Wednesday, 4 December 2013

アメリカはもはや世界の警察である必要はない - 最新のアメリカの世論調査の結果

以下,SPIEGEL誌の12月3日付"Neue Studie:Amerikaner wollen nicht mehr Weltpolizei sein"の抄訳です.

Pew Research CenterとCouncil on Foreign Relationsによってアメリカ市民を対象とした世論調査が実施されましたが,その結果は以下のとおりです.なお,詳しい結果の分析はこちらからダウンロードできます.
  • アメリカは自国の問題を解決すべき
アメリカは自国の問題の処理に努力すべきで,他国の問題はその国自身で解決すべきという回答が52%でした.それに対して反対,つまりアメリカは引き続き他国の問題にも介入すべきであると回答したのは38%でした.この設問の回答にこれほど大きな開きが生じたのは50年来初めてのことです.もっとも,他国との密接な経済連携については賛成が77%にのぼり,グローバルな経済活動の枠組み作りはアメリカの国益に役立っているとしています.
  • アメリカの影響力は縮小
過半数である53%の人が,10年前に比べアメリカが世界で果たしている役割は小さくなったと感じています.この数字は2004年の調査結果に比べ2倍です.そして,70%の人が,アメリカに対する世界の評価は以前に比較して落ちていると感じていますが,これはG. W. ブッシュ大統領の任期中に記録したものとほぼ同じ数字です.
  • オバマ外交への不満
当初は,その外交力が評価されていたオバマ大統領ですが,56%の人が,大統領のシリア,イラン,あるいは中国などに対する外交政策に不満と回答しています.反対に支持を表明したのは34%でした.そして,アフガニスタンへの軍事介入については,それがアメリカの安全保障にとって益となったと考える人が全体の1/3以下でした.外交同様,内政に対しても不満を表明する人が多いですが,オバマ大統領の対テロ政策に関しては過半数のアメリカ人が評価しています.
  • NSAの活動は安全保障にとって有効
過半数には満ちませんが,39%の人がNSAの諜報活動がアメリカの安全保障にとって有効であると考えており,逆の考えを持っている人は14%でした.なお,38%の人からはどちらでもないとの回答でした.
以上が,記事の内容ですが,例えばエネルギー分野に関する限り,発掘による環境への影響はともかく,自国に有するシェールガスなどを使えば将来的には十分自給できるようになるでしょうから,国庫に莫大な負担を強いる中東海域の警備のための艦艇派遣する必要もなくなってゆくでしょう.そうなると,今や中東からの原油の輸入量でアメリカを抜いて世界一となった中国が,中東海域での警察官役をかって出るのかどうか気になるところです.いずれにせよ,日本人が持っているアメリカ=世界の警察という固い信仰はそろそろ見直したほうがよさそうです.

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