Saturday 14 July 2018

津波の遡上限界ライン上に位置した綾里の市杵島神社(いちきしまじんじゃ)

祭神は市杵島姫神です.(神仏習合説によると本地は弁財天.) 綾里白浜地区は,1933年の昭和三陸津波後,住宅はすべて高台に移築されていたため人的被害はなかったそうです.(Cf. 『高台に住居移転し被害ゼロ』, 2011年3月27日付河北新報)


綾里漁港

高台から漁港を見下ろす鳥居.津波を受けて倒壊したため,再建されました.

津波は,この坂を遡上し神社の縁の下まで到達しました.まさにギリギリセーフと言ったところ.

赤いマークは津波の高さではなく,到達地点を示すもの.

津波ボールと社殿

昭和63年製の賽銭箱.津波で流されたそうです.

神社の参道の坂から見下ろす綾里漁港.定置網漁が盛んだそうで,昔は,マグロもとれたとのこと.水揚げされた水産物は,大船渡の市場へ送られます.

白壁の建物が社務所

綾里駅前の津波注意喚起ボード.2007年に建てられたもの.

綾里駅舎内の柱に貼られた来年のラグビー大会のポスター.写っているのは,大船渡のウォーキングクラブの皆さん.今日は,綾里から恋し浜まで往復されたそうです.

本ブログ恒例となってしまった不思議なポスターシリーズ.駅舎内に掲示されていたものですが,'自衛官募集'とどういう関係があるのか,よく判りません.また,全体として何をテーマにしたものなのかも判りませんでした.(個別のテーマでは「シャツは浮くんです」の意味が,このポストを公開したあとに,ようやく判りました.おそらく,水の中に落ちても,シャツを着ていると浮くと言う意味だと思います.)
最近,市内の書店で購入した『2011.3.11 東日本大震災 津波被災前・後の記録 宮城・岩手・福島 航空写真集』(2012年,河北新報出版センター刊)を見て気づいたのは,岩手県は海岸線は長いものの,津波が内陸へ遡上した個所は,宮城県や福島県に比べて少なく,また,遡上距離も短く,さらに浸水面積も小さかったことを知りました.陸前高田などでは多大な被害が出たことは行く先々で伺いますが,上述した岩手県沿岸部における津波の動きと隣接県におけるそれらとの違いは,前者のリアス式海岸と呼ばれる地形によるものであることは言うまでもありません.もちろん,その地形が遡上する津波の高さやエネルギーを増幅させてしまうことも事実です.しかし,後ろがすぐ山であるということは,避難場所が近くにあることを意味します.(急峻な坂を登るのは,大変ですが.) このように,リアス式海岸は津波に対する自然の要塞にもなりうると言うことを知ったのも,こちらに来て,あちこち巡ったおかげでした.(特に,自転車をそのまま持ち込むことができる三陸鉄道のサイクルトレインには,いつも本当にお世話になっています.)

ところで,どことなくマルセイユ近郊の入江を思い出させる,この地方の沿岸部ですが,例えば,大船渡から海岸線に沿って宮古まで行く観光船があれば,是非乗りたいのですがと,こちらにお住いの方に言うと, 「お客が来ないだろうから,ビジネスとしてなりたたないので,そういう航路は存在しない.三陸鉄道ですら,利用者が少なくて困っているのだから...」などと言った答えが返ってきます.せっかく美しい風景があるのに,ほんとうに残念です.

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