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Saturday, 20 September 2014

スコットランド独立を巡る有名人17人の立場

スコットランド独立に賛成,反対の立場を示した英国の有名人が,写真付きでフランスの19日付電子版オブザーバーの"PHOTOS. Écosse indépendante : qui est pour ? Qui est contre ?"に紹介されていました.(コメントに"oui"が含まれている場合が独立に賛成,"non"の場合は反対です.)

EU加盟国内で独立を望む地域

スコットランドの独立を巡る住民投票は反対が賛成を上回る結果となりましたが,その前日,17日付のシュピーゲルの"Streben nach Unabhängigkeit: Europas Rebellen"にEUのメンバーの国内で独立を希望している主な地域を示す地図が掲載されていました.地図上の旗をクリックすると,ドイツ語ですが,その地域についてのデータや解説(Einwohner:人口;Anteil am ... BIP:国内総生産に占める当該地域の総生産の比率)が表示されます.(これを見ると,イタリアは殆ど北半分で,また,イタリア語圏でもあるオーストリアの南チロルでも独立を望む声が聞かれるようです.)

9月28日付電子版Focusの"Katalonier sollen im November überUnabhängigkeit abstimmen"によると,先日,スコットランドで独立の是非を問う住民投票が実施されましたが,次はスペインのカタルーニャ地方で,11月9日に同様の住民投票が予定されているそうです.スペイン政府は,違法として憲法裁判所へ提訴する意向です. カタルーニャの人口は750万人.スペインで最も経済的に豊かな地域なので,政府にとってみれば,その独立は,まさに死活問題になりかねません.

Monday, 19 May 2014

尚武の国,スイス...?(続きの続き) -  新型戦闘機購入の是非を問う国民投票の結果は

領土問題も無く,今のところ安定した中央西ヨーロッパのことなので,当然といえば当然といえるでしょうが,結果は反対が全体の53.4%占め,新しい戦闘機の購入は否決されました.各州ごとの結果はSFのこちらのページのインタラクティブのインフォ―グラフで確認できます.フランス語圏,イタリア語圏,そしてそれらに近いドイツ語圏で反対が多かったようです.(私が理解するスイス各地方の気質におおよそ沿った結果でした.)さらに詳しくお知りになりたい場合は,手っ取り早い方法として下のSFのTagesshauの動画をご覧いただくのがよろしいでしょう.(先ほど,気になったので視聴したところ,投票率は,平均55%だったそうです.)


国民一人一人が,こうした形で国防政策について自ら決定をを下すという姿勢は,世界でもあまり例がないと言えますが,その対極に位置しているのがこの極東の島国といえるでしょう.

そういえば,最近,スイスはやはり国民投票により最低賃金保障制度の開設を見送りました.(Cf. 5月16日付シュピーゲル"Schweiz entscheidet über höchsten Mindestlohn der Welt", "Mindestlohn-Initiative erleidet Schiffbruch" from SRF)

また,スイスはEUには加盟していませんが,シェンゲン条約の加盟国であり,最近,外国人労働者の入国制限を厳しくすることが国民投票で決定したため,労働力不足が懸念されています. (Cf. 2月9日付Swissinfo"Schweiz will Einwanderung bremsen")

こうしたスイスの折衷民主主義の実際の姿を見て思い出したのは,戦時中,小磯内閣が誕生する直前のある会議の席上における米内光政と若槻礼次郎の会話です.が,今,出先なもので詳しくは自宅に戻ってからご紹介させていただきます.

Friday, 18 April 2014

尚武の国,スイス...?(続き) -  新型戦闘機購入の是非を決定する国民投票まもなく実施

もちろん,日本では制度上,また国民性から絶対に起こりえないことですが,スイスとはこんな国です.もっとも,これこそが最も健全な民主主義の運用の仕方ではないだろうかとも思ったりもしています.

問題となっているのは,2011年に政府によって決定された21機のスウェーデンのSaab社製多目的戦闘機Gripen NG(Next Generation)の購入です.31億スイスフランにも及ぶ高価な買い物に国民の間からこの計画に対し多くの反対の声が上がり,国民投票に必要な5万人分の2倍である10万人分もの署名が集められたため,5月18日にその是非を巡って国民投票にかけられることになったのです.反対者側は,こんな小さな国の空域防衛には現在の装備(アメリカ製F-18 Hornet:30機;やや旧式のF-5タイガー:56機)で十分であり,Gripen NGを装備するとなると,購入費用の他にさらに多くの保守費用もかかるため,税金の無駄遣いに他ならないと主張しています.

