Thursday, 8 November 2012

ARTE+7おすすめ番組 "X:enius"

子供向けの教養番組のジェニウスですが,毎回,大人とっても,たいへんためになる内容を提供してくれます.

今回のテーマは,「原子力発電からの脱却 - その方法と課題」.ドイツやフランスにおける,再生可能エネルギーの現状と原子力発電から脱却するために解決しなければならない問題をリポートします.

X:enius(フランス語版)
X:enius(ドイツ語版)

(ドイツ, 2012年, 26分)
バイエルン放送制作

無料視聴可能期間:2012年11月7日08:28から1週間

以下,内容です.

ドイツは,国内のすべての原子力発電所を,遅くとも2022年までに停止させる決定をしました.一方,フランスでは,オランド大統領は,再生可能エネルギーに関心を示しているものの,原子力発電所については,稼働中のもので最も古いFessenheimの施設を2016年に停止させると表明しただけです.

ドイツ.
風力発電.
現在,ドイツでは凡そ23000基もの風力発電機が稼働中であり,昨年だけでも900基が新たに設置されています.風力発電は,エネルギーシフトにおいて,中心的な役割を果たすものとして期待されている発電方式です.人口30万人のバイエルン州の町Eichenbühlでも,高さ200 mの最新型の機材の設置が計画されていて,予定された2013年に完成されると,そこから8000万世帯に電力の供給が可能になります.

ドイツは,最大の風力発電国であり,最高の発電効率を誇っています.そして,専門家達は,2020年には,この方法による発電量は二倍になると予測しています.

太陽光発電.風力に次いでに番目のクリーン電力源であり,その発電量は2010年から2011年にかけて50%もの増加を見ました.2020年には,消費される電力全体の3%を占めることになるだろうといわれています.この爆発的な増加は,発電設備の設置に対し認められている経済的な公的補助によるものですが,今年になって,この補助金が大幅に削減されることとなり,関係業者はとまどっています.

水力発電.この方法は,とりわけ,山岳地帯を有する南ドイツにおいて有効です.とはいっても,環境破壊につながるため,新たな発電施設を建設は事実上不可能です.そのため,次善の策として,稼働中の施設を改良し効率を高めたり,停止中のものを再稼働させることが検討されています.

バイオガス発電.昨年建設された1300もの施設も含め,今やドイツには,7000ものバイオガス発電所が存在しています.これらの施設の燃料として,大量のトウモロコシが栽培されるようになりましたが,多くの耕作地を必要とするため,他の植物の使用が検討されています.

このように,ドイツにおいては,さらに多くの電力を再生可能エネルギーから生産することが可能です.しかし,そのためには,政治および社会のそれを積極的に押し進める意思が必要です.

フランス.
現在,フランスの総電力量の78%は,原子力発電によって生産されています.原子力発電所の数も,ドイツの6倍にのぼります.オランド大統領は,大統領選挙の公約として,原子力発電の割合を2025年には25%にまで下げると言いました.しかし,グリーンピースフランスによると,フランス人のほとんどが,再生可能エネルギーは,原子力発電に比べて高価であると信じてしまっているため,彼らの意識を変えるのはむずかしいそうです.

水力発電.フランスでも水力発電は,有効な発電手段で,原子力に次ぐ電力源です.新たな施設の建設は,ドイツ同様,環境保護の視点から不可能ですが,全国におよそ2000ほどあるとされる,稼働中あるいは停止中の小規模な発電施設の設備を改良,停止中の場合は再稼働させるといった試みが,Green Energy Franceなどによって始められています.番組で取り上げられていたのは,Charente県のLa Chapelleという村にある古い水力発電施設ですが,売りに出されていたこの施設をGreen Energy Franceは買い取り,この冬から設備の改良を行うことにしています.改良後の発電量は現在の60 kwの6倍になり,600世帯への電力供給が可能になるといいます.改良の目玉といえるのは,現在のプロベラをアルキメデスのポンプによって置き換えること.後者は,前者に比べてゆっくりとした速度で回転するため,魚たちは,傷つくこと無く,それを通っての移動が可能となります.つまり,発電設備が魚道としても機能するわけです.こうした設備の設置にかかる費用の20%は,欧州連合によって補助されます.Green City Energy Franceによると,現存する同様の2000の発電施設に同様の改良が実施された場合,全国の消費電力の数パーセントを賄うことができるといいます.

風力発電.グリーンピースフランスによると,フランスは,風力発電においてもドイツに次ぐ潜在能力を持っていますが,特に有望な地域は南フランスです.

La Chapelleの発電施設も含め,Green Energy Franceは,地域住民の資金参加を提案していますが,ドイツは,現存のクリーン発電施設のうち,半数が民間資本によるものです.エネルギーシフトへの国民の参加においても,ドイツは先進国なのです.

エネルギーシフトの課題.
蓄電の問題.風力にしろ,太陽光にしろ,こういった再生可能エネルギーによる発電の弱みは天候に左右されるということ.言い換えれば,蓄電ができないということですが,この問題を解決できる唯一の方法が,揚水発電です.ドイツでは,すでに30もの揚水発電所が存在していますが,新たに建設する場合,人工湖を造らねばならないため,環境保護の視点から言うと問題がないわけではありません.また,揚水発電の施設が設置できたとしても,それによって全ての問題が解決するわけでもないのです.この問題を解決するため,蓄電池付きの冷蔵庫など,いろいろな選択肢が研究されています.

原子炉廃炉の問題.専門家へのインタービュー.

1. 6年ないし7年程度かけて燃料棒を冷却した上で搬送.
2. 放射能汚染の激しい圧力容器,蒸気発生器,汚染された冷却水等が流れる管類等を特別な施設に保管(ドイツでは,Gleifswald).
3. 建物の解体.残骸は,放射能レベルを下げるために他の廃棄物と混合し,最後は,道路建設等に用いられる.

すでに上記のプロセスにより,1995年には,Niederaichbachの重水炉の廃炉が実行されています.

送電の問題.蓄電の問題に加え,クリーンエネルギーの問題として指摘されるのは,ほとんどの場合,発電施設と使用者が離れているということです.例えば,風力発電のメッカ北海沿岸で生産される電力を南ドイツの工業地帯まで効率よく送電するために,送電会社は,その流れを管理システムによって制御しなければなりませんが,その作業量が,Tennet一社だけでも,2010から2011にかけて3倍に膨れ上がったそうです.送電の効率化には,あらたな送電網の整備が必要となりますが,それも地元住民の賛同を得るのは容易なことではありません.次善の策として,ガス発電所の建設も提案されたりしているようですが,天然ガスは高価なので,公的補助無しには無理のようです.

このように,果たして2020年迄に,ドイツは,完全にエネルギーシフトを成し遂げることができるのか,今のところ不透明な部分もありますが,面白いことに,ドイツが太陽光発電で生産した電力を,電力不足のフランスに輸出したことがあるそうです.特に寒さが激しい冬だったようですが.(La Tribuneの記事参照.)


