Friday 6 March 2015

'Meine Tochter Anne Franck' - 新たな視点から映像化された『アンネの日記』 

先月ARDで放送されたセミドキュメンタリー.(制作されたのは2014年.)アンネのクラスメート達や彼女の家族のことを知る人達の証言も含まれています.ところで,この番組を観たとき,興味深く思ったのは,挿入されていたアンネのお父さんオットー・フランク氏のインタビューの中で彼がフランス語で話していたことでした.ビジネスマンだったこともあり,様々な言葉をご存知だったのだと思います.ドキュメンタリーの中では,アンネ達の隠れ家をゲシュタポに密告した可能性があるとされる人々が登場しますが,果たして,そのうちの誰が密告したのかは未だに判ってはいません.ことによると,アンネたちのうちの誰かがふと窓辺に立って外を見下ろしたときなどに,偶然,外にいた人に見られてしまった可能性も指摘されています.
この作品を観て2002年に制作された『ホロコースト - アドルフ・ヒトラーの洗礼- 』という映画と主人公のクルト・ゲルシュタインのことを思い出しました.また,12歳以上という指定がされていますが,最後に骨と皮だけになったアンネたちと同年代と思われる女性たちの死体が埋葬溝の中に落とされるシーンが挿入されているので,日本で放送されることはないと思われます.(参考迄に,更に凄惨な収容所で亡くなった人達の実写映像が収録されている"Night Wall Fall"は15歳以上指定.何故,日本人は死体の実写映像を見るのを嫌うのでしょうか.未だに不思議でなりません.この国に多く存在する非言語の社会的タブーのひとつですが,ことによると死者を見るとその霊魂から恨みをかってしまい,それを見た人間に害がもたらされること,つまり祟りを恐れているからかも知れません.日本人の大半は,霊魂が不滅であると信じていって良いでしょう.そして,死者は自分の死体に対する他者の行為を認識できると考えています.そうした前提に立つならば,死体が衆目にさらされた場合,存在し続けるその霊魂(意識)が,自らが事実上のさらしもの状態とされていると認識し,怒りの感情を覚えたとしてもおかしくありません.というより,もし,通常の認識能力が残っていたら,それは当然の反応と云えます.あるいは,死者に憐憫の情を抱くと,その霊に取り付かれる,つまり憑依されるという考えも広く受け入れられていますが,それも死体を見たがらない理由のひとつかも知れません.いずれにせよ,こうした考えは,日本人の伝統的精神文化の中に位置する御霊信仰的信仰と云ってよいでしょう.中国の儒教の影響もあることも否定出来ませんが.)

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