬのである。
上記の彼の言葉を敷衍すれば,もし,今日の日本の外交がお粗末であるとしたら,それは政治家や官僚のせいというより,少なくとも選挙で前者を選ぶ私たち国民の側に高尚な対外精神が欠けているからといえるのではないでしょうか.

そこで提案したいのは,今や,最も重要なパートナー(と少なくとも日本側は考えている)アメリカについて,そして,第二次世界大戦後,特に9.11の同時多発テロ事件以降にアメリカが世界各地で行った軍事介入において起きたことについてよく知ることです.そのためのひとつの例として挙げたいのが,2009年にアフガニスタンのクンドゥズ(Kunduz)で発生したNATO軍の誤爆による民間人100名以上の殺害です.そして,集団的自衛権の行使をなんとしても望む方々に少なくとも自らの議論を展開する前に知っておいていただきたいのは,当該の爆撃をアメリカ軍に要請したのは,現地に駐在しているアメリカの同盟国であるドイツ軍だったということです.この事件については,北ドイツ放送が詳細に再構成した"Eine mörderische Entscheidung"というセミドキュメンタリーを制作しています.作品についての解説は,ドイツ語ですが,こちらからPDFファイルをダウンロードできます.(一応,Wikipediaにもこの悲劇的な事件に関するページが存在していることもお伝えしておきます.)

また,ウクライナ危機発生を受けてのアメリカの外交政策について,最近読んだ資料で興味を引かれたものというと,去る4月18日にブルーキングス研究所で行われた討論会の速記録(PDFファイル)でした.録音された音声共,同研究所のサイトのこちらのページからダウンロードできます.

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