以上が,番組の内容ですが,手元の"ATLAS der GLOBALISIERUNG"(グロバリゼーションの地図)*1)という本の92ページから99ページにも関連する情報が載っています.うらやましいと思うのは,適切な送電システムを整備することができれば,将来,ヨーロッパ全域において,相互補完することで電力における自立が可能になりうるということです.*2)

番組とは関係ありませんが,昨年の夏,北海沿岸のドイツの町Husumを訪れた際,ホテルの部屋から写した写真です.


*1) Barbara Bauer, Dietmar Bartz et al., 2010年, taz Verlags- und Vertriebs GmbH, Berlin(オリジナルは,フランス語.)
*2) ibid. pp94f

Wednesday, 7 November 2012

大統領選と同時に実施された住民投票 - 大麻,同性結婚,妊娠中絶

11月7日8:41付電子版Le Monde紙掲載のCannabis, mariage homosexuel, avortement : les autres scrutins clésより.

大統領選挙当日,全米27の州において172を下らない数の住民投票や公聴会が開かれました.そのうち,最初のおよそ10の住民投票において,同性結婚,嗜好品としての大麻の使用,そして妊娠中絶の公費負担が認められることになりました.

大麻. コロラド州とワシントン州は,嗜好品としての大麻の使用を認める最初の州となりました.住民投票の結果は,NBCによると,前者においては賛成が54%,反対は46%,後者においては賛成55%,反対45%だったそうです.

すでに米国の多くの州で,医療上の大麻の使用は認められていますが,嗜好品としての使用の許可に踏み切った州はありませんでした.進歩的といわれるオレゴン州にしても同様でした.一方,アーカンサス州とモンタナ州においては,医療におけるマリファナの使用の可否についての住民投票が実施され,前者では否決,後者では可決されました.

同性結婚.今回大統領に再選されたオバマ氏がすでに容認の姿勢を示していることは知られていますが,住民投票の結果メリーランド州が法的に同性結婚を認める7番目の州となりました. そして,予想によるとメイン州およびワシントン州も同様の結果となるだろうとみられています.

メリーランド州に加え,もし,これら二つの州が同様の決定をした場合,以下の,すでに合法化した6つの州を含む全米9つの州において同性結婚が法的に認められることになります. 同性結婚が,すでに合法化されているのは,コネチカット州,アイオア州,マサチューセッツ州,ニューハンプシャー州,バーモント州,ニューヨーク州,そして首都ワシントンです.もっとも,これらの6州が,同性結婚を認めたのは住民投票はなく,司法の判断によるものでした.

妊娠中絶.フロリダ州においては,相当数の保守的な提案が住民投票にかけられましたが,なかでも,強姦,近親相姦,母体に危険が及ぶ場合を除き,妊娠中絶の費用の公費負担を認めないとする提案が,55%の反対によって否決されました.

最後に,カリフォルニア州ですが, 今回,死刑の廃止とOGMを使用した食品のラベル表示の義務化の二つの提案が住民投票にかけられました.(この記事が公開された)水曜日の朝の時点では,これらの提案は否決される可能性が高いようです.

ARTE+7おすすめ番組 "360° - GEO"

ソビエト連邦崩壊前,グルジアは,そのワインの総生産量の85%を他のソビエト連邦諸国に輸出していました.しかし,連邦崩壊後も最大の輸出先だったロシアは,グルジアとの関係悪化の結果,グルジアワインのボイコットに踏み切りました.番組は,美しいグルジアの風景を背景に,ソビエト崩壊後も計画経済のころのように国家管理によるワイン生産を維持しようとする国には距離を置き,新たな生産形態および外国市場の開拓を模索する醸造業者の姿をリポートします.

そういえば,昔,グルジアで制作された,ワイン産業の変遷を描いた『落ち葉』*1)という映画がありました.また,グルジアは,画家ピロスマニの故郷.彼の名前をつけたワインもあり,日本でもロシア料理店などで味わうことができます.

360° - GÉO(フランス語版)
360° - Geo Reportage(ドイツ語版)

(フランス,ドイツ,2009年,43分)
ARTE制作

無料視聴期間:2012年11月6日09:45より1週間


*1) オタール・イオセリアーニ監督,1966年

Some European web news media reporting live US predidential election

ZDF
As shown by the diagrams you can see by clicking Question marks, interestingly President Obama is much more appreciated in Germany than in US, and the majority of German people asked say preferring him to Mr Romny.

Spiegel, Live Ticker

Le Monde
(Article on the Swing States) 

BBC

Tuesday, 6 November 2012

フランス,水圧破砕によるシェールガス採掘禁止

先日のARTE+7おすすめ番組で,オハイオ州におけるシュールガス採掘についての話題をご紹介しましたが("リポルタージュ – 米国の学生債務のバブル/オハイオ州,最大の関心は経済"),11月6日付電子版仏ル・モンド紙に,"Gaz de schiste : le gouvernement exclut une reprise des recherches"という記事が載っていました.それによると,今年の9月15日,オランド大統領は,水圧破砕によるシュールガスの採掘は今後5年間禁止することを表明しました.現在,シェールガスの採掘を可能にする唯一の方法である水圧破砕は,その環境や健康に対する影響を現時点において十分に把握できないため,リスクが大きすぎるというのがその理由です.この決定により,フランスは,世界で最初に水圧破砕を禁止した国になりましたが,シェールガス自体についての研究を禁止したわけではありません.

水圧破砕は,岩盤に水と砂と化学薬品の混合物を高圧で注入することで,それを破砕しシェールガスを採掘しますが,この方法には環境汚染を引き起こす可能性があるといわれています.そして,この採掘法の代替えとして,プラズマアークによる岩盤破砕や岩盤に注入する混合物の代わりとして超臨界状態の二酸化炭素を用いる方法などが研究されています.特に,前者は,水圧破砕では大量に必要とされる水の量を減らすことが可能といわれています.因みに,現在,アメリカでは,毎年水圧破砕のために,人口500万人の都市で消費される生活用水と同じ量の淡水が使われているそうです.

今後,シェールガスの採掘により,米国における天然ガスの価格は,ヨーロッパにおけるそれの1/2.5になるといわれています.一時は,フランスの競争力を高めてくれるものとして期待が寄せらたシェールガスですが,当面,その期待は叶えられなくなったわけです.

以上が,記事の要約ですが,フランスは,経済的競争力より環境や国民の健康を優先したといえます.

上述のリポルタージュによると,今回の米国大統領選では,両候補とも,オハイオ州の経済を立て直す有効なカンフル剤となりうる,同州におけるシェールガスの採掘を積極的に推進する姿勢を示しているようですが,現地の環境保護団体は,オランド大統領同様,深刻な環境汚染を発生させかねない水圧破砕によるシェールガスの採掘には反対しています.オハイオ州は,過去においても,石炭や鉄鉱石の採掘による環境汚染を経験しています.

Eugen Strossの手帳やカレンダー

来年のカレンダーや手帳を購入する時期ですが,個人的には,Eugen Stross(オイゲン・シュトロス)の作品をモチーフとしたものが気に入っています.

