Friday 13 March 2015

エボラ出血熱の次は麻疹 - 衛生状況の悪化が深刻化する西アフリカが直面する新たな脅威

助産婦が不足し,出産できない妊婦たち,受けるべき医療の提供者がいないマラリア患者,そしてワクチン接種を受けられない子供たち等々.西アフリカにおけるエボラ出血熱は,感染者を出した国の医療体制全体にも深刻な打撃を与えました.

現在,エボラ出血熱の患者数は,感染がもっとも広がったシエラレオネ,ギネアでは低水準で推移しており,リベリアでは,最後に感染が確認された患者が退院したことが報告されています.しかし,プリンストン大学のTakahasi Saki氏が率いる研究チームの調査によると,これらの3カ国における麻疹の感染者数はエボラ出血熱の発生以前に比べ,およそ10万人程増加したというのです.(127,000人から227,000人へ.)その結果,麻疹による死者数も5,000人程増加したとみられています.

麻疹はくしゃみからでも感染する感染力が非常に強い病気です.先進国においても1,000人の感染者のうち1人から3人が,この病気のために亡くなっています.同病による死亡率は,エボラ出血熱による被害がもっとも大きかった西アフリカ3カ国のように栄養状態が悪く,とくにビタミンAが不足している場合,麻疹に感染すると10人のうち1人が亡くなると世界保健機構は述べています.医療体制が破壊されたといっても過言でもないこれら3カ国で,現在,ワクチンの接種を受けられる子供の数は,以前に比べ75%も減少しています.

以上,3月12日付SPIEGELのFehlender Impfschutz: In Ebola-Gebieten droht schwere Masern-Epidemieからでした.なお,上記内容について詳しくは,Scienceのこちらの記事をごらんください.

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