Tuesday, 19 November 2013

CO2排出量,石炭消費の増大により過去最大

Global Carbon Projectが11月に19日に発表した計算によると,2012年に世界中で排出されたCO2の量は前年に比べ2.2%増加して350億トンでした.なお,この数字には森林破壊の影響が含まれていませんが,それを含めると390億トンになります.

2013年の排出量については,前年比で,過去10年の平均である2.7%より少ない2.1%としています.ただ,いずれにしても京都議定書における基準年の1990年に比べた場合,今年の排出量は61%の増加です.

ノルウェイの国際機構環境研究所のGlen Peters氏によると,最近のCO2の排出量の増加はとりわけ世界的な石炭の消費量増加によるもので,石炭の消費量は,再生可能エネルギーの普及が追いつかないペースで増加しつつあるそうです.では,石炭の消費によるCO2の排出量増加はどの程度かというと前年比2.8%.なお,ガスによるものは2.5%,そして石油によるものは1.2%です.また,CO2,メタン,窒素酸化物から構成される温室効果ガスにおけるCO2の割合は60%ですが,国際エネルギー機関によると,2011年に石炭を用いたエネルギー生産の際に排出されたCO2は,すべてのエネルギー生産の際に排出されるCO2の44%を占めており,石油によるものの35%,ガスによるものの20%を大幅に上回ったそうです.

石炭の消費によるCO2排出量の増加の割合が全世界の平均にを上回る国はというと,まずドイツが挙げられます.2012年におけるドイツのCO2排出量増加の割合は前年比1.8%ですが,石炭によるエネルギー生産では4.2%となっています.また,欧州連合全体ではCO2の排出量は1.3%減少しましたが,石炭によるエネルギー生産によるものは逆に3%増加しているのです.

次に,インドではCO2全体の増加率は7.7%でしたが,石炭によるエネルギー生産が排出するCO2は前年比10.2%と大幅に増加しています.さらに,生産されるエネルギーの68%が石炭起源の中国では,エネルギー生産にために消費される石炭が排出するCO2の増加率は6.4%でした.なお,CO2全体の増加率は5.9%でした.

これらの国々とは逆に,エネルギー生産におけるシェールガスの消費が増えつつある米国では石炭の消費が減少しつつあります.具体的には,全体のCO2の排出量は3.7%増加しましたが,石炭を用いたエネルギー生産によって排出される量は12%も少なくなっています.

ところで,一人当たりのCO2排出量ですが,中国でもヨーロッパでも同じで一人年間7トンだそうです.

以上,Le Mondeの11月19日付の記事"Les émissions de CO2 atteignent un record, tirées par le charbon"からでしたが,記事本文の下に気候変動の環境に及ぼす影響を示したインタラクティブ地図が掲載されていました.とても判り易く作られていて操作も簡単です.以下,地図の下に記載されている凡例の訳を挙げますが,個々の情報を地図上にプロットさせるには,当該のマーク(ボタン?)をクリックします.また,消すには同じマークをもう一度クリックします.

-  Zone de risque lié au changement climatique:気候変動による危険が及ぶ地域
-  Effets multiples et difficiles à mesurer:計測が難しい複合的な影響
  • Hausse des précipitations:降雨量の増加
  • Baisse des précipitations:降雨量の減少
  • Désertifivation:砂漠化
  • Acitivité cyclonique accrue:台風の活発化
  • Montée du niveau de la mer:海水面の上昇
  • Fonte du pergélisol:永久凍土の融解
  • Fonte des glaciers:氷河の融解
  • Dégradation des systèmes agricole:農業環境の劣化
  • Dégradation des ressources halieutiques:漁業資源の劣化
  • Dégradation des récifs coraliens:珊瑚礁の劣化

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