Tuesday, 13 November 2012

アメリカ,世界第一位のエネルギー資源輸出国へ

スイス放送(DRS)と独SPIEGELのサイトが,それぞれ11月12日付のUSA bald grösster EnergieproduzenUSA werden Ölmacht Nummer einsという記事のなかで,先日,IEA(International Energy Agency)によって発表された報告書に書かれている今後の世界のエネルギー事情予測を紹介しています.

以下,その中から,いくつかのポイントを抜き出してみました.

まず,二つの記事の同じようなキャプションをまとめてみると,アメリカは,比較的近い将来,悲願の外国へのエネルギー依存からの脱却が達成可能.2017年には,ロシアや中東諸国を抜いて,世界第一位の原油産出国になり,2035年以降は,純粋にエネルギー資源の輸出国になるそうです.

以下,記事本文から(両方とも同じような内容です.)

天然ガスについては,アメリカは,2015年までに世界最大の産出国になり,2020年には,輸出量が国内消費量を上回るようになります. 現在,アメリカは,国内で消費される化石エネルギーの20%を輸入していますが,そうした状況の根本的な転換が起こるというのです.

こうした変化が起こる理由は,これまで採掘が困難とされていた"tight oil"と呼ばれる,固い岩盤内に埋蔵されている原油が,採掘技術の進歩によって採掘可能となり,同様に,環境保護の視点から,その安全性について賛否が分かれているシェールガスの採掘も技術的に可能となっていることです.そして,これに平行して,自動車などに消費されるエネルギーの量も減少するという事情もあります.その結果,中東産の原油は,その90%がアジア諸国に輸出されるようになります.

IEAの報告書は,また,将来におけるエネルギー消費の減少についても述べています.それによると,2035年までに,世界のエネルギー需要において,2010年当時の需要の1/5程度の削減が可能となりますが,やはり,2035年までに,世界のエネルギー需要は,1/3程増加するといいます.後者の理由としては,中国,インド,また,中東諸国の経済発展が挙げられています.そして,ドイツ,スイス,日本などの原子力発電からの脱却により,気温の上昇量を2度以内に抑えるという目標の達成は困難になるとみています.

また,ヨーロッパや日本における電力料金の高騰にも言及がされていて,2035年における電力料金は,それぞれ課税前の価格ですが,日本においては,1キロワット当たり24 USセント,ヨーロッパでは,同じく19 USセント,なお,中国では,同じく7 USセント,アメリカでは,同じく14 USセントと予想されています.

最後に,今後の世界の原油供給状況については,世界的な経済活動の沈滞の影響により,今後5年の間に,世界の原油供給は安定するとし,原油の輸入価格も,1バーレル当たり89ドル程度になるだろうとしています.

以上が,記事の要約ですが, やはり,11月12日付電子版SPIEGELの別の記事Deutsche Firmen ziehen sich aus Desertec zurückによると,先日,ご紹介した,北アフリカにおける太陽熱発電所の建設を進めるDesertecから,ドイツのSiemens社やBosch社が撤退を決めたようです.ヨーロッパのエネルギー政策も,今後気になるところです.

なお,今後の世界のエネルギー・バランスの見通しを示したグラフがSPIEGELのFOTOSTRECKEにおいて公開されています.ドイツ語ですが,ご参考迄に.

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