うっかり位置情報をTwitterで配信してしまったイスラム国の《与太郎》協力者

『与太郎戦記』というと，故五代目春風亭柳昇師匠の名著ですが，1月1日付SPIEGELの"Terrormiliz "Islamischer Staat": IS-Unterstützer twittert seine Standortdaten"が伝えているのは，イスラム教徒の名をかたる殺戮集団イスラム国（こんな殺戮集団に《イスラム》という言葉をつけるのもいやなので以後ISと略記させていただきます．）に協力するニュージーランドのMark T.（スクリーン名）の間の抜けた所行です．カナダのテロリスムに関するブログiBravoによると，その男が数週間に亘ってTwitter上に位置情報を流し続けたため，それによってISの戦闘員の潜伏場所の位置情報，あるいは彼が戦闘地域の近くにいるということが全世界に漏れてしまったというのです．

iOSやAndroid-Appsが利用者の正確な位置情報を送信してしまうため，通常，Twitterでは位置情報の非送信がデフォルトの設定となっているのですが，この与太郎はそれを手動で送信の設定にした可能性があります．（Cf. "Mapping websites reveal just how stupid it is to geotag your tweets" in Wired）位置情報が含まれていれば，GeoSocialFootprintなどを使って，当該のtweetの発信場所を簡単に地図上にプロットすることができるのですから，少なくとも戦においてこれほど不思慮なことはありません．もちろん，FacebookやInstgramなどでも事情は同じで，これらのメディアにおいても，Geotaggingをすれば，発信者の位置情報は世界に知れ渡ってしまいます．

このことにようやく気づいたMark T．は，地団駄踏んで（私の勝手な空想ですが）くやしがり，それまでに送った45件のTweetを削除したそうです．ただ，iBravoを運営しているWeyers氏によると，それまでのMarkのTweetから，この与太郎がシリアのKafar Romaおよびath-Thauraに滞在したこと，さらに潜んでいた家まで特定できたそうです．こうしたソーシャルメディアに関する知識不足はMark T．に限ったことではなく，これまでにもカナダやフランス，さらに他の国からISの戦闘員となった人間の中にも同じ失敗をした与太郎戦士たちがいたようです．

素人探偵も含め，ISについて情報収集をしている人たちは，ISの協力者たちが公開する写真も分析の対象としていて，昨年の8月には，Eliot Higgins氏と彼のチームが分析した写真から得た情報によってISの訓練所の所在地を特定したと発表しています．(Cf. "Fotoanalyse:Blogger lokalisiert Terrorcamp via Internet" in SPIEGEL）