以上,Die Press.comの2014年1月14日付"Schweiz: Volksabstimmung überGripen-Kampfjets”からでした.

なお,関連記事は,スイスの主要紙TagesAnzeigerに特集されています.また,同紙のサイト内でGripenというキーワードで検索しても見つけることができます.そして,反対者たちによって運営されているキャンペーンサイトはこちらです.

果たして国民投票の結果はどうなるか,個人的に注目しています.

そういえば,以前に行われた州民投票の結果を受けて,グラウビュンデン州の2022年の冬期オリンピックの開催地としての立候補を見送ることになったこともありました.(53%の州民が反対.Cf. Blickの2013年3月3日付"Graubünden sagt Nein zu Olympischen Winterspielen 2022")確かにグラウビュンデンには,スキーマラソンなど世界中から多数の参加者が集まる様々なウィンタースポーツのイベントがあるので,それで十分なのかもしれません.ようするに他者に頼るのが嫌いなのです,この国の人たちは.そして,重要なことは国民全員で決定する,つまり間接民主主義と直接民主主義の中間ともいえる折衷民主主義と呼ばれる統治方式を伝統的に保ち続けているのです.

比較の対象にするには,あまりにも差がありすぎますが,地政学的な思惑から,また地価を高騰させ,役人達が建設業者から多額の賄賂を受け取るための手段として冬期オリンピックを開催させたロシアとはまったく異なります.ソチでは,競技施設の他にも高層集合住宅等の建物が建設され,強制的に住居から立ち退かされた住民が多数います.(Cf. ARTEのソチオリンピック特集

Sunday, 18 August 2013

尚武の国,スイス...?

(このポストを公開した際,スイスが世界第2位の武器輸出国と誤った記載がありましたので当該の文章は削除させていただきました.実際は,12位です.Cf. "Arms industry" in Wikipedia.以上,お詫びして訂正致します.)

来月22日に予定されているスイスの国民投票について,最新の世論調査の結果がSwissinfo.chの記事"Obligatorische Wehrpflicht bleibt den Schweizern heilig"*1)
に紹介されていました.下に示されている一番上の円グラフは,国民皆兵制度廃止に対して賛成,反対のどちらに投票するかを訊ねた結果ですが,赤い部分が反対およびどちらかというと反対という回答の割合を示していて,合計で57%の人が廃止には反対票を投じる予定のようです.

Resultate 1. Abstimmungsbarometer gfs.bern/SRG  - via swissinfo.ch

スイスという国には不思議というか,面白いというか,ユニークなところが少なくありませんが(日本も向こうの人にすれば変わった国と思えるでしょうが*2),国民皆兵制度は特にドイツ語圏では文化の一部になっているというようなことを聞いたことがあります.(フランス語圏ではそれほどでもないそうです.)それにより友達の輪が広がるとか(国民同士の団結が強まる),兵役において昇進するなど優秀な成績を残すと勤務先の企業でも優遇されるとか...映画でも少々変わった兵士を題材にした"Soldat Läppli"というコメディーがありますが,いわば,チェコの『善良な兵士シュベイク』のスイス版です.日本にも故春風亭柳昇師匠の『与太郎戦記』がありますね.

最後に,誤解を避けるために付け加えますが,国民皆兵制度自体が不思議な制度ということではありませんので念のため.もっとも,以前,スイス人のある実業家の方から伺ったことですが,スイスが独立していられるのは経済的にうまく行っているからであって,もし経済がだめになれば,スイスは周辺の国に吸収されて消滅してしまうだろうと,その方をはじめ考えている人もいるようです.恐らく冗談まじりだったと思いますが.とはいっても,スイスというと軍事産業が盛んなことでも知られていますし,国民皆兵制度を始め,防衛政策もかなり実践的です.例えば,高速道路上で戦闘機が離着陸出来る区間があちこちに設定されていて,たまに当該区間が閉鎖され訓練が行われることもあります.その他,大規模な建物には必ず核シェルターの設置が義務づけられていますし,あちこちに人々が普段でも実弾をつかって訓練できるように射撃場が設置されています.

