Saturday 21 March 2015

30人もの入館者を救ったバルド博物館のガイド,ハムディさん

ここで,覚えておきたいことがあります.それは,これ迄に起きた少なくとも3件のイスラムを名乗るテロリストらによる襲撃事件において,場合によっては自らの命を犠牲にしてノンムスリムを含む,多くの人の命を救った方達もまたムスリムだったということです.1つ目の例は,日本人10名を含む合計8カ国の37名が犠牲となったアルジェリアの天然ガスプラント襲撃事件において,事件の発生をいち早く中央制御室へ伝え,テロリストらのプラント全体を爆発させる計画の阻止に貢献し,自らは銃撃され命を落とした現地人警備員モハメッド・アミンさん(Mr. Mohamed Amine, 当時26歳),2つ目は,まだ記憶に新しいところですが,ヴァンサンヌ門のユダヤ人向け食料品店襲撃事件で,買い物客達を冷凍倉庫に匿い彼らの命を救ったマリ系ムスリムのラッサナ・バティリィさん(Mr. Lassana Bathily),そして,今回のバルド博物館のガイドをされていて建物の構造を熟知していたために同博物館入館中の多くの見学者を救うことができたアリ・エッディン・ハマディさんです.日本でも,先日,13歳の少年が殺害されるという,どうにもやりきれない事件が起き,あちこちで'命を大切にしよう'という言葉が聞かれますが,個人的には,その言葉にお題目的,あるいは呪術めいた,つまり人間以外の存在に頼ろうとする匂いのみ感じられ,それがどう具体的な効果につながるのか理解に苦しむところです.少し,話の筋からそれますが,日本という国は,命は大切にするかもしれないが,人間は大切にされない国のようにも思うことがあります.人間を大切にする,特にこの世のすべての人間を大切にするという普遍的人権という概念は,残念ながら日本においては西洋諸国に比べ非常に希薄です.それは,ほぼ間違いなく宗教の違いに由来すると思っています.すべての人は(1柱の)神の前において平等であるという普遍的人権の思想,あるいは意識はユダヤ教,キリスト教,イスラム教といった一神教,より正確に言えば,啓示宗教を持たない限り自然には育たないものと思うのです.もちろん,だからと云って,日本人もそれらの宗教に改宗すべきとは思いません.重要なのは,上記の宗教が文化の基盤となっている国の人達と私たちの精神文化の基盤は全く異なると言うことに気づくことだと思っています.

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