Wednesday, 31 July 2013

ほとんど飽和状態のヨーロッパの空の交通

7月30日付swissinfo.chの記事"Mehr Sicherheit und weniger Treibstoffverbrauch" によると,今や,ヨーロッパの航空路はほぼ飽和状態.欧州委員会は,今後10年ないし20年間に現在の交通量のおよそ50%の増加が見込まれていて,何の対応がなされない場合,カオス状態に陥ってしまうと危機感を強めています.

ヨーロッパの空の交通の安全を管理しているEurocontrolによると,現在, ヨーロッパ上空を飛行する航空機は毎日平均26,000機.そのうちの大半が,440ものヨーロッパの空港のいずれかから離陸,あるいはそれに着陸しているそうです.

それでは,今後増え続ける空の交通への対応策として何が必要かというと,現在,各国毎に行われている航空管制と飛行空域の一元化です.現在,EU域内の飛行空域は,100もの空域に分割され,60におよぶ各国の管制機関によって管制されています.そのため,たとえばチューリヒからブリュッセルへ向かう場合,パイロットは大きなカーブを描いて飛行しなければならないなど,各航空機は最短のコースを採ることができません.そのため,無駄な時間と燃料が消費されています.もし,ヨーロッパの航空管制と飛行空域を一元化できれば,直線の飛行コースを採ることが可能となり,その結果,欧州委員会に試算によると,平均で一回の飛行距離は42km短縮され,燃料もおよそ10%程度節約が可能になります.これにより,各航空会社では一年あたり50億ユーロもの経費削減が可能になり,それはまた利用客にも還元されることでしょう.

下の動画は,YouTubeに公開されているもので,24時間の世界の航空機の動きを1分に縮めて示しています.



これを書いたあと,ふと思ったのですが,日本の,特に関東の上空はアメリカ軍が制空権を握っているので民間機は勝手に飛行できないとのですが,そのために日本の民間機が強いられている経済的損失はさておき,もし横田基地にオスプレイが配備された場合,横田ラプコンと呼ばれるこの空域下に確かあったと思う天皇の墓(武蔵陵墓地)は大丈夫でしょうか.もっとも,万が一のことがあっても,今の日本とアメリカの関係は,実質的に大日本帝国憲法の第一条第三項の天皇という言葉をアメリカ合衆国に入れ替えて,それに従っているようなものでしょうから,何も変わらないでしょうが.しかし,その割には,政府も官庁も,何ら歴史的根拠のない神話を基にした紀元節を復活させたし,さらに,天皇の地位を,できるだけ昔の憲法で規定されているものに近づけるために憲法を変更しようとしているようですが...ところで,今日,8月1日はスイスの建国記念日です.少なくとも建国記念日については,スイスのほうが歴史的事実に基づいていて,日本のそれよりはるかにすっきりしているので,その点についてはスイスがうらやましく思えます.

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