日本でも,先日の参議院選挙で,少なくとも投票に赴いた方の大半は国防軍なるもの(今の自衛隊と比べてどこがどう違うのかよくわかりませんが)の設置を希望しているようなのですが,国防に関してはスイスのような国を希望されているのでしょうか...ただ,軍事大国といえないこともないスイスですが,その一方で,最低年3週間の有給休暇もばっちりとります.*3)さらに,OECDの統計を見ると単位時間当たりの国内総生産もトップクラスです.ようするに労働効率が良いということですが,同じデータで下から数えたほうが早い日本の順位*4)を見るとき,ほんとうにスイスみたいになれるかなと首をひねってしまいます.さらに戦争遂行には用兵においてはもちろん,兵器開発および生産においても合理性が必要であることは論をまちませんが,先の戦争において結果としてその両方において合理性を欠いていたことが明らかになっています* 5)果たして,そうした合理性を今の日本人が身につけているかおおいに疑問です.さらに加えるならば,自国の存続のためのみならず,そのために自らの命を捧げて悔いる事のない崇高且つ普遍的な大義(建前だったとしても)と国民全体が付き従う事のできるリーダーも,少なくとも第二次世界大戦における連合国側を見る限り,勝利を目指して戦争を遂行するためにはあったほうがよさそうです.*6)連合国側が掲げた大義は,自由を守ることだったでしょうし,また,国民全体を団結させる指導力を持っていたのが,英国のW. チャーチル首相であり,米国のF. D. ルーズベルト大統領です.こうした要素が今の日本にあるでしょうか.最後にもうひとつ加えたいのが,透明性です.戦争の見通しや資源の備蓄などについて,日本の軍部は天皇にさえ真実を伝えませんでしたが,The Times(US)を始めアメリカのニュースメディアは戦死した兵士たちの写真を掲載し*7),また,ルーズベルト大統領も,参加した海兵隊員10000名のうち1/3が死傷したというタラワ島の戦闘の模様を撮影した死傷者の映像も含むニュースフィルムの上映を命じています.もちろん,結果的にこうした情報開示は,アメリカ国民の日本人に対する憎悪を増大させ(たちまち,"Death to the Japs!"の大合唱が巻き起こりました),同時に,早く戦争を終わらせなければならないという強い使命感も形成させ,それによって国民全体が団結し,戦争の早期終結へ向けて一丸となったことも事実であり,それがこれらのメディアを使う側の意図だったかもしれません.しかし,少なくとも国民は限られた形にせよ,真実を目にすることができ,自分たちが置かれた状況を知ることができたのでした.こうした透明性が,現在,多くの有権者が望んでいるという改訂憲法において担保されるでしょうか.

なお,国民投票の結果に興味をお持ちの方は,22日付のスイスの各ニュースサイトを閲覧されるか,あるいは,http://www.suedostschweiz.ch/multimediaなどで配信されるニュースなどを視聴されるとよいでしょう.*8)後者はグラルスのTV局で地元の言葉で放送されます.(アルプスの少女ハイジが話している言葉.)

このポストを一旦公開した後,ちらっとTages-Anzeigerのヘッドラインを見たら,国民皆兵制度廃止を望む団体の意見として,志願制のほうがより効率的な運用が可能であることが挙げられているという内容の記事が目につきました.*9)



