Wednesday 11 February 2015

Daechと戦う人々 - ARTE+7より 

対Daech戦に参加しているクルドの人々の様子を記録したドキュメンタリー2本です.1本目は,宗教,思想の違いを越えて団結してDaechに包囲されたSinjarの町を開放しようと奮戦するクルドの人々を前線で取材したもの.Sinjarの町がDaechの包囲から開放されれば,Mossoulへの補給路が確保できます.なお,クルドの戦闘員の話によると,Daechはゲリラ戦に弱く,特に夜間の戦闘は苦手だそうです.2本目はトルコにおけるクルドの人々の歴史をまとめた番組.数年前までトルコは言うまでもなく,アメリカをはじめとする西側諸国からテロ集団と見なされていたクルド人の民兵組織PKKおよびその姉妹組織YPG,そしてPeshmergaは,今や対Daech戦におけるほぼ唯一の地上部隊であり,中東の未来の鍵を握る存在と言われるようになっています.(シリアで自治権を得たクルド人についてのリポートが,The Henry Jackson Societyによって公開されています.)



NHKには無理でしょうが,何故,日本のTV局はこうした番組を放送してくれないのでしょうか.将来参加する可能性のある戦闘の現実(具体的な戦術,武器,戦闘の展開等々)を知らないまま集団的自衛権の行使や憲法改定について議論をすることほど幼稚でナンセンスなことはありません.そういえば,1本目の番組の中で,YPGに参加してDaechと戦っている若いアメリカ人の男性(Jordan Matsonさん)が紹介されていました.Daechに参加しようとする人の気持ちは全く理解できませんが,クルドの民兵組織に加わり協力してDaechと戦う外国人の動機には共感できる部分が少なくありません.(でも,お薦めはしません.) Focusに掲載されたMatsonさんへのインタビューはこちら(ドイツ語).

番組と連動したARTEの特設サイトはこちらです.(ドイツ語ページ有り) 

ところで,どうしても腑に落ちないのは,Daechに協力し連中の外道働きに加わった日本人が再入国してもなんら刑事罰の対象とならないことです.確かに外国では,日本国の法律が及ばないのは理解出来るのですが,なんとかならないものでしょうか.Daechが行っていることは,その規模や残虐性においてオウム真理教が行ったテロ行為をはるかに上回っていると思うのですが.また,最近,小学生に日本人人質の遺体の画像を見せたことが問題となっていますが,確かにいきなり子供たちに見せるのは不適切とは思います.しかし,それにしても日本のテレビ局はあまりに現実を隠しすぎであるとも思うのです.ヨーロッパのテレビ局(例えばARTE)のように,ショックを与える可能性がある映像を含んでいる場合は,予めその旨を記した字幕を映して放送すればよいのではないでしょうか.

No comments:

Post a Comment