Sunday, 25 November 2012

フランス,路面電車導入ブームにかげり

11月23日付M le magazine du Mondeの記事Le tram en bout de courseによると,2012年の年末は,フランス各地で路面電車の路線開業が目白押しだったそうです.具体的には,11月17日にはリヨン,12月8日にはディジョンにおいてそれぞれ開通し,同月12日にはル・アーブルの路面電車の路線網が延長されました.また,イル・ド・フランスでは,セーヌ・サン・ドゥニで,既存のT1線が,11月15日からオ・ドゥ・セーヌ県のアスニェールまで延長され,オ・ドゥ・セーヌ県内を走るT2線が,同月19日からヴァル・ドワーズ県のブゾンまで延長されました.そして,パリのT3線が,12月15日から,それまでのラ・ポルト・ディブリからラ・ ポルト・ドゥ・シャペルまで延長されることになっています.

政府系機関であるCetu(Centre d'études sur les réseaux, les transports et l'urbanisme)によると,2000年以降,路面電車を導入した都市の数は2倍,営業キロ数は3倍,そして,乗客数は4倍になったといいます.しかし,導入の費用が高額の路面電車の導入には,予算の面からそろそろブレーキがかかりはじめています.因みに,路面電車の路線整備には,1キロあたり,2500から3000万ユーロかかりますが,これは,パリのメトロの建設費用に比べれば1/5ですが,バスの路線に比べると3倍のコストです.フランスの会計検査院(la Cour des comptes)は,この点について,関係自治体に対し注意を促し続けています.例えば,2010年には,パリのT3線のコストが過小に見積もられていた点を指摘し,さらに,2012年には,パ・ドゥ・カレ県のリエヴァンとエナン・ボモンを結ぶ路線について,その建設の妥当性に疑義を表明しています.しかし,地方議会の議員の多くは,選挙を2年以内に控えて,得票率のアップにもつながる路面電車の導入に意欲を示し続けていることも事実です.

Certuのヴァルネゾン・ルヴォル氏は,地方自治体の中には,高コストの路面電車より専用レーンを走るバスの導入を優先せざるを得ないところが出てきたといいます,例えば,ストラスブールでは,国鉄の線路に乗り入れて空港迄行くの出来る路線が計画されていましたが,現在,その計画は中断しています.というのは,同路線の建設にはトンネルを掘る必要があるので,その費用が高くつくからです.メッツ,シャンベリ,ベルフォールでは,導入計画自体が撤回されました.代わりに,メッツでは,専用レーンを走行するバスの導入が計画されていて,2013年には開業予定です.また,ベルフォールでは,交通機関の組合の代表クリスチャン・プルースト氏は,路面電車の導入に反対の立場をとっており,同氏によると,路面電車を導入するより,バス路線,自転車,また,カーシェアリングを充実させるべきであり,そのほうが,より経済的であり効率的なのだそうです.

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