*1) Written by Sonia Fenazzi, Swissinfo.ch
*2) 例えば,今年になってヨーロッパ(少なくとも仏独語圏)のニュースメディアは,日本の政治家たちの言動に関してやたらにたくさんの記事を載せましたが,ほとんどが第二次世界大戦中の日本が周辺国に対して行った非人間的行為を否定する発言や,ヨーロッパでは考えられないようなナチス礼賛についてのものでした.なお,「従軍慰安婦」は,英語では"Confort women"ですが,フランス語では,"Femmes de réconfort",そしてドイツ語では"Trostfrauen"(仏独語ともに複数形)と訳されています.こうしたキーワードでLe Monde(仏),Die Spiegel(独),NZZ(瑞)などのサイトで検索すると,はっきり言っておびただしい数の記事が表示されます.なお,Le Mondeなどのフランスのメディアで検索する場合は,femmes réconfort Japonなどと入れた方が結果が絞られるようです.気になるのが,従軍慰安婦についての記事では,ほぼ例外無く「20万人のアジア人女性が日本軍兵士のために強制売春させられた」というように,その数を20万としていることです.いずれにせよ,今や,ヨーロッパでは,日本は第二次世界大戦当時,従軍慰安婦としてアジア人女性20万人に兵員たちに対し強制売春をさせ,それを罪悪として認めていない(あるいは,認めたがらない)ということは,常識として定着したようです.日本人政治家の先生たちの確固とした信念から発せられた数々の言葉によって.(数字はともかく歴史的事実であることは確かですが.)
*3) 古いデータで恐縮ですが,例えば,こちらの2009年のデータでは,スイスの年間の有給休暇は20日となっています.日本は10日.そして,トップのフランスは30日.
*4) 日本の単位時間当たりの国民総生産の生産量は,OECD全加盟国の平均44.6USDより低く41.6USD.なお,一応日本も含まれるG7の平均は53.3USD.
*5) Cf. 例えば,内藤 初穂 著『海軍技術戦記』,東京,昭和51年,図書出版社など.また,最近では,中田 整一 編『真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田満津雄自叙伝』も戦争に挑む日本人の姿勢における非合理性について多くの示唆を含んでいます.
*6) 吉田 茂 著『鎮魂 戦艦大和』の中で言及されている兵学校卒の士官と短期現役士官たちの間の衝突の原因も後者が普遍的な大義を求めていたからだったといえるでしょう.古来,地縁血縁によって自然成立した共同体の中でのみ生きて来た日本人は普遍的な倫理という概念には慣れていないのですが,それは兵学校以外で高等教育を受けた若者たちが死を直前にして感じた実存的な疑問の素直な表明でした.伝統的に日本人にとっての善とは,自分が属する集団の存続,繁栄のために犠牲となることであり,それが家族より高位のレベルに対する場合は「忠」,親や家族の目上のものに対する場合は「孝」なのであって,それらの枠組みから離れての善,悪,あるいは,それらを超越する善,悪といった倫理概念はあまり発達しなかったのです.それが,*2)で述べたような政治家の発言を招いてしまっていると言えると思います.問題とされる発言をする政治家及び彼らを支持する人たちにとっては,国家という共同体に自らを犠牲として捧げたと認められる行為が善,逆の行為が悪という価値付けのみが可能なのです.言い換えれば,国家を超えた次元に於ける善,悪の価値付けには意味や必要性を見いだせないのです.しかし,一神教の啓示宗教の文化圏に属している西洋諸国にとって,所属する集団の利益,例えば国益も重要ですが,同時に人類共通の普遍的な価値を考慮することも重要なのです.そのため,ことさらに自国の戦死者のみを慰霊および崇敬の対象として祀り,日本の侵攻および支配によって被害を受けた周辺諸国の犠牲者について関心を示さない姿勢は,西洋諸国から奇妙と思われて不思議ではありません.

ルネサンス,宗教革命,啓蒙主義運動,市民革命といった一連のプロセスによって人権等の普遍的とされる倫理的価値を築いてきた西洋諸国に比べ,我が国においては,自らの出生によって自然に成立した家族やそれを含む村落という共同体の存続および繁栄のために無条件で尽くすことが唯一の倫理であり,その倫理に対して疑問を持つ事自体あまりなされてこなかったのみならず,時には疑問を持つ事がタブーとされてきました.そのため,自分が属する共同体を超えて存在し得る価値などが議論の対象となる契機が封じられてきたことも事実です.それはまた,ユダヤ教やキリスト教のように,万物の創造主である超越神による被造物である人間への普遍的な価値の啓示という経験を持たない私たちの限界とも言えるかもしれません.ところで,このように所属する集団への無条件の服従をひたすら教え込んだ我が国の歴史は,日本人の無責任と見える姿勢をも生み出しましたが,同時に彼らの運命主義的な姿勢をも培ったとも言えます
*7) The Three Americans in The Times, Sept. 20 1943.ニューギニアの海岸に横たわるアメリカ軍兵士の死体を撮影した写真が掲載されました.
*8) 先日,新しくなったSFのサイトですが,どういうわけか以前視聴出来たTagesshauが視聴できません.ファイルのダウンロードはできるのですが,面倒なので最近は上記の東南ドイツ放送のニュースを視聴しています.ご参考迄に,自宅の環境はMacとFirefoxなのですが,そのせいとも思えません. 
*9) «Eine Freiwilligenarmee ist leistungsfähiger» 8月15日付の記事ですが,すでにコメントが250以上も寄せられています.

Saturday, 1 December 2012

コロラド州ロングモント市,住民投票で水圧破砕によるシェールガス採掘に"No"

フランスの新聞Le Mondeの11月29日付電子版の記事"Graine de révolte au pays du gaz de schiste"によると,アメリカ大統領選挙が行われた11月6日には,アメリカ各地で住民投票が行われましたが,コロラド州ロングモント市(Longmont,人口8万)では,水圧破砕によるシェールガス採掘の禁止が住民投票にかけられました.結果は,59%対41%で,禁止と決定.

水圧破砕は,現在,シェールガスを採掘することができる唯一の方法ですが,岩盤を破砕するために高圧で地中に注入される多量に水に混ぜられた化学物質が地下水脈を汚染し,また,空中に多量のメタンガスをまき散らすため,フランスなどではすでに禁止されています.

