Monday 22 September 2014

人類が化石燃料を今後30年以上使い続けると,平均気温の上昇幅は2度以上に

そう警告するのは,Global Carbon Budgetの専門家たち.彼らによると,人類は産業革命以降,およそ2兆トンものCO2を排出してきたそうです.そして,現状のペースで化石燃料が使用され,その排出量が維持された場合,30年後には3.2兆トンに達しますが,この量を超えてしまうと,地球の平均気温は2度以上上昇してしまうというのです.そうさせないためには,今後30年間において,少なくとも5%の排出量の削減が必要とExeter大学のPierre Friedlingstein氏は述べています.しかし,専門家たちの報告によると,2014年の温室効果ガスの排出量は2.5%増加しています.また,昨年は360億トンと史上最高の排出量を記録しましたが,さらに,この数字に森林焼失による30億トンもの排出量が加わります.このように,その増加率自体も常に最高記録を更新し続けているのです.

なお,2013年の国別のCO2排出比率は,以下のとおりです.1位の中国は凡そ100億トン,2位のアメリカは凡そその半分,さらに,EU加盟28カ国は35億トンを排出しており,それにインドの排出量を加えると,これらの国だけで世界中で排出された温室効果ガスの凡そ半分を排出したことになります.

1. 中国 29%
2. アメリカ 15%
3. EU 10%
4. インド 7.1%
5. ロシア 5.3%
6. 日本 3.7%
7. ドイツ 2.2%
8. 韓国 1.8%
9. イラン 1.8%
10. サウジ・アラビア 1.5%

WMOは,その報告の中で,1990年から2013年の間に温室効果ガスによる放射強制力が34%増加したと述べています.そして,この先,何の対策も講じられない場合,今世紀末には産業革命当時に比べ地球の平均気温は4度上昇すると,IPCCは予測しています.そのため,現在,さまざまな対策が検討されていますが,決めてとなりそうなものはなかなか見つかりそうにありません.そのひとつ,バイオエネルギーは,食物の安全性や種の多様性保全の観点から問題が提起されていますし,CO2を地中に埋めるとしても,その方法が存在するかどうか,さらに海草類の肥料として用いるといったことも考えられているそうですが,海洋の生態系にどのような影響と及ぼすか,今のところ,全く判っていません.

こちらは,各国の温室効果ガスの排出による気温上昇への関与の比率(1枚目)やの国別累積排出量(2枚目)などを図示したインフォーグラフですが,4枚目の表には気温の上昇において特に責任があるとされる上位20カ国が示されており,表の右側は,もし,これらの国々の人口が同じであると仮定した場合の数値です.それをみると,日本は中国の2倍,そして英国,米国に至っては実に後者の10倍以上気温を上昇させているということになります.(これらのグラフを含むリポート(英語)は,IOPscienceのサイトのこちらに公開されています.)

以上,9月21日付電子版Spiegelの"Treibhausgas-Bilanz: Menschheit darf nur noch 30 Jahre Kohle, Öl und Gas nutzen"からでした.(関連記事:"Uno-Bericht: Klimawandel ändert unsere Welt grundlegend","200-Jahres-Bilanz: Forscher zeigen Rangliste der Klimasünder-Staaten"

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