今回,自分用に購入したのは,少し大きめの手帳Planer AvantArt.また,先日,知り合い夫妻に,携帯に便利なコンパクトサイズの手帳Lady-Timerを贈りましたが,気に入ってくれたようです.これら以外にも,中間サイズの手帳Premium Timer,さらに住所録(Adress Book)また,さまざまなモチーフやサイズのカレンダーも揃っていて,ドイツのAmazon.deで購入が可能です.注文の方法は,日本のAmazonと同じです.なお,曜日の表記ですが,確認した限り,Lady-Timerでは英語でも表記されていますが,Planer AvantArtは,ドイツ語だけです.また,これらは,すべてドイツ語圏仕様のため,日本の祝祭日の記載はないのでご注意ください.(下の写真は,手元のAvantArt Planerのものです.この手帳には,学校のスケジュール表もついているので,学生仕様なのでしょう.もちろん,住所録もついています.)

中国ワイン消費拡大,でも循環器系疾患による死亡年間300万人

11月5日のスイス放送(SF)の夜のニュース(Tagesschau)で取り上げられた話題.オリジナルのタイトルは,Chinas grosser Durst nach Wein.

すでに日本でも報じられていますが,昨今の中国におけるワインの消費は拡大の一途を辿っているようです.もちろん,一般に中国で好まれるのは,どちらかというと米酒や蒸留酒であり,ワインの消費量は,年間国民一人当たり1リットル(2011年)に過ぎません.しかし,それに人口を掛けるとおよそ14億リットルというとてつもない量になります.これは,2002年と比較して4倍の量です.このため,中国は,ワインの消費量において,今や英国を抜いて世界第5位へ躍り出ました.これは,中国におけるミドルクラスの増加によるものと言われますが,"International Wine and Spirit Research"(IWSR)によると,中国におけるワインの需要は,2015年までに54%上昇しそうとのこと.そうなると,28億リットルで,中国は,さらに米国をも抜いてしまうことになります.

国別ワインの消費および生産量(2010年)
SFのサイトより

また,中国におけるワインの生産も急成長しており,2011年には11億リットルが生産されました.実際,ワインの生産にとって好ましい条件も揃っていて,ヨーロッパにおいて北緯40から50度に位置する,ワイン用のブドウの生産に適した気候を備えた地域も存在します.しかも,その土地が安価で手に入るのです.通常,ワイン用のブドウの生産に適した土地の価格は,例えば,ニュージーランドのマルボローなどでは1ヘクタール当たり10万ドルですが,中国では,同様の土地が5000ドルで購入できるといいます.

もっとも,質の面から言うと, 中国製のワインは,例えれば,まだ子供のレベルであり,大人のレベルまで成長するには,もう少し時間がかかると専門家はみています.そのため,中国産のワインは,現在,国内市場をターゲットにおいていますが,それでも急拡大する国内需要に応じることはできないため,2011年の輸入ワインの割合は,40%まで増加しました.(2兆4千億リットル)主な輸入元は,フランス,オーストリア,チリ,スペインですが,ここ数年,ワインの生産過剰が問題となっている欧州連合各国にすれば,中国におけるワインの消費量の拡大は,願ってもないチャンスというわけです.

以上,内容を要約してみました. これを読みながら,最近,ドイツのシュピーゲル誌に掲載されていたDrei Millionen Chinesen sterben jährlich an Herzproblemenという記事を思い出しました.(10月25日付電子版) それによると,中国では,経済の急成長に伴う食習慣の変化により肥満,糖尿病,高血圧症が増加し,今や,心臓発作や脳卒中で亡くなる中国人の数は,年間300万人で,10秒に一人がこれら循環器系疾患により亡くなっているというのです.そして,最近の中国の死亡原因の第一位も,やはりこれらの疾患だそうです.これは,10月25日に北京で開催された国際心臓病学会での報告の内容ですが,中国と言えば,道教の神仙思想が生まれた国であり,また,医食同源など健康や不老長寿のに役立つ文化を持った国と思っていたのですが,今や,経済発展による物質的繁栄は,残念ながらそうした文化に変化をもたらしつつあるようです.もちろん,ワインの消費量の拡大が中国に置ける循環器系疾患の増加の原因というつもりはありません.何しろ,一人当たりの消費量は欧米に比較してまだ僅かであり,中国で好まれるのは他のアルコール飲料です.とはいえ,ワインの消費が増えていることは事実であり,中国人の食生活の欧米化の一端を示すものと言えなくもなさそうです.

Sunday, 4 November 2012

ARTE+7おすすめ番組 "リポルタージュ - 米国の学生債務のバブル/オハイオ州,最大の関心は経済"

 米国の学生債務のバブル
 2011年秋,アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は,米国における全学生の債務が,1兆ドルを超えたと発表しました.これは,クレジットカード債務を上回る額ですが,10年を経ないで2倍になったというのです.この発表を受けて,今年の大統領選挙では,両候補とも年々高額となり続ける高等教育費の問題を取り上げざるを得なくなりました.

ARTEの取材班は,《高等教育のシリコンバレー》と呼ばれるアリゾナ州のフェニックスを訪れました.そこには,学生数72000人という米国最大の公立大学アリゾナ州立大学(Arizona State University)とやはり米国最大の私立大学フェニックス大学(University of Phoenix)がありますが,後者は,近年,学生たちに多額の債務を強いているという批判を受けています.そして,全米で学生の債務額が最大なのもこの州なのです.

番組では,債務を返済したくても,思うような就職ができないのではと不安がる現役の学生や債務を返済できずに集金代行業者に追われる卒業生へのインタビューを通じて,崩壊すれば,サブプライムローンの破綻時を上回る被害をもたらしかねないとも言われる,学生債務のバブルの根本的な原因を明らかにします.

オハイオ州,最大の関心は経済
大統領選において,"Swing states" と呼ばれる州のうち,もっとも決定的な役割を持つといわれるオハイオ州は,人口1200万人.アメリカの政治のバロメーターと言われ,過去50年にわたり,オハイオ州で勝利した候補者が必ず大統領に選出されてきました.

両候補にとって,重要な意味を持つオハイオ州の住民の最大の関心事は,なんといっても経済.2008年末の州の失業率は,7%を超え,リーマンブラザーズの破産のあおりを受けた2010年1月には,12%近くまで上昇しました.同時に,多くの製鉄所や自動車工場が閉鎖に追い込まれています.

とはいえ,少し前から経済の復活の兆しも見え始めました.それは,比較的安価なエネルギー源として様々な工業分野に恩恵をもたらすシェールガスの採掘によるものと言われます.このように,工業地帯であるオハイオでの勝利の鍵は,健康改革でも環境保護でもなく,エネルギーと自動車工業についての政策なのです.

ARTE Reportage(フランス語版)
ARTE Reportage(ドイツ語版)

(フランス,2012年,52分)
ARTE制作
 
無料視聴可能期間:2012年11月3日18:38より1週間

番組を視てわかったこと:
米国の学生債務のバブル
まず,番組内で紹介された数字で印象に残ったものをお伝えします.その一,現在,アメリカの若者で大学卒業時に就職が決まっている人の割合は,全体の13%.そのニ,大学教育を受けた人とそうでない人の生涯受け取る給与の差は,100万ドル.その三,学生が借りるローンの利率は,年率6.8から7.9%.その四,学生ローンが返済できない学生の割合は,全米で6から9%.取材地のアリゾナ州では,実に15%にのぼるとのことでした.

