Saturday 7 February 2015

日本語の"スクールハラスメント"はフランス語の"Harcèlement à l'école"と同義語か

最近,日本のニュースメディアなどによって使われ始めた"スクールハラスメント"という言葉ですが,もし,それが教師による児童生徒に対する"いやがらせ","いじめ"を意味するものであれば,フランス語の"Harcèlement à l'école"とは必ずしも一致しません.後者は,どちらかというと日本で使われる"いじめ",つまり行為の主体と対象が児童生徒である事象を表す言葉とほぼ同義語です.もし,行為の主体が教師で対象が児童生徒の場合,もし性的なものであれば,"Abus sexuel d'enseignant sur ses élèves" (もし,フランスでこのような行為が発覚したらとんでもないことになりますが*1)),教職者の権威を使ったものであれば,"Abus d'autorité ..."といった表現になります.英語でも,"Harassment at school"というと,一般的には児童生徒間で発生する事象という印象を個人的には持っています.(Cf. L'OBSの記事: Harcèlement à l'école : 700.000 victimes et des mesures)

以下,日本においての"いじめ","ハラスメント"の使われ方についての所感です."いじめ"は,行為者と対象者がほぼ同一の社会的地位に置かれた集団に属している場合の"mobbing",または"bullying"の意味で多く用いられていて,個対集団のケースも多い.ハラスメントは,行為者と対象者が異なる社会的地位に置かれていて前者は後者に対して権威上優位に立っている場合に主に用いられていて,個対個のケースが一般的のようです.




*1) 例えば,15歳未満の児童への性的意図による接触は,暴力的なものでなくとも刑事罰の対象であり,最長10年の懲役および当時の金額で最高100万フランの罰金が課せられます.(1997年現在. Cf. Education Nationale : circulaires sur les violences sexuelles) その一方で,こうした厳しい刑事罰の対象である事から,教師などへの仕返しのために虚偽の訴えがなされる場合もあります.

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