Wednesday, 26 November 2014

生命が存在する可能性がある銀河系は全体の10%

という結論に達したのは,イェルサレムのヘブライ大学の宇宙物理学者Tsvi Piranさんとバルセロナ大学の同じくRaul Jimenezさんです.二人は,研究結果を"On the role of GRBs on life extinction in the Universe"という論文で発表しました.

PiranさんとJimenezさんが,こうした結論に達した理由は,宇宙で発生する強力なガンマ線の放出です.地球から遠く離れた多くの銀河系で発生していることが確認されているガンマ線の放出は,宇宙で最も明るい光を放つ現象とされていて,超新星(supernova or hypernova)の爆発の際に起こると考えられています.超新星は,爆発の後,中性子星,あるいはブラックホールとなります.また,ガンマ線の放出は,二つの中性子性が融合する際にも発生すると考えられています.こうして放出されたガンマ線は,非常に明るい光を放つだけではなく,非常に危険なものでもあるのです.なぜなら,ガンマ線は強い放射能を持っており,しかも遠く迄届くからです.そのため,ガンマ線を浴びた星は,仮に生命が誕生していたとしても,すぐにそれは消滅させられてしまいます.

二人の科学者によると,地球でさえも過去5億年の間に,こうした死の洗礼を浴びた可能性が50%あるそうです.そして,それが生物の大量死を引き起こした主要な原因のひとつであるかも知れないとも述べています.ただ,私たちにとって幸いなことは,太陽系が天の川の中心から,かなり離れたところに位置しているということです.というのは,ひとつの星が過去10億年間にガンマ線を浴びた場合,その星が銀河の中心に近ければ近い程,そこに存在する生命が消滅する危険性は高くなるからです.Piranさんたちの計算によると,ガンマ線を浴びて生命が消滅する確率は,その星が銀河の中心から13,000光年以内に位置する場合,95%,そして,それが50%以下になるのは,32,000光年以上離れている場合とのことです. なお,私たちの地球の銀河の中心からの距離は,およそ25,000から28,000光年です.

このようにみてくると,生命が存在しうる環境として考えられるのは,巨大銀河の辺縁地域であり,生命は,宇宙に存在するすべての銀河のおよそ10%にのみ存在しうるということになります.とはいえ,まだ,宇宙が生まれて間もないころには,そのあとに比べて,より多くのガンマ線の放出が発生していて,しかも,各銀河の大きさも小さかったために,生命の存在の可能性は限りなく小さくなります.さらに,仮にガンマ線を浴びても生き残る可能性を持つ生命体は,どちらかというと顕微鏡単位の生命体であり,より複雑な構造を持ったものが生き残れる確率は非常に低くなります.つまり,仮に知的生命体と呼べるものが存在したとしても,彼らは宇宙の始まりから50億年の間にガンマ線の放射能によって,ほぼ間違いなく死滅していたということになるそうです.

以上,11月25日付L'OBSの"La vie ne serait possible que dans 10% des galaxies"からでした.

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