学生ローンには連邦政府から借りられるもの,州政府から借りられるもの,そして民間の金融機関から借りられるものがありますが,それらの支払いの免除はいかなる場合にも認められないという法律が,1996年,銀行のロビー活動によって国会において承認されたこことにより,銀行にとってみれば,学生ローンは,他のローンに比べてリスクが少ないローンなのです.今日,銀行は,かつて持ち家を望む人々にサブプライムローンを組ませたように,学生たちにできるだけ多額の学生ローンを利用させようとしています.

現在,共和党国会議員の大多数は,連邦政府の学生ローンの利率を現行の二倍に引き上げることに賛成しています.そして,学生ローンの肥大化の対策として,共和党のロムニー候補は,金融機関より家族などから借りることを奨励する程度であるのに対し,オバマ大統領は,利率の引き上げに反対の意を示し,さらに奨学金のための予算も増やす意向を表明しています.そのため,学生たちは,どちらかというと後者の支持に回る人が多いとのことです.

番組では,最先端の情報通信技術を駆使した教育を行っている私立のフェニックス大学も取材していますが,この大学については,学生の債務問題に取り組んでいる民主党のTom Harkin上院議員が提出したリポート*1)に,その予算の収入源についての調査結果が記載されています.それによると,同大学の予算は,2010年にはおよそ40億ドルに達しましたが,その89%が国の奨学金や州の学生ローン,つまり公的資金であり,その1/4,10億ドルが,フェニックス大学の親会社Apollo Group, Incの投資家たちに配当金として支払われたそうです.公的資金の使い途として少々問題があるのではということのようです.

Tom Harkin上院議員のサイト

オキュパイウォールストリート運動の参加者の中には,こうした学生ローンの債務に苦しむ人もいるそうです.

オハイオ州,最大の関心は経済
オハイオ州は,その社会や人口構成から,アメリカの縮図といえるそうで,その意味で,ここでの勝敗がそのまま大統領選の勝敗になるのもうなづけます.この州は,また,地下に豊富なシェールガスや原油を有していますが,今や,それこそが,オハイオを貧困から救う打ち出の小槌というわけです.しかし,こうした天然資源の採掘には,水圧破砕(hydraulic fracturing)という手法が使われますが,この手法は,鉄鉱石や石炭の採掘による環境汚染を経験しているこの地域における新たな環境汚染を招くと危惧する人たちも少数ながらいます.もともとオハイオ州は,有害廃棄物の処理に関する法律(州法)が全米中もっとも緩い州のひとつであり,そのため,例えば規制が厳しいペンシルバニア州などから放射性廃棄物やその他の有害廃棄物がわざわざオハイオ州まで運ばれ,地下水脈に注入放棄されるそうです.こうした法環境において,シェールガスなどを採掘した場合の残土が新たな環境汚染を引き起こすと環境保護活動を続けている人たちは考えています.彼らによると,オバマ大統領も天然資源の採掘に対し,好意的な姿勢を示していて,彼が再選されても状況の改善は期待できないそうです.


*1) For Profit Higher Education: The Failure to Safeguard the Federal Investment and Ensure Student Success, フェニックス大学については,Part IIのApollo Group, Inc. (470,800 students, based in Phoenix, AZ)の項参照.

Friday, 2 November 2012

世界で最も美しい墓地巡り

万聖節/万霊節に因んだ話題.世界各地の美しい墓地の写真集です.2012年11月1日13:55付電子版L'EXPRESSより.

Thursday, 1 November 2012

Sandyの被害と復旧状況を表示するインタラクティブ地図

ハリケーン被害および現在のインフラの復旧状態などについての情報(英語)が表示されます.特定の地点についての情報を表示させるには,画面左上のテキストボックス("Genben Sie einen Standort ein")に当該の地名(例:New York)を入力し,Enter/Returnキーを押してください.

http://goo.gl/vG5

使用例.右側に表示される各項目にチェックを入れれば,その情報が表示されます.

ハロウィンの余韻 - カボチャのダースベーダーやR2-D2

電子版Spiegel誌上に紹介された変わったカボチャ提灯.どれも良く出来ていて,ここまで行くと芸術の域.

Nerdy Halloween: Die Kürbislaternen der Geeks

Wednesday, 31 October 2012

ARTE+7おすすめ番組 "ドナウ - ヨーロッパの青き動脈 (2/2)"

二回シリーズの第二回です.

Die Donau (2/2)(ドイツ語版)


(オーストリア, フランス, 2012年, 43分)
ARTE / ORF制作

視聴可能期間:2012年10月31日19:00より1週間

Tuesday, 30 October 2012

NZZが伝えるSandyの被害

スイスの新聞Neue Zürcher Zeitungに掲載されたオンラインアルバムです.

ハリケーン通過後のニューヨークのQueensの状況:
http://www.nzz.ch/aktuell/panorama/damm-in-new-jersey-gebrochen-1.17737032

ハリケーンによる被害:
http://www.nzz.ch/aktuell/panorama/damm-in-new-jersey-gebrochen-1.17737032#gallery:1-17735568

ハリケーン上陸直前の各地の状況:
http://www.nzz.ch/aktuell/panorama/damm-in-new-jersey-gebrochen-1.17737032#gallery:1-17734037

ニュージャージー州の原発の状況

10月30日午前8:02付電子版ル・モンドに掲載された記事Sandy : un réacteur nucléaire en alerte en raison de la montée des eauxによると,アメリカ本土北東に位置する原子力発電所は,いずれもSandyの影響による運転停止に至ることはなかったそうです.

ニュージャージー州は,今回のハリケーンの影響を最も激しく被った州のひとつですが,現地時間29日夕方に,Oyster Creekの原子炉について,付近の海水が上昇したため,警報が出されました. ただ,当該の原子炉は,Sandyとは関係なく,当時すでに停止状態にあったそうです.

また,Delaware川畔に位置し,ニュージャージー州の電力の50%を生み出している二基の原子炉Salem Unit 1およびHope Creekについては,Sandyがもたらす風雨がさらに激しさを増した場合の停止が検討されたようです.*1)


*1) Hope Creekの原子炉は,福島第一原子力発電所の原子炉と同じGE社製のMark I. (cf. Wikipedia, "Hope Creek Nuclear Generating Station") 


原発とは関係ありませんが,10月30日午前8:18付同紙の別の記事L'explosion d'un transformateur plonge Manhattan-Sud dans le noirによると,現地時間の29日の夕刻に一台の変圧器が爆発したため,Con Edison社は,安全のために電気の供給停止を決定し,そのため,マンハッタンの南の地区の一部が停電したそうです.

SNSに投稿されるSandyの偽写真

本日付けの仏ル・モンドのブログに以下のポストがありました.それによると,ハリケーンSandyの偽写真がtwitterやfacebookなどに投稿されているようです.

