Thursday 6 November 2014

沿岸の小島が津波の威力を増幅してしまう!?

以下は,11月5日付SPIEGELの"Meeresforschung: Kleine Inseln verstärken Tsunamis"の要約です.

私のような素人でも,沿岸に小島が存在した場合,その向こうから押し寄せる津波に対し,それがある種の防波堤的な効果を果たすのではないかと思ったのですが,最近の研究("Proceedings of the Royal Society A")によると,事実はその反対のようです.

すでに,2004年のスマトラを襲った大津波の際にも,沿岸には多数の小さな島が点在していたにも拘らず,それらによって津波の力が弱まることがなかったことを多くの研究者はいぶかしく思っていましたが,今回,フランスのカシャンにある応用数学研究所Themistoklis Stefanakis氏とEmil Contal氏を中心にした研究チームは,200もの異なる条件のもとで津波の動きをコンピューターを使ってシミュレーションした結果,新たな事実が判明したそうです.

研究チームは,スマトラ島に甚大な被害を及ぼした津波の規模や力は,それが発生した海底の特殊な形状によるものなのか,あるいはそれ独自の性質のよるものなのか,それとも一般的な法則によるものなのかを突き止めようと今回のシミュレーションを行ったのですが, 結論として,沿岸における小島の存在は,津波の発生時,その規模や力を弱めるどころか,むしろそれを強めてしまうことが明らかになったというのです.シュミレーションは,島や海岸の高さ,海底の深さ,さらに島と海岸の間の距離を変化させて行われましたが,いずれの場合も,島は津波に対し,あたかもレンズのように振る舞い,それを分散させるどころか,逆に海岸の一点に集中させてしまうということが判りました.具体的には,海岸から見て,島の後ろに到達した津波は,そこで一旦,二つの波に別れますが,島の手前で再び合流し,むしろその力を最大で70%まで増してしまうのだそうです.(ちょうど,モンスターウェイブのように.)

研究チームの一員であるFrédéric Dias氏は,自分たちの研究の結果を今後の津波の被害の想定に役立ててほしいと言っています.

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