ロングモント市では,複数のガス会社が,50万ドルの費用をかけてキャンペーンを行い,住民たちに対し,雇用の創出などの効果を掲げ,シェールガス採掘の禁止を住民投票にかけないように説得に務めましたが,彼らの目論みは失敗に終りました.

この結果を受けて,ガス会社は,取得済みの採掘権が侵害されるとして,法的な手続きをとる構えを見せています.また,ジョン・ヒッケンルーパー(John Hickenlooper)コロラド州知事も,採掘を管理する権限を持つのは州であり,ロングモント市を訴えると言っています.なお,同知事は,2010年の州知事選挙の際,ガス会社から76441ドルの寄付を受け取っていることが知られています.

ロングモント市における今回の住民投票は,2011年から始まった,シェールガス採掘の反対派の市民たちの活動の結果でした. 発端は,市内の中学校と水浴客で賑わう湖のそばで採掘が計画されたため,水圧破砕によるシェールガス採掘の環境への影響についてコロラド大学で研究が行われ,その結果,採掘現場から半径0.5マイル(805メートル)以内の住民は,基準値の5倍もの有害物質にさらされることが判明したことでした.その結果が,公開されるやいなや,たちまち8200もの署名が集まり,住民投票にかけられることになったのです.ロングモント市の住民投票の結果を受け,今や,雨後のタケノコのように採掘施設が建設されつつある近隣の地方自治体でも同様の動きが起こり始めています.

ところで,シェールガス採掘に対する反対の動きは,ロングモントに始まった訳ではありません.すでに,反対のキャンペーンのための映像が制作されており,例えば,Josh Foxは,ドキュメンタリー映画"GASLAND"のなかで,ペンシルバニア州ディモックにおいて,ガスの採掘が開始された後,水道から出る水が炎に包まれる様子を紹介しています.

また,マット・デイモンが主人公を演じる映画"Promised Land"も水圧破砕法の問題を描いています.



環境保護団体のSierra Clubなどは,2020年には,エネルギーにおける輸入依存からの脱却を政策目標に掲げるオバマ政権に対し,水圧破砕の実施について,より厳格な制限を設けるよう促して行くと言っています.

Wednesday, 7 November 2012

大統領選と同時に実施された住民投票 - 大麻,同性結婚,妊娠中絶

11月7日8:41付電子版Le Monde紙掲載のCannabis, mariage homosexuel, avortement : les autres scrutins clésより.

大統領選挙当日,全米27の州において172を下らない数の住民投票や公聴会が開かれました.そのうち,最初のおよそ10の住民投票において,同性結婚,嗜好品としての大麻の使用,そして妊娠中絶の公費負担が認められることになりました.

大麻. コロラド州とワシントン州は,嗜好品としての大麻の使用を認める最初の州となりました.住民投票の結果は,NBCによると,前者においては賛成が54%,反対は46%,後者においては賛成55%,反対45%だったそうです.

すでに米国の多くの州で,医療上の大麻の使用は認められていますが,嗜好品としての使用の許可に踏み切った州はありませんでした.進歩的といわれるオレゴン州にしても同様でした.一方,アーカンサス州とモンタナ州においては,医療におけるマリファナの使用の可否についての住民投票が実施され,前者では否決,後者では可決されました.

同性結婚.今回大統領に再選されたオバマ氏がすでに容認の姿勢を示していることは知られていますが,住民投票の結果メリーランド州が法的に同性結婚を認める7番目の州となりました. そして,予想によるとメイン州およびワシントン州も同様の結果となるだろうとみられています.

メリーランド州に加え,もし,これら二つの州が同様の決定をした場合,以下の,すでに合法化した6つの州を含む全米9つの州において同性結婚が法的に認められることになります. 同性結婚が,すでに合法化されているのは,コネチカット州,アイオア州,マサチューセッツ州,ニューハンプシャー州,バーモント州,ニューヨーク州,そして首都ワシントンです.もっとも,これらの6州が,同性結婚を認めたのは住民投票はなく,司法の判断によるものでした.

妊娠中絶.フロリダ州においては,相当数の保守的な提案が住民投票にかけられましたが,なかでも,強姦,近親相姦,母体に危険が及ぶ場合を除き,妊娠中絶の費用の公費負担を認めないとする提案が,55%の反対によって否決されました.

最後に,カリフォルニア州ですが, 今回,死刑の廃止とOGMを使用した食品のラベル表示の義務化の二つの提案が住民投票にかけられました.(この記事が公開された)水曜日の朝の時点では,これらの提案は否決される可能性が高いようです.