FAKE ALERT – Attention aux fausses photos de l’ouragan Sandy sur les réseaux sociaux

Buzzfeed,The Atlanticなどのサイトは,こうした偽写真のリストを掲載し,利用者に注意を促しています. なかには,それが偽写真であることが歴然としているものもあるようですが...

すでに10人を越える死者も報告されているわけですし,少々不謹慎ではと云いたくなります.

ARTE+7おすすめ番組 "ドナウ - ヨーロッパの青き動脈 (1/2)"

全長およそ3000km.ナポレオンによって,"ヨーロッパ河川の女王”と呼ばれたドナウ川の美しい風景を記録したドキュメンタリー.(二回シリーズの第一回)

(オーストリア,フランス,2012年,43分)
 ARTE/ORF制作

視聴可能期間:2012年10月29日19:00から1週間

Le Danube, l'artère bleue de l'Europe (1/2)(フランス語版)
Die Donau (1/2)(ドイツ語版)

Monday, 29 October 2012

Sandyの被害予測のインタラクティブ地図 Intractive map for Hurricane Sandy

台風の被害から逃れるために,ニューヨーク市では,すでに375万人にものぼる市民が避難したそうですね.被害が最小になるように祈るばかりです.

スイスの新聞Neue Zürcher Zeitung電子版にインタラクティブの台風被害予想図が掲載されています.ご参考迄に.(二枚掲載されているうちの下の地図の"Geben Sie einen Standort ein."というテキストボックスにNew Yorkというように具体的な地名を書き込んでリターンキーをおすと,その地域の地図が表示され,個々の赤い印にカーソルをあてると,その場所の想定される被害に関する情報(英語)が表示されます.また,地名を入れなくても,各地点の台風のマークにカーソルを合わせると,当該地点に関する情報が表示されます.その情報の吹き出しをクリックすると,さらに詳しい情報を見ることができます.

http://www.nzz.ch/aktuell/panorama/google-map-hurrikan-sandy-1.17731814#

オリジナルのGoogle Crisis Mapへのリンク

以下,2012年11月5日の追記です.ハリケーンが去ったので,この地図には,現在,被害状況や復旧状況,また気象情報等が表示されます.上記のリンクから表示される地図の右側の項目のうち,知りたい情報のチェックボックスをONにしてください.

第2回 ノルマンディー印象派フェスティバル

2010年に誕生したノルマンディー印象はフェスティバルですが,第一回では,主催者の予想を大幅に上回る100万人もの観客が訪れたそうです.二回目は,2013年4月27日から9月29日までの開催が予定されています.会場は,ルーアン,ル・アーブル,ジベルニー,シェルブール他多数の都市の美術館ほか.イベントも特別展にとどまらず,コンサートをはじめ,映画,朗読会,そして,プロ,アマ問わず参加できる写生会などと盛りだくさん.

詳しくは,こちらから.(英語/フランス語)

また,PDF版プレス用資料は,こちらから.(英語/フランス語)

なお,これに因んで先日,ARTEで印象派の画家たちの生涯を彼らの手紙からたどった番組が放送されましたが,残念ながら日本ではARTE+7を使っても視聴はできません.ヨーロッパにお住まいの場合,ARTE+7で視聴可能です.下のリンクをお使いください.

Sensation Impressionismus(ドイツ語版)

(フランス, 2010年, 52分,ARTE F;  2012年10月28日15時53分から1週間視聴可能.)

Sunday, 28 October 2012

ARTE+7おすすめ番組 "砂漠における太陽熱発電"


もし,世界に存在する砂漠の1%の面積に太陽熱発電の設備を設置できたら,全世界で消費される電力のすべてを賄うことができるといわれます.この発見がきっかけとなって,ローマクラブに所属するドイツ人メンバーにより,2009年,Desertecという財団が設立がされました.この財団は,シーメンス,ドイツ銀行を始めとするヨーロッパの代表的企業を束ねるDIIと呼ばれる共同企業体と関係を持ち,広い砂漠を有する中東や北アフリカの国々を,大規模な太陽発電施設の建設に協力してくれるように説得を続けています.番組は,こうしたDesertecの活動や技術者達の研究の模様をリポートします.すでに,モロッコにおいて,2014に運転開始が予定されている発電施設の建設が開始されました.こうした砂漠における発電施設の運転により,2050年には,これらの発電施設を所有する国々のすべての電力需要およびヨーロッパの電力需要の15%を賄うことが計画されています.

(ドイツ,2012年,60分)
北ドイツ放送制作

視聴可能期間:2012年10月23日より1週間

L'énergie du Sahara(フランス語版)
Strom aus der Wüste(ドイツ語版)

以上が,番組内容ですが,アルジェリアとスペイン,イタリアの間では天然ガスのパイプラインが稼働していますが,今後,サハラ砂漠で生産される電力がヨーロッパに供給されるようになると,ますます地中海世界の経済的な結びつきが強くなりそうです.が,その前にアルジェリアも含めて北アフリカのイスラム諸国の政治的安定が欲しいところです.それとも,こうした形で設備投資が増えることが,この地域の政治的安定に寄与するのでしょうか.

番組を視てみると,Desertecが取り組んでいるのは,北アフリカや中東の砂漠地帯における太陽熱発電所(Solar Thermic Plant)の建設でした.確かにこの方式だと,蓄熱が可能のため,昼夜連続しての発電が可能となります.この点では,天候に左右される風力発電や太陽光発電(Photovoltaic)に比べて有利です.しかし,太陽熱発電所の建設には,例えば風力発電施設等に比べて時間も費用もかかるため.経済成長が著しい北アフリカの急速に増加し続ける電力需要にオンタイムで応えられるのか疑問を持つ専門家もいます.このため,例えばドイツなどよりも強い風が吹くモロッコ等では,むしろコスト的に比較的安く,また建設期間も短い風力発電を推進した方が良いのではないかという声を聞かれます.太陽熱発電所を建設するにあたり,もうひとつのネックは,水です.太陽熱発電施設では,太陽光を集めるために多くの鏡が設置されます.砂漠のような場所では,すぐにそれらに埃が付いてしまい性能が低下するため,水を使っての清掃が不可欠です.このために必要とされる水量は,1日1平方メートルあたり25から40リットル.一年あたりに換算すると5000万リットルになります.ただでさえ,水が足りない砂漠において,これほどまでに多量の水を発電のために,しかもその一部を輸出するために使うことが果たして許されるのかということです.砂漠には,ほとんど雨が降らないため,水は,過去数百万年にわたって地中の空洞に蓄えられてきたものが使われます.そのため,多量に使用すると枯渇してしまう可能性があります.そして,気になる政治的安定性ですが,これまでに世界中で実行されたテロ攻撃といわれる行為において,エネルギー関連施設の標的となったケースは全体の4%以下だそうで,Desertecにいわせれば問題ないだろうとのことのようです.

いずれにせよ,Desertecの計画を実行に移すには,欧州連合やドイツ政府の資金面での援助が不可欠です.それらを獲得するため,Desertecは,様々な機会を使って政治家たちの説得を続けています.

