Wednesday 21 November 2012

ハマスとファタの資金源

スイス放送(SF)のニュースページに掲載された11月20日付記事«UNO-Gelder für Waffen? Die bekommt die Hamas geschenkt»から.

現在,戦闘が行われているガザほど,世界から資金が集まる地域はないとこの記事は言っています.そして,«CIA – World Factbook»によると,ガザには,国連,米国,欧州連合から年間およそ20兆ドルの資金が送金されており,その半分をヨルダン川西岸を支配するファタ,そして残りの半分をハマスが受け取っているそうです.

また,ハマスは,上記の金額に加えて年間300万ドルほどイランから受け取っていましたが,これは,ハマスが,シリアのイランと良好な関係にあるシリアのバシャル・アル-アサド政権に対抗する姿勢を採るようになってから中断しています.そして,今はトルコによって同額の資金がハマスに提供されています.この結果,2012年のハマスの予算は,前年に比較して25%増加しました.

それでは,今回の戦闘において,最初の7日間にガザからイスラエルに向けて発射された1000発を超えるミサイルの購入資金は,一体誰が提供したのでしょうか.スイス放送(DRS)の安全保障の専門家Fredy Gsteigerによると,基本的に上記の資金は武器の購入には使えず,ハマスは,これらの武器を,スーダンやカタール,また,反ユダヤ主義者やイスラム原理主義者のスポンサーなどから無償で受け取っているといいます.また,これらの国や個人から武器が受け取れなくなった場合でも,イランやシリアが供給を続けます.関係が悪化したといっても,共通の敵はイスラエルであり続けるわけですから.

さらに,エジプトの政権を手にしたイスラム同胞団も,政権に就いたときからガザへの武器の輸出ルートを開放したことで,結果的に,ハマスは武器の供給を受ける機会は増えているのです.アラブの春の皮肉な結果といえましょうか.

"Time Magazine"*1)は,ハマスへの武器の流入ルートについて報じていますが,それによると,例えば,イランから運ばれるミサイルの場合,それらは,経由地のスーダンで中国や北朝鮮製の武器が加えられ,エジプトのシナイを通ってガザとの国境まで運ばれるとのことです.

また,スイスの"Basler Zeitung"紙の11月20日付の記事"Gaza-Offensive wurde jahrelang vorbereitet"によると,4年前の戦闘の終結以降,ハマスは,その軍備の近代化と充実を用意周到に進め,今回の攻撃の開始に際しては,イスラエル国民の半数の居住地域をそのミサイルの射程範囲に納めていたそうです.


*1) SFの記事には,"Time Magazine"とありますが,"The New York Times"の記事同様の内容を伝えています.

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