Friday, 30 August 2013

同性愛宣伝禁止法違反のロシア人画家,フランスへ脱出

「密告,検閲,恐れ,そして逃亡.21世紀のロシアへようこそ.」という書き出しで始まるのは,28日付電子版L'EXPRESSの文化面の記事"Russie: il peint Poutine en sous-vêtements féminins, puis s'enfuit en France".*1)

同性愛が嫌われているロシア*2)ですが,ザンクト・ペテロスブルグでは法律で同性愛の宣伝を未成年に行うことは禁止されています.そのホモフォビックな法律に違反した疑いで当局から追われているのが,画家のアレクサンドル・ドンスコイ氏.彼は,ザンクト・ペテロスブルグで私設の美術館《権力の美術館》の館長でもあります.この一風変わった美術館で展示されているのは,今のロシアの様々な分野の権力者たちの肖像.でも,その描き方が相当変わっていて,例えば,今回,特に問題視されたのがこの作品(女性の下着姿のプーチン大統領が同じくメドヴェーデフ首相の髪を梳かしている)というように,もはや風刺画というジャンルに収まるのかいささか疑問といったものばかり.

今回の警察の介入は,ある市民からの「(権力の美術館)で展示されている絵は法律に違反しているのではないか」という通報によるもので,カラシニコフで武装した警官隊が出動,法律に違反している疑いがある作品が没収され,さらに美術館も閉鎖されました.自分の美術館の閉鎖の裏には,上述の法律の生みの親であるヴィタリ・ミロノフ議員がいるとドンスコイ氏はミロノフ氏を非難していますが,同性愛の象徴である虹色の旗の前に同氏がたたずんでいるという構図の作品にも法律違反の疑いがかかっています.

ドンスコイ氏は当局からの追求を恐れて,現在滞在中のフランスへ28日に脱出したそうです.

なお,9月4日付Spiegelの記事"Putin und Obama nackt:Russische Polizei konfisziert Gemälde"では,やはりロシア人女性画家のオバマ大統領とプーチン大統領をモチーフにしたこのような作品が紹介されていました.ザンクト・ペテルスブルグのある美術館で展示されていたそうですが,間もなく開催されるG20を前にもちろん当局により没収されたそうです.その美術館も閉鎖されたそうです.(少々過激と思うのでご紹介するのをためらいましたが,一応記録として残しておく事にします.女性には閲覧はお薦め出来ません.)

このポストを書いて暫く経ってから,やはりSPIEGELに11月12日付で"Rechtsextreme in Russland:Grausame Schau der Schwulenhasser"という記事が掲載されましたが,ロシアのネオナチも攻撃の対象を外国人から同性愛者へと変化しているようです.



*1) 独シュピーゲルの同様の内容の記事へはこちらから.
*2) やはりL'EXPRESSの6月12付の記事"La Russie réprime la "propagande" homosexuelle et l'offense aux croyants"によると,世論調査の結果ではロシア市民の88%が同性愛の宣伝禁止を支持,同じく54%が同性愛を罰する必要があると思っているそうですが,この前まで都知事をやっていた人とすごく気が合いそうです.

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