Saturday, 27 October 2012

ローマ南京錠物語

先日のパリの芸術橋に引き続き,Love padlockの話題です.まずは,ヨーロッパ各地における,橋のフェンスにかけられた南京錠の様子を紹介するSPIEGEL誌のオンラインアルバムをご覧下さい.

オリジナルの記事は,こちら.先月12日付電子版の記事です.ローマ市当局が,ミルヴィオ橋(Ponte Milvio,上記オンラインアルバムの一枚目の写真)につけられた南京錠を撤去したがっているという内容です.この記事の伝えるところでは,元々,この橋に南京錠が掛けるという風習は,フェデリコ・モッキア(Federico Moccia)という作家の"Ho voglio di te"(2006年,英語版題名: "I want you")を読んだ人々によって始められ,後にそれが各地に広まったようです.

ローマ市当局は,数千にも及ぶ,これらの南京錠の撤去を決断した理由として,地域住民の86%がこの決断を歓迎するだろうからと云っていますが,この橋が位置する地域には,近い将来,娯楽施設が建設される予定で,撤去された南京錠は,市内の博物館で展示されることになるようです.そして,橋のそばに新たに南京錠をかけるための場所が設けられるとのこと.なお,南京錠の撤去後,ミルヴィオ橋は,新しくそれらがかけられるのを防ぐため,24時間体制で監視されることになります.

この風習の生みの親,作家のモッキアさんは,南京錠の撤去は,まったく馬鹿げていると云います.彼によると,そうすることにより,「ローマは,そこで生まれ,そこに留まるべきの《愛の橋の習わし》*1)をパリに譲り渡すことになってしまう」のだそうです.

ドイツでは,ケルンに架かるHohenzollenbrückenが南京錠の名所だそうです.ご参考迄にドイツ語でLove padlockは単純にLiebesschlüssel(複数形はLiebesschlösser).つまり,合鍵ならぬ愛鍵です.


*1) 原文では,"Tradition".

世界の鉄道シーン

Dampfnostalgie im Herzen Deutschland, Sachsen und Sachsen-Anhalt

保存鉄道や鉄道博物館は,ドイツ各地に存在しますが.ザクセン州およびザクセン–アンハルト州におけるこうした施設に特化したサイトがあります.

http://www.dampfnostalgie-deutschland.de/

そのなかでイベントを紹介するページをみると,ハロウィンやクリスマスの際に運行される蒸気列車があるようです.

特に目を引いたものは,以下のとおり.

  • 11月10日 Ins LausitzerRevier nach Schwarze Pumpe, mit 35*1) 1019
  • 12月08日 Nikolaus-Express zum 578. Striezelmarkt Dresden, mit 35 1019 über Senftenberg (ドレスデンの美しいクリスマスマーケットを訪ねるイベント列車)
以上,主催は,Cottbusのラウジッツ蒸気機関車クラブ(Lausitzer Dampflok Club) *2)
  •  12月01日 Mit 35 1097 zum Weimarer Weihnachtsmarkt  (ヴァイマールのクリスマスマーケットを訪ねる旅)
以上,主催は,GlauchauのIG Tradidionslokomotive 58 3047
  •  12月07日 Nikolaus-Express  (Eisenach - Erfurt - Saalfeld)  牽引機は,41*3)の可能性有り.
以上,主催は,ThüringenのBahn-Nostalgie inThüringen
もちろん,これ以外にも多数の蒸気列車の運行が,様々な団体により計画されています.ザクセンの美しい冬の風景を楽しみながら蒸気機関車の力強い走りを堪能するのも一興ですね.


*1) 1'C1' h2の普通旅客列車用テンダー機関車,  動輪直径1750mm, 最高速度110 km/h
*2) ラウジッツ蒸気機関車クラブは,今年,01 509や,35 1019及び03 1010の重連による蒸気列車の運行を実現させています.個人的に注目したいクラブです.
*3) 1'D1' h2の貨物列車用機関車.動輪直径1600mm.  最高速度70 km/h. 

フランケン小紀行 - ニュールンベルグの公共交通から見えたもの

ニュールンベルグでは,只今,生姜パンマーケット(Lebkuchenmarkt, Gingerbread Market)なる催しが開かれているそうです.(11月5日迄)  開催場所のDie Lorenzkirche am Wetterhäuschenには,生姜パンやホットチョコレートなどを売るブースのほか,実際に生姜パンを焼くことができる体験コーナーも設けられていて,ヘンデルとグレーテルのお話に登場するお菓子の家や魔女,そしてヘンデルやグレーテルの人形などが訪れる人を出迎えているとのこと.詳しくは,こちらから.(ドイツ語のみ)

ヘンデルとグレーテルの物語は,ドイツでは,よくクリスマスの時期にテレビで放送されますが,このたびは,時期的に少々早い登場のようです.そういえば,グリム兄弟の博物館がKasselにありますが,今年は,グリム兄弟が編集した"Kinder- Hausmärchen"が出版されてから200年ということで,それに因んだ特別な展示が行われているようです.詳しくは,こちらから.(ドイツ語のみ)

ところで,先日,ニュールンベルグを訪れた際,折角来たのだから,滞在中に少なくとも一回ぐらいは,土地の料理が味わえるレストランで夕食をとりたいものと,Bayern-online.deで見つけたLutzgartenというお店に行くことにしました.宿泊したホテルが市心から少し離れたところに位置していたため,バスや地下鉄を乗り継いで行ったのですが,着いてみるとこちらも町中から離れた静かな住宅街にありました.創業1705年ということで,どれほど古い造りの家なのだろうと,興味津々でドアを開け,入ってみると,確かに古そうではありましたが,ラジオから流れてくると思われるD-Popらしい音楽のためか,際立って古めかしいとう雰囲気はありませんでした.

表に立っている看板に書かれた今日のお薦め料理をひととおり眺め,ある程度的をしぼっていたのですが,結局,スターターとして,体が温まりそうな,カボチャのクリームスープ,メインには,牛肉のブラムとわさびのソースかけ,ジャガイモのソテー添えなる一品を注文.両方とも中々のお味で十分満足できました.

