Tuesday 25 November 2014

世界で増加する死刑の執行

アムネスティ・インターナショナルによると,2013年における世界の死刑執行数は,前年比較で14%増加したそうです.特に多かったのは,イラン,イラクですが,インドネシア,クウェート,ナイジェリア,ベトナムでは数年振りに復活したとも伝えられています.特に驚いたのは,サウジアラビアにおいて3人の未成年(18歳未満)の犯罪者に対し死刑が執行されたことです.

なお,死刑大国とも言える中国については,死刑執行数が国家機密のため公表されておらず,アムネスティ・インターナショナルでは2009年以降,中国に於ける死刑執行数はリポートに含めていません.ただ,同団体は,2013年において中国だけで他のすべての国における執行数を上回る数千にも及ぶ数の死刑が執行された模様と伝えています.

また,南北中米大陸において,また,欧州安全保障協力機構のメンバーで唯一死刑制度を維持しているアメリカ合衆国ですが,過去数年における死刑執行数は減少しつつあるようです.死刑制度があるものの執行を行っていない州もあるようですが,アメリカ全体では,現在でも1週間におよそ1人に対して死刑が執行されているそうです.

以上,NZZの2014年3月27日付"Zahl der Hinrichtungen weltweit angestiegen"(インタラクティブグラフ付)からでしたが,日本も死刑制度を保有しているので,その点でもアメリカとは気が合うのかもしれません.もっとも,日本の場合は,ほとんどの人が霊魂の不滅を信じているので,亡くなっても意識は消滅せず,例えば殺された人は,その恨みを持ち続けている(御霊信仰)ので,それを確実にはらしてあげるには,殺した犯人を殺すのが最良の方法という暗黙のルールがその背景にあるからだと思うのですが,アメリカの場合は,どうなのかよくわかりません.

以上を書いてから,ふと"HONK (TO STOP EXECUTIONS)"というアメリカで死刑反対の視点に立って制作されたドキュメンタリー映画を思い出しました.検索にかけたところ,面白いことに在香港およびマカオのフランス総領事館のサイトでも紹介されていました.この映画を見る限り,アメリカにおいて,死刑制度を支持する人たちの考えとは,死刑に処せられる人は,社会に害を及ぼす,人間とは認められない存在なので世界から抹殺されるべきとのことのようです.ナチスのユダヤ人虐殺の理由と共通性があるように思える考えです.

それと,記事には,アムネスティー・インターナショナルによると中国では数千もの死刑が執行されていると書かれていましたが,数千人だろうと1人だろうと,法の名の下で国家により人間の命が奪われていることには変わりません.

No comments:

Post a Comment