Thursday 6 November 2014

中間選挙の結果を見て改めて思い知らされたアメリカのロビーの影響力

AdventageAgeというマーケッティングについての話題を扱うサイトがありますが,そこに2008年10月18日に掲載されたポストは,広告の専門家たちによる投票の結果,大統領選挙に勝利したオバマ氏がその年の最優秀マーケッターに選ばれたと伝えました.(2位のアップルの27.1%をはるかに上回る36.1%を獲得したそうです.)

簡単に言ってしまえば,広告の仕方がうまかったということでしょう.しかし,最近の世論調査でのオバマ大統領の不人気は増すばかりでした.フランスのニューオブザーバーの11月5日付の"Barack Obama ne fait plus rêver, pour 2 raisons : les lobbies et les lois du marketing"を書いたアメリカ文化研究の専門家Pierre Buerlainさんは,オバマ大統領の最初の勝利の理由として,大統領が,立場が異なる国民それぞれが自由に自らの夢や願いを投影出来る真っ白なキャンバスとして彼らの前に登場したことを挙げています.しかし,彼らが大統領に託した夢も願いも,所詮は幻想だったことを彼らは知らされます.オバマ氏は,決してすべての問題を一振りで解決出来る魔法の杖ではなかったというわけです.

大統領就任後,彼をがんじがらめにしたのは,連邦議会に集まる様々なロビーでした.代表的なものを挙げれば,全米ライフル協会(NRA),また,Big Pharmaと呼ばれるアメリカの大手製薬業者たち,そしてイスラエル寄りのロビーなどです.なお,このイスラエル寄りのロビーは,別にユダヤ系の人々のロビーではなく,基本的にキリスト教原理主義者たちによって構成されていて,彼らは,莫大な金額の寄付をキブツやその他の団体に対して行っています.

敢えて書く必要も無いと思いますが,全米ライフル協会は,当然,いかなる銃規制に反対の立場であり,オバマ大統領の銃規制強化に徹底的に反対しました.Big Pharmaは,健康保険制度改革に反対し,そして,イスラエル寄りのロビーの活動は,中東安定化の主要な疎外要因のひとつと言っても過言ではありません.彼らは,この世の終にキリストがすべての人を裁くために再臨すると信じていますが,その際,救われて新たな世界に住むことが許される人々は皆イスラエルに集められると信じていているので,イスラエルを脅かすいかなるものも,その存在を容認することはできないのです.

その他,オバマ大統領の手かせ足かせとなっているものに,軍事産業も挙げられます.皮肉なことに,大統領はノーベル平和賞を受賞した2009年10月に,アフガニスタンへの兵員の増派を行っていますが,戦況の悪化もさることながら,軍事産業からの圧力もその要因のひとつだったと言われています.さらに,殆どが大資本の参加にあるアメリカのメディアは,2009年に大統領が打ち出したアメリカ復興・再投資法にも一斉に批判的な姿勢を示したことも記憶に新しいところです.

このように各種圧力団体のしがらみの中で,今迄務めてきた大統領職ですが,今回の選挙結果を受け,まさに「大統領はつらいよ」といいたいオバマ氏なのではないでしょうか.

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