ヨーロッパにおいて,市中に出るのにバスか電車を使う必要があるホテルに泊まった場合は.もちろんですが,市中に位置しているホテルに滞在しても公共交通機関を使う機会はないわけではありません.例えば,上述したレストランに出かけるためには,ホテル前のバス停から乗ったバスでニュールンベルグ中央駅まで行き,そこで地下鉄に乗り換え,下車した駅からさらにバスに乗る必要がありました.ここで,気がついたのは,これらの公共交通機関の乗車券の仕組みです.日本なら,例えば,私が住んでいる横浜の場合,こうした経路で移動した場合,それぞれの交通機関を乗る際に乗車券を購入する必要があります.つまり,3枚の乗車券を購入する必要があるわけです.しかし,ニュールンベルグでは,たった一枚.最初のバスに乗る際,運転手に行き先,または移動範囲(この場合は,Stufe A)と片道か往復かを申告して購入した乗車券のみで,次に地下鉄,そして最後にまたバスと乗り継ぎ最終目的地迄行くことが出来るのです.これは,以前に訪れたウィーンや,ミュルーズでも同様で,考えてみれば,パリも同様のシステムです.ようするに市内や近郊へ移動する際に使える公共交通機関がすべて統一された運賃制度に従っているわけです. こうした仕組みは,我々外国人旅行者にとって実に便利です.ということは,もちろん地元の人たちにとってみても便利であることは論をまたないでしょう.おまけに,これらの乗車券は,ドイツ鉄道の駅の券売機,ニュールンベルグ市営地下鉄の駅の券売機,そして,市営バスの運転手のいずれからでも購入することができるのです.また,駅の券売機ではクレジットカードが使えることはもちろん,英語を始め,フランス語,スペイン語などヨーロッパの主要な言語で操作が可能です.まさにいたれりつくせり.さらに便利と感じたのは,これに加えて一日乗車券,二日乗車券といったお得な乗車券も多数用意されていること.以前,ルネサンス様式の荘厳なお城で有名なアシャッフェンブルグ(Aschaffenburg)*1)という町を訪れたとき,やはり町外れのホテルに宿泊しましたが,そこから町中へ出る際に乗ったバス内で乗車券を購入する際,片道を求めたのですが,今日中にここに戻るのであれば,一日乗車券を購入した方が得だからそちらを買いなさいと運転手さんからいわれ,一日乗車券を購入したことがありました.なお,念のために付け加えますと,私の知る限り,私鉄も,ほとんどの場合,こうした統一された運賃体系の中に組み入れられています.こうした,統合的な運賃制度のみならず,だれでもが利用しやすい車両やインフラ,そして,自動車の市内乗り入れ制限や公共貸自転車の提供なども含めた都市全体の交通システムは,利用者にとって便利であることはもちろん,環境保護においても好ましい効果をもたらすことは間違いなさそうです.*2)

マイン川畔に聳えるアシャフェンブルグの城.昨年の夏訪れた折に.

日本でも,例えば首都圏ではPASMO,SuicaといったICカード乗車券がJRや民鉄各社から提供されていて,どちらか一枚持っていれば,いちいち乗車券を購入することなく,電車やバスに乗ることができます.しかし,この仕組みは外国人観光客にとって,便利といえるものか,大いに疑問があります.まず,これらのICカードを購入する際には,数百円の保証金を払わなければなりませんし,チャージする手間もかかります.そして,払い戻しの手続きなどもわずわらしいものです.しかも,払い戻しの際,保証金はそのまま返金されますが,チャージ残額のうち210円は,払い戻し手数料として徴収されてしまいます.恐らく,ほとんどの外国人旅行者は,こうした,煩雑な手続きを必要とする乗車券を購入することはないとは思いますが,となると,やはり現行の運賃制度は,少なくともヨーロッパのものと比較した場合,外国人旅行者にとって極めて使い勝手が悪く,不親切といわざるを得ません.日本では,個々の利用者の利益より,個々の利益共同体がそれぞれの取り分をもれなく受け取ることが優先されてしまうという社会構造の顕著な例のひとつといえるでしょう.2012年から2013年へ向けての国別ブランド指標リポート*3)のなかで,日本は,観光の分野においてフランス(3位)やスイス(4位)を抜いて2位だったのに残念です.と申しますか,こうした状態でどうして2位になれるのだろうと首を傾げてしまいます.なお,日本において,ヨーロッパのような消費税の分野別税率の設定ができないのも,個々の利益共同体が,他の利益共同体に比べて不利益を被る制度には承服できないからであり,そうした主張を止揚することができる理念や制度を構築することが日本人にはできないからなのでしょう.

ニュールンベルグでも見かけた公共レンタルサイクル(Norisbike)のスタンド.夕食のため訪れたレストランからの帰り,バスから地下鉄に乗り換えた駅で.


*1)  ニュールンベルグは,ミッテル・フランケン郡(あるいは県)に属し,アシャフェンブルグは,ウンター・フランケンに属します.両方ともバイエルン州の都市です.なお,ドイツやスイスなどの地名で,ウンター,オーバーといった言葉が付される場合,ウンターは,その地方が,ある川の下流部に位置していることを,そして,オーバーは,同じく上流部に位置していることを意味します.フランケン地方の場合,マイン川部,あるいは下流部ということです.また,ニュールンベルグが属するミッテル・フランケンは,その中間部という意味です.(地図を見ると,下に位置していますが.) 
*2) 今年の9月24日付シュピーゲル誌の電子版"Deutschlands Luft wird besser"によると,1990年から2010年までの間に,ドイツにおける大気の汚染状況は飛躍的に改善したそうです.例えば,硫黄化合物は,91.5%,また,一酸化炭素は,73.1%減少しています.
*3) Country Brand Index (100%信頼できるものかどうか判りませんが,それなりの説得力があり,かなり参考になります.)

Friday, 26 October 2012

中国超特急世界新記録樹立!?

少し古い記事ですが,今年の9月20日付電子版シュピーゲル誌にChinesischer Hightech-Zug soll 604 km/h erreicht habenという記事が載っていました.「中国のハイテク列車が,604 km/hに到達した模様」といった意味ですね.

内容を要約しますと.

先日,ベルリンで開催されたInnotransで見られたトレンドは,「より軽量に,より効率的に,そしてより経済的に」でした.中国は,Innotransにおいて,新しいスピードテスト用車両の1/10の大きさのモデルを展示しましたが,この車両が,テスト走行で600 km/hを越える速度に到達したらしいのです.

CSR社製のこのCRH380ALという車両は,すでに,去年の12月に公開されていますが,このほど,Qingdao(青島)のテスト線で,非公式ながら,604 km/hという記録をマークしたとCSRは伝えています.6両から成るテスト編成の出力は22800 キロワットとのこと.

もっとも,専門家たちによると,通常の鉄道輸送において,360 km/hを越える速度は意味がないといいます.これ以上の高速走行では,空気抵抗および短距離の駅間におけるブレーキの使用がネックとなり*1),経営が成立しなくなってしまうからです.石油価格が上昇しがちな今,望まれる鉄道車両はというと,やはりエネルギー効率の高いものになります.すなわち,Innotransで示されたトレンドに沿った車両というわけです.

以上です.

なお,当該車両の写真は,オリジナルの記事に掲載されています.二種類の先頭車両があるようですが,両方ともどこかでみたようなデザインに思えます.右に写っているものは特に...


*1) エネルギー効率が悪くなるということでしょう.

Thursday, 25 October 2012

欧州鉄道車窓風景七選

一年程前の記事ですが,Landschaftskino im Zug: Europas schönste Bahnstreckenで紹介されていた車窓風景が美しいという路線です.

  1. Bergenbahn: Oslo - Bergen(ノルウェイ) (こちらも参考になります.Europe’s best train journey? また,鉄道ファンの方には, こちらもお薦めです.)
  2. Ferrovia delle Centovalli: Domodossola(イタリア) - Locarno(スイス)
  3. Mittenwaldbahn: Innsbruck(オーストリア) - Garmisch-Patenkirchen(ドイツ)
  4. Glacier Express: St. Moritz - Zermatt(スイス)
  5. Tendabahn: Turin(イタリア) - Nice(フランス)
  6. El Transcantabrico, La Robia:スペイン北部
  7. Bernina Express: Chur(スイス) - Tirano(イタリア)

スイスの鉄道写真集

    ジェームス・ボンドゆかりの自動車

    007シリーズ映画の誕生50周年の今年に因んで,24日付L'EXPRESS誌の電子版にジェームス・ボンドゆかりの自動車10台の写真が紹介されていました. 

