11月5日のスイス放送(SF)の夜のニュース(Tagesschau)で取り上げられた話題.オリジナルのタイトルは,Chinas grosser Durst nach Wein.
すでに日本でも報じられていますが,昨今の中国におけるワインの消費は拡大の一途を辿っているようです.もちろん,一般に中国で好まれるのは,どちらかというと米酒や蒸留酒であり,ワインの消費量は,年間国民一人当たり1リットル(2011年)に過ぎません.しかし,それに人口を掛けるとおよそ14億リットルというとてつもない量になります.これは,2002年と比較して4倍の量です.このため,中国は,ワインの消費量において,今や英国を抜いて世界第5位へ躍り出ました.これは,中国におけるミドルクラスの増加によるものと言われますが,"International Wine and Spirit Research"(IWSR)によると,中国におけるワインの需要は,2015年までに54%上昇しそうとのこと.そうなると,28億リットルで,中国は,さらに米国をも抜いてしまうことになります.
また,中国におけるワインの生産も急成長しており,2011年には11億リットルが生産されました.実際,ワインの生産にとって好ましい条件も揃っていて,ヨーロッパにおいて北緯40から50度に位置する,ワイン用のブドウの生産に適した気候を備えた地域も存在します.しかも,その土地が安価で手に入るのです.通常,ワイン用のブドウの生産に適した土地の価格は,例えば,ニュージーランドのマルボローなどでは1ヘクタール当たり10万ドルですが,中国では,同様の土地が5000ドルで購入できるといいます.
もっとも,質の面から言うと, 中国製のワインは,例えれば,まだ子供のレベルであり,大人のレベルまで成長するには,もう少し時間がかかると専門家はみています.そのため,中国産のワインは,現在,国内市場をターゲットにおいていますが,それでも急拡大する国内需要に応じることはできないため,2011年の輸入ワインの割合は,40%まで増加しました.(2兆4千億リットル)主な輸入元は,フランス,オーストリア,チリ,スペインですが,ここ数年,ワインの生産過剰が問題となっている欧州連合各国にすれば,中国におけるワインの消費量の拡大は,願ってもないチャンスというわけです.
以上,内容を要約してみました. これを読みながら,最近,ドイツのシュピーゲル誌に掲載されていたDrei Millionen Chinesen sterben jährlich an Herzproblemenという記事を思い出しました.(10月25日付電子版) それによると,中国では,経済の急成長に伴う食習慣の変化により肥満,糖尿病,高血圧症が増加し,今や,心臓発作や脳卒中で亡くなる中国人の数は,年間300万人で,10秒に一人がこれら循環器系疾患により亡くなっているというのです.そして,最近の中国の死亡原因の第一位も,やはりこれらの疾患だそうです.これは,10月25日に北京で開催された国際心臓病学会での報告の内容ですが,中国と言えば,道教の神仙思想が生まれた国であり,また,医食同源など健康や不老長寿のに役立つ文化を持った国と思っていたのですが,今や,経済発展による物質的繁栄は,残念ながらそうした文化に変化をもたらしつつあるようです.もちろん,ワインの消費量の拡大が中国に置ける循環器系疾患の増加の原因というつもりはありません.何しろ,一人当たりの消費量は欧米に比較してまだ僅かであり,中国で好まれるのは他のアルコール飲料です.とはいえ,ワインの消費が増えていることは事実であり,中国人の食生活の欧米化の一端を示すものと言えなくもなさそうです.
すでに日本でも報じられていますが,昨今の中国におけるワインの消費は拡大の一途を辿っているようです.もちろん,一般に中国で好まれるのは,どちらかというと米酒や蒸留酒であり,ワインの消費量は,年間国民一人当たり1リットル(2011年)に過ぎません.しかし,それに人口を掛けるとおよそ14億リットルというとてつもない量になります.これは,2002年と比較して4倍の量です.このため,中国は,ワインの消費量において,今や英国を抜いて世界第5位へ躍り出ました.これは,中国におけるミドルクラスの増加によるものと言われますが,"International Wine and Spirit Research"(IWSR)によると,中国におけるワインの需要は,2015年までに54%上昇しそうとのこと.そうなると,28億リットルで,中国は,さらに米国をも抜いてしまうことになります.
国別ワインの消費および生産量(2010年)
SFのサイトより |
また,中国におけるワインの生産も急成長しており,2011年には11億リットルが生産されました.実際,ワインの生産にとって好ましい条件も揃っていて,ヨーロッパにおいて北緯40から50度に位置する,ワイン用のブドウの生産に適した気候を備えた地域も存在します.しかも,その土地が安価で手に入るのです.通常,ワイン用のブドウの生産に適した土地の価格は,例えば,ニュージーランドのマルボローなどでは1ヘクタール当たり10万ドルですが,中国では,同様の土地が5000ドルで購入できるといいます.
もっとも,質の面から言うと, 中国製のワインは,例えれば,まだ子供のレベルであり,大人のレベルまで成長するには,もう少し時間がかかると専門家はみています.そのため,中国産のワインは,現在,国内市場をターゲットにおいていますが,それでも急拡大する国内需要に応じることはできないため,2011年の輸入ワインの割合は,40%まで増加しました.(2兆4千億リットル)主な輸入元は,フランス,オーストリア,チリ,スペインですが,ここ数年,ワインの生産過剰が問題となっている欧州連合各国にすれば,中国におけるワインの消費量の拡大は,願ってもないチャンスというわけです.
以上,内容を要約してみました. これを読みながら,最近,ドイツのシュピーゲル誌に掲載されていたDrei Millionen Chinesen sterben jährlich an Herzproblemenという記事を思い出しました.(10月25日付電子版) それによると,中国では,経済の急成長に伴う食習慣の変化により肥満,糖尿病,高血圧症が増加し,今や,心臓発作や脳卒中で亡くなる中国人の数は,年間300万人で,10秒に一人がこれら循環器系疾患により亡くなっているというのです.そして,最近の中国の死亡原因の第一位も,やはりこれらの疾患だそうです.これは,10月25日に北京で開催された国際心臓病学会での報告の内容ですが,中国と言えば,道教の神仙思想が生まれた国であり,また,医食同源など健康や不老長寿のに役立つ文化を持った国と思っていたのですが,今や,経済発展による物質的繁栄は,残念ながらそうした文化に変化をもたらしつつあるようです.もちろん,ワインの消費量の拡大が中国に置ける循環器系疾患の増加の原因というつもりはありません.何しろ,一人当たりの消費量は欧米に比較してまだ僅かであり,中国で好まれるのは他のアルコール飲料です.とはいえ,ワインの消費が増えていることは事実であり,中国人の食生活の欧米化の一端を示すものと言えなくもなさそうです.
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