Friday, 12 June 2009

経済危機に強い旧東ドイツ?

6月11日付『Le Monde』誌より

6月9日公表されたドイツ政府の報告によると、旧東ドイツに属していた州のほうが、他の州(旧西ドイツ諸州)よりも今回の世界的経済危機の影響が少ないことがわかったそうです。
例えば、2009年の第一四半期における加工業の業績について言えば、西側が-21.1%だったのに対し、東側は、-16.1%でした。そして、2009年の国内総生産の見通しも、西側の-6%に対し東側は-5%となっています。

もちろん、旧東ドイツ諸州の比較的好調な経済は、危機の影響を受けにくい環境技術や先端技術産業関連の企業が多く存在していることにも一因はあるでしょう。しかし、記事によると、むしろ旧東ドイツ諸州の構造的な問題が、皮肉にも今回の危機に対する抵抗力を与える結果になっているというのです。

具体的には、旧東ドイツ諸州は、旧西ドイツ諸州に比べ、工業の発展においてははるかに遅れをとっています。そして、存在する企業というと、大企業というよりは、むしろ中小企業が多く、それらの輸出依存度は極めて低いのです。

つまり、旧東ドイツ諸州の経済は、基本的に内需によって回っているということがその"強さ"の原因というわけです。ただ、当該地域の経済が、いまだに政府からの支援を受けていることも忘れてはいけません。

さらに、ベルリンの壁の崩壊から20年を経た今日でも、東側の国内総生産は、西側のそれの71%にしか及ばす、また、5月の失業率も13.2%と、西側の7%のほぼ2倍です。東側の失業率のさらなる増加を危惧する専門家たちもいます。そして、西側に比べ、もともと旧共産圏諸国とつながりの深い東側において、今後、前者における経済危機の影響を受けやすいということも指摘されています。

ドイツ政府は、その支援政策が期限を迎える2019年までには、旧東ドイツ諸州の経済水準が、西側諸州のうちそれが最も低い州の水準にまで引き上げられることを期待しているとのことです。

(「L'ex-Allemagne de l'Est résiste mieux à la crise que l'Ouest」より)

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