前回は,最寄りの盛駅(大船渡線)からバスで「奇跡の一本松」停留所まで来たところ,付近の他の被災箇所を見るには徒歩では無理ということが判り,今回は,止むを得ず,自動車で訪れました.最初に訪れたのは気仙中学校.建物(遺構)が残されているのは,亡くなった方がいらっしゃらなかったからのようです.犠牲者が出た建物は取り壊されるということを聞いていると,この後に訪れた大船渡市立博物館の館員の方から伺いました.(「挙式控え犠牲、防災無線の職員追悼」6月10日付『河北新報』参照)
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津波の水位.犠牲者が出なかったことは本当に不幸中の幸いでした. |
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クラスルーム内部 |
地震が起きたのは午後2時46分.現在,お世話になっているプロパンガス店の担当の方は,当時,高校生だったそうですが,ちょうど部活を終えて三陸鉄道に乗って帰宅した直後のことだったそうです.クラスメートの中には,地震が発生したときに,列車に乗り合わせた方もいたとのことでした.なお,当時,運行中の三陸鉄道の列車が上下とも奇跡的に被害を免れた経緯は,『日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録』(2012年,新潮社刊)に詳しく描かれています.
気仙中学校から市立博物館へ行く途中,お昼ごはんを頂くために立ち寄った
陸前高田キャピタルホテル1000で海の幸を堪能した海鮮どんぶり.お目当てだった三陸産ホタテとわかめ膳は,現在,ホタテの入荷の目処がたたないそうで,メニューから外されていました.そちらのメニューは,次回の楽しみにしたいと思います.同ホテルでは,日帰り入浴プラン(11:00 - 16:00,昼食付,部屋での休憩含む)も1名5000円から提供されています.
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快く写真を撮らせてくださったレストランスタッフの方.ご多忙中,ご協力いただき有り難うございました. |
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ホテル外観 |
三陸のリアス地形の形成や地域を襲った地震と津波の被害の歴史を教えてくれる
大船渡市立博物館.館員の方のお話では,
三陸町吉浜地区は,高い所に住宅を建てるなど,過去の教訓に基づく街づくりをしていたため,2011年の大震災の際には,地区内において一人の犠牲者を出さなかったそうです.図書館へ行けば,資料があるので行かれたらいかがですかとのお勧めをいただきました.
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直近に経験した津波として記憶され,住民の方たちが将来の津波の被害を想定する上での基準となったチリ地震の津波による被害.3.11の津波は,それをはるかに上回るものでした. |
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近郊の碁石海岸の穴通磯(あなとおしいそ) |
今月の初旬に暫定的に移住した大船渡市ですが,知り合う方たちとする話は,どうしても地震や津波のことになってしまいます.ただ,いつも不思議に思うのは,当時,高校生だった方や,あるいはさらに年少だった方も含めて,皆さん,当時の体験を貴重なものと捉えていて,「普通ではできない経験をさせてもらった.」と,死の危険と直面したにも拘わらず,感謝の念すら覚えているように語られることです.震災直後,ボランティアとして被災地に赴いたフランス人の友人が,当時のことを思い出して「こんなことになったら,フランスでは暴動になる.」と被災された方々の秩序ある行動に驚いていましたが,「東北に暮らす人たちは,皆,(絶対に打ちのめされないと言う意味で,) résilientな人たちなんだよ.」と言ったら,納得していました.
早速,大船渡市立図書館からお借りした本.中央が,大船渡市立博物館の館員の方から推奨いただいた吉浜地区の震災記録『そのとき 私は...』,右は,後藤新平研究会 編著『震災復興 後藤新平の120』.後藤は,第二次世界大戦末期,軍部の暴走にブレーキをかけ,戦争を終結へと導いた米内光政と同じく盛岡出身の政治家で,米内提督同様,個人的に好きな人ですが,この二人に共通するのは,どちらもロシアびいきだったということ.なぜでしょう.その昔,生まれは江戸でも仙台藩に勤めていた工藤平助や林子平は南下しつつあるロシアに対して危機感を持っていたのですが... ところで,後藤が目指した東京は,ジョルジュ・オスマンが作り出した近代のパリのようなものだったのでしょうか.なお,個人的に後藤が好きな理由というと,彼が鉄道院総裁だったとき,当時の同院鉄道作業局工作課長島安二郎とともに国有鉄道の線路の標準軌化を計画したからです.ただ,その計画も同じ盛岡出身の原敬の我田引鉄政策により頓挫させられてしまいましたが.
上の写真は,これまでに見つけた陸前高田の加工食品.左から
八木澤商店の醤油(何にでも使えるオールマイティの「いわて丸むらさき」), 同じく牡蠣のアヒージョ,
神田葡萄園のロゼワイン.(地元産の魚介類を使ったブイヤベースに合いそうです.) 小冊子は,八木澤商店のカフェ(
奇跡の一本松店とアバッセたかた店)のメニューにも使われている
館ヶ森アーク牧場の八木澤商店の味噌入りソーセージの紹介.これを使ったホットドックに勝るホットドックは,100%横手牛(黒毛和牛)を使った横手のプレミアムバーガー同様,世界に存在するとは思えません.(地元の方には,あまり知られていないようですが.) なお,大船渡市では,日本鹿が増えて困っているそうですが,日本鹿は,アイルランドでは名物料理の材料(例えば,ダブリンの近くの
こちらのホテルのメインダイニング「鹿レストラン」の
メニューのメインディッシュをご覧ください)なので,鹿肉を使った加工食品を作ったらどうでしょう.と,大船渡市の提案受付係へメールで提案しましたが,大船渡では,食用としての鹿肉はあまり需要がないかもしれません.個人的には,鹿肉の料理は独特のコクがあり,好きなのですが.