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Monday, 18 April 2016

イタリア.水圧破砕によるオフショアでのシェールガス/オイル採掘の可否を問う国民投票,低投票率のため無効

有効となるには有権者の50%の投票が必要ですが,今回は31%でした.

イタリア.シェールガスとオイルの水圧破砕採掘の可否を問う国民投票実施

Tuesday, 29 March 2016

アメリカ.水圧破砕法が原因の地震に襲われる700万人の住民

Sunday, 30 November 2014

サウジアラビア,イランに対し原油価格戦争開始

以下,Spiegelの11月28日付"Erzfeinde im Nahen Osten:Saudi-Arabien eröffnet Öl-Krieg gegen Iran"の要約です.

サウジアラビアにとって損をしない原油価格は年平均で85 USドル.しかし,現在の原油価格は72 ドルです. 普通なら,価格を上昇させるために減産を行うはずですが,今回はそれを見送りました.現時点でのサウジアラビアの外貨準備額は7,350億 ドル.(凡そアップル社の内部留保の4倍.)そのため,イラン,ロシア,そしてアメリカに対しても価格競争を挑む余裕があるというわけです.もちろん,サウジアラビアの不倶戴天の敵イランもそのことを十分に承知しています.

政治的にも,このふたつの国は,それぞれイエメン,レバノン,シリア,イラク,そしてバーレーンなどの国における影響力を強めようとしています.イランにおける原油による外貨収入は国家予算のほぼ70 %.ロハ二大統領は,2014年度の国家予算は100 ドル/バーレルのレートを想定して組んでいることを認めていましたが,現状の価格が続くと,1バーレル当たり少なくとも20 ドルほどの損失が生じてしまうことになります.このことは,核開発のために世界から被っている経済制裁と相まって,ますますイランの経済に深刻な打撃を与えてしまうでしょう.

サウジアラビアは,このほかにも自国内の少数派であるシーア派(対するイランはシーア派が多数派)の抵抗勢力の指導者Nimr al-Nimr氏を死刑に処しました.(実際は,逮捕の際に射殺.)このように,国内においてもシーア派に対する弾圧を強めるサウジアラビアについて,イランは,自らのアジア諸国への原油供給国としての地位をも危うくしていると批判しています.実際,今年の10月,サウジアラビアは,中国,インド,ベトナムなどに原油価格の値引きする意向を伝えています.

一方,ロシアについてですが,イランと異なりOPECには加盟していないこの国は,目下,原油価格の低迷の影響をもろに被っています.2014年のロシアの国家予算は,もちろん原油による外貨収入も見込んで立てられていますが,平均104 ドル/バーレルを想定しています.ということは,1バーレル当たりの原油価格が1 ドル下がるごとに,ロシアはおよそ20億 USドルを失うことになります.今年のロシアの国家負債は,こうした事情もあり60億から80億と推算されていますが,そうなると事実上ロシアは財政破綻したも同然となります.

さらに,アメリカとサウジアラビアによる原油価格の下落攻勢は,ロシアとイランによるシリアのアサド政権への援助を弱めさせる目的もあります.とはいえ,原油の低価格が長期に及ぶことはアメリカの望みではなさそうです.というのは,アメリカはフラッキングを用いたシェールオイルの採掘を進めていますが,この方法にはコストがかかります.政府の専門家は,シェールオイルで利益を得るには少なくとも80 ドル/バーレルのレートが必要と言っています.それでも得られる利益は僅かです.事実,フラッキングによるシェールガスの採掘は,中東におけるポンプ採掘に比較しておよそ4倍のコストがかかるのです.ということは,つまり,サウジアラビアによって低く抑えられている原油価格は,一応盟友であるアメリカとの関係にも良くない影響を及ぼしかねないというわけです.

関連記事:Wegbrechende Einnahmen: Ölpreis-Verfall würgt Russlands Wirtschaft ab in Spiegel

Tuesday, 22 April 2014

アメリカンナイトメア - フラッキングによる資源採掘が変えたウィリストンの住民の暮らし(ビデオ,ドイツ語)


多量のシェールガスや同オイルがフラッキングによって採掘されているアメリカのノースダコダの小さな町ウィリストン(Williston).住民たちの暮らしは,その影響を受け過去数年間で大きく変わりました.今や,ニューヨークよりも高いと言われる土地代の値上がり,犯罪の増加等.現代のゴールドラッシュがアメリカの一地方都市に及ぼした影響のシュピーゲルのビデオリポートです.

これを視ると,今や,ロシアへのエネルギー依存から自前のシェールガスやシェールオイルを採掘することで抜け出したいヨーロッパですが,フラッキングを用いることの環境への影響はもとより,採掘事業全体が地元住民の暮らしに及ぼす様々な影響を十分に考慮する必要がありそうです.Cf. NZZ4月18日付"Europas Energieabhängigkeit von Russland Zähflüssige Erdgasmärkte")現在,欧米,そしてもちろん日本でもより環境負荷の少ない採掘方法が研究されていますが,いずれも実用化までもう暫く時間がかかるようです.(例えば,フランス,ポー大学などで研究が進められているElectric Fracturingなど.)

なお,すでに昨年8月29日付シュピーゲルの"Massensterben seltener Fische: Fracking-Substanzen verschmutzen See”でも取り上げられていましたが,アメリカ政府によるフラッキング工法の環境への影響のリポートも公開されています.(特に,河川のpH度が上がったためと思われる絶滅危惧種も含む多数の魚の死などが報告されています.