    『James Bond : 101 voitures de légende』(ジェームス・ボンド:伝説の101台)という本が10月19日に発売されたそうで,そのなかで扱われている車のようです.

    http://www.lexpress.fr/diaporama/diapo-photo/culture/cinema/en-images-james-bond-007-dix-voitures-de-legendes_1172308.html

    オーストリアのインペリアル・トレイン

    オーストリアのインペリアル・トレインのサイトを覗いてみました.まさに絢爛豪華というか,どれも贅の限りをつくした車両ですね.今年は,まだ,次の3つのツアーが予定されているようです.

    1. Imperial Adria Express : 10月28日 - 11月1日 (ウィーン - Opatija-Matulj往復)
    2. Christmas Trip to Salzburg : 11月24日 (ウィーン - サルツブルク往復)
    3. Silvester Express : 12月31日 - 2013年1月1日 (ハイリゲンシュタット - ドナウブリュッケ - ウィーン)

    http://www.imperialtrain.com/

    ドイツ鉄道の新しいIC(InterCity:都市間急行)用車両ICx

    ベルリンで開かれた今年のInnotransで,ドイツ鉄道は,次世代のIC用車両ICxを公開しました.設計コンセプトは,「より経済的でより快適な車両」.

    ドイツ鉄道は,昨年,シーメンスに同系220編成を60億ユーロで注文していますが,1編成7両,座席数499のこれらの編成は,2016年末から,中には製造から40年を越えたものもあるICやEurocity用車両の後継として投入され,さらに,2019には,ICE 1およびICE 2が総座席数724の10両編成のICxによって置き換えられるとのことです. なお,ICxは,高速走行*1)は想定されておらず,最高速度は,246km/hです.

    各編成には,食堂とビュフェ(Bistro),家族用スペースのある車両が含まれ,さらに,現行のICEにはない自転車用スペースが設けられます.また,2等車には,各座席列に一つのコンセント,1等車では,各座席に一つのコンセントが配置されます.また,床には,乗客の誘導のための,飛行機と同様の照明が設置されます.そして,軽量化の結果,30%もの消費エネルギーの節約が実現しました.

    このほか,Innotransでは,104もの新車両が展示されたそうですが,その中には,ボンバルディア社のTraxx機関車,ワルシャワ市電用の新車両シーメンス社のMetro Inspiro,そして,ドイツ鉄道のディーゼル・ハイブリッド車両も含まれて,特に,このドイツ鉄道の車両は,1/4少ない燃料で走行可能です.

    ICxおよび記事の中で言及されている他の車両の写真については,オリジナルの記事をご覧下さい.


    *1) 現在運行中のICEファミリーの最新型ICE 3の最高速度は,交流システムでは330 km/h,直流システムでは220 km/h. (cf. Wikipedia, "ICE 3")

    Tuesday, 23 October 2012

    たまに使えるかもしれない旅行予約サイトetravel.ch

    etravel.chは,通信販売サイトeboutic.chの姉妹サイトで,どちらもスイスのサイトです.後者は利用したことはありますが,前者については,広告は購読していますが,今のところ,利用したことはありません.というのも,募集しているツアーで設定されているホテルが,高級すぎるため(少なくとも私にとってですが),多少値引きされても焼け石に水であり,一生利用することなどないだろうなと思ってしまうのです.それでも,よく眺めてみると,中にはつかえそうなツアーもありそうなことが判りました.

    例えば,現在募集中の,ヒルトンホテルで過ごすリヨンの週末という二泊三日のツアーですが,12月21日チェックインの設定で料金を確認すると,二名で514フラン(=44214円).料金には,二名分の朝食ニ回,同じく有名レストランでの夕食一回ほかが含まれており,ほんとうかどうか知りませんが,これは,正規の料金から816フラン(=70191円)値引きされた料金というコメントが表示されました.

    確かに,クリスマスムード一杯のリヨンの高級ホテルで,二泊三日,しかも高級レストランで夕食一回付きのツアーに一人ニ万円程度で参加できるというのは,がまんできる値段かも知れないと思ったりもしています.そのうえ,リヨン滞在中,すべての公共交通機関は乗り放題,しかもリヨンの美術館や博物館の入場券まで含まれているというのですから.結論から言って,旅行の途中にこういったパッケージツアーを含めるのもありなのかも知れません.

    2013年用ドイツ語圏の鉄道カレンダー

    GeraMondにオンラインで注文すると日本宛に発送してくれます.ただし,サイトはドイツ語のみです.(先日,知人が,日本から路面電車のカレンダーを注文しましたが,12日ほどで届いたようです.この方は愛媛県松山市にお住まいですから,首都圏まででしたら,10日程度で届きそうです.)

    また,オーストリア鉄道友の会発行の,絵はがきとしても使える小さなフォーマットのカレンダーも購入できそうです. http://www.vef.at/Kalender13/Kalender.htm なお,発注はウェブページ上のリンクから直接同会宛に電子メールで行います.(ドイツ語圏なので,英語で問題ないはずです.)  

    さらに,スイスの風景初め,氷河急行やベルニーナ急行のカレンダー(絵はがきフォーマット)の注文は,こちらから.(日本までの送料は,15フラン.50フランを越える注文の場合,送料は無料とのこと.)

    そして,スイスのレティカ鉄道のカレンダーは,同鉄道の通信販売のサイトから. (上記の氷河急行およびベルニーナ急行のカレンダーは,こちらでも購入可能です.なお,レティカ鉄道のサイトから注文する場合,日本迄の配送は,購入金額30フラン以上が条件となります.)

    以下,ドイツと英国のAmazonにおける検索結果へのリンクです.もちろん日本への配送は可能で,注文の仕方も日本のAmazon.co.jpと同じです.なお,フランスのAmazonでも,"calendrier chemin de fer"などと入力して検索してみましたが,あまり力を入れていないのか,これといったものは表示されませんでした.なお,ドイツ語圏のAmazonは,Amazon.deのみです.(Amazon.ch, Amazon.atと入力してもAmazon.deにリダイレクトされます.)

    Amazon.de: eisenbahn-kalender
    Amazon.co.uk: railway calendars 2013 

    蛇足になりますが,日本への配送は不可のようですが,ドイツ語圏に店舗を展開するWeltbild書店も鉄道カレンダーを豊富に取り揃えています.ドイツ語圏各国(ドイツ,スイス,オーストリア)にお住まいの方でしたら,それぞれの国においてオンライン購入が可能です.以下は,各国のWeldbildのサイトにおける検索結果へのリンクです.

    Weltbild.de
    Weltbild.ch
    Weltbild.at

    鉄道以外のモチーフですが,Eugen Strossのカレンダーもお薦めです.