ところで,以前のポストでもご紹介しましたが,アメリカのEIAの報告によると,中国にも多量のシェールガスや同オイルを埋蔵されていますが,Die Weltの2013年2月15日付"Fracking wird geopolitische Schicksalsfrage"は,もし中国がそれらを賢く用いるならば,現在のアジアにおける緊張は相当和らぐと見ています.もちろん,逆にそれらを用いて世界の覇権を目指す道を選ぶことも十分あり得ますが.ただ,懸念されるのは,もし中国が現行のフラッキング工法を用いた場合の環境汚染の悪化です.中国では,すでに水質汚染がしばしば問題となっているのはよく知られていますが,東南アジアの貴重な水源となっている大河川は殆ど全てが中国を経由しているため,それらが汚染されたら中国一国の問題に留まらずにアジア全体の生活環境の破壊を引き起こすことになります.(Cf. 本ブログの『水を巡るアジア危機』)

Sunday, 8 December 2013

世界最大の産油国になりつつあるアメリカのジレンマ

2012年11月13日付ポストでお伝えしたように,アメリカが,将来サウジアラビアやロシアを抜いて世界最大の産油国になる公算が大きくなりつつあるようです.そう報じたのはスイスの日刊紙11月12日付Neue Zürcher Zeitungの記事"Amerikanische Prärie vor saudischer Wüste"で,2008年から2012年の間にアメリカにおける産油量は30%増加しているというBP Statistical Review of World Energyのデータを紹介しています.同じ記事は,また,IEAの2020年にはアメリカはサウジアラビアを抜いて世界一の産油国となるという予測も伝えています.近年,このようにアメリカにおいて原油産出量が飛躍的に増大したのは,フラッキングによるシェールオイル採掘の技術が開発されたからですが,もしアメリカがエネルギーを自給できるようになれば,中東から原油を輸入する必要がなくなり,そうなればアラビア湾周辺に艦艇を派遣する必要なくなるだろうと多くの専門家はみています.つまり,アメリカのエネルギー安全保障にとって大きなプラスとなるわけです.(EIAの予測によると,2013年において天然ガスと石油を合わせれば,アメリカは世界最大のエネルギー産出国になるようです.)

しかし,問題がないわけではありません.ひとつは,フラッキングによる採掘には従来の採掘に比べ多額の費用がかかります.そのため,継続してシェールオイルを採掘するには,採算に見合う程度の原油価格が維持される必要があります.1970年代からアメリカでは原油の輸出が禁止されていますが,もし,こうした状況で多量のシェールオイルが北アメリカの市場に供給されれば,当然価格の下落を招き,新たな採掘は採算に見合わないということになってしまいます.もっとも,目下,ワシントンでは原油の輸出禁止を撤廃させるためのロビー活動が盛んに行われているそうですが.そして,もうひとつは,アメリカ各地で巻き起こっているフラッキングによる採掘に反対する市民たちの動きです.そうした動きが,最近ではカルフォルニア州などでも起きているようですが,(Cf. "In Kalifornien wird über Fracking gestritten", Neue Zürcher Zeitung, 2013/7/30)今後,どのような展開になるのか気になるところです.

なお,冒頭で紹介した記事には,1965年以降の国毎の原油生産量と消費量が示された地図が掲載されていますが,そこに世界の産油国と消費国のそれぞれトップ5が挙げられていました.以下にそれらの国を記します.


産油国:
  1. サウジアラビア
  2. ロシア
  3. アメリカ
  4. 中国
  5. カナダ
消費国:
  1. アメリカ
  2. 中国
  3. 日本
  4. インド
  5. ロシア

以上が記事の要約です.ところで,今や,アメリカを抜いて世界一の原油輸入国となった中国も,世界第三位の消費国日本も中東の原油に大きく依存する状況は今後も続くと思われますが,世界のエネルギー分野でのパワーバランスにおけるアメリカのこうした大きな変化は,関係がこじれにこじれている両国にどのような影響を及ぼすのでしょうか.仮に将来,アメリカが中東海域へ派遣する艦艇の規模を縮小,あるいは中止した場合,中国海軍の艦艇が海上交通路の防衛を行うようになるのか,それとも日本の自衛艦がその任に当たるのか,少なくとも両国がこの分野で協力し合うことは現状では考えにくいでしょう.もし仮に中国の軍事力が中東海域の安定を維持するようになった場合の日本はどのような行動をとるのか気になるところです.ただ,こうした状況は,特定秘密保護法に類する法律や規制の制定も含め日本の軍事力増強を目指す政治家や官僚たちにとってうってうけの口実を提供するでしょう.そして,もちろん原子力発電所再稼働を支持する人たちにも.本来,先進諸国としては際立って低い労働効率および生産効率を改善し,エネルギー消費を低く抑えることが何よりも先に取り組むべき課題だと思うのですが,こればかりは日本人が無意識に共有する農耕村落共同体的民族性あるいは本能が見えない障壁となっているため,ほぼ不可能といえそうです.

いずれにせよ,エネルギー輸出国に転換しうる可能性を持つアメリカは,TPPなどの経済連携協定の交渉において特に日本のようなエネルギー弱国に対する優位性を高めることは大いに考えられます.(何となく,上述のEIAのデータはそのために発表されたような感もなきにしもあらずですが.)

最後に,EIAのデータを基に作成されたこちらの地図を見ると中国も相当量のシェールガスを埋蔵しているようです.(各円グラフの中心部の濃い茶色は天然ガスの埋蔵量,周辺部の薄い茶色は(フラッキングによる)採掘が可能とされるシェールガスの埋蔵量です.単位は10億m3です.なお,この地図が掲載されているサイトはこちらです.)



関連ポスト:
- エネルギーを巡る話題二つ - フランス,中国,アメリカの進む方向(2013/10/13)
- コロラド州ロングモント市,住民投票で水圧破砕によるシェールガス採掘に"No"(2012/12/1)
- アメリカ,世界第一位のエネルギー資源輸出国へ(2012/11/13)