お正月休みに,ビデオでも観ようと標記映画のDVDを借りて(と言っても宅配レンタル)観ました.初めて観たのは,もう数十年前でしたが,それからテレビ放映も含めて2, 3回観ていますが,史実に基づいたフィクションとして大好きな映画のひとつです.
理由は全編を貫くヒューマニズムですが,それと久々に観て思ったのは,この映画に出演することで多くの俳優さんたちが,あらためて戦争のリアリスムとも言えるものを再現する能力を習得できたのではないかということです.何しろ,オーディションの際にはキスカ会設立の発起人の1人近藤敏直さん(当時海軍キスカ島第51根拠地隊司令官付少尉.作品の中では土屋嘉男が好演)が選考に参加し,同会設立のもう1人の発起人小林亨元主計長(ロジスティックの責任者)と共に映画制作にもアドバイザーとして参加していたのですから.(かつての新東宝の『戦艦大和』などの戦争映画も現場に居合わせた元軍人(『戦艦大和』の場合は能村元副長)の教導を受けて制作されていたので,当時の雰囲気も充分再現できていたと思います.さらに『戦艦大和』の原作は,菊水作戦当時,短期現役士官として乗組員の1人だった元日銀の各地の支店長を務められた吉田満氏の『鎮魂 戦艦大和』.)
なお,オープニングクレジットには,作品の原作として,阿川弘之 著『米内光政』にも登場する千早正隆氏 著『太平洋戦争最大の奇跡』が挙げられていますが,上段で言及した近藤さんのお話によると.元第五警備陸軍軍医長小林新一郎さんが記した『霧の孤島』(非売品)に負うところが多かったようです.近藤さんもご自身で記録を綴られていたようですが,それをもとに小林さんの本の補填をお手伝いされたとのこと.また,やはりオープニングクレジットによると元第一水雷戦隊先任参謀有近六次さんの「手記」も参考文献として用いられたようです.
DVDに付録として収録されていた近藤氏のインタビューを聴いて,特に納得が行ったのは映画のなかで藤田進が演じた秋山司令官の,ややあきらめかかった態度でした.実際に,爆撃を受けながら本当に来るのか判らない撤収艦隊を兵員達に待たせる立場のつらさが,近藤氏の証言どおりに描かれていると感じました.
また,旗艦軽巡阿武隈の渋谷艦長役の田崎潤は,東宝で2年前に制作されたSF映画『海底軍艦』の主役とも言える万能戦艦轟天号の神宮寺艦長役を演じていますが,すでにその際に肘を張らない海軍式の敬礼をしていたので,さすがに当時の映画の演出はしっかりしていると感じたものです.そして,第51根拠地隊軍医長を演じた平田昭彦は.何といっても『ゴジラ』の芹沢博士役で有名ですが,陸軍幼年学校,同士官学校,そして東京大学の法学部へ進みデビュー前は三菱商事に勤めていたという未来の将校としての教育を受けていた俳優なので,適役だったと言えます.そして,巡洋艦木曽の艦長役の伊藤久哉は,その後も東宝のSF映画(『地球防衛軍』,1957年)などで軍人役などを好演します.なお,最後に,言う迄もありませんが,作品の中で大本営海軍部内で非情の作戦部長を演じた西村晃は,元特別攻撃隊員でした.
理由は全編を貫くヒューマニズムですが,それと久々に観て思ったのは,この映画に出演することで多くの俳優さんたちが,あらためて戦争のリアリスムとも言えるものを再現する能力を習得できたのではないかということです.何しろ,オーディションの際にはキスカ会設立の発起人の1人近藤敏直さん(当時海軍キスカ島第51根拠地隊司令官付少尉.作品の中では土屋嘉男が好演)が選考に参加し,同会設立のもう1人の発起人小林亨元主計長(ロジスティックの責任者)と共に映画制作にもアドバイザーとして参加していたのですから.(かつての新東宝の『戦艦大和』などの戦争映画も現場に居合わせた元軍人(『戦艦大和』の場合は能村元副長)の教導を受けて制作されていたので,当時の雰囲気も充分再現できていたと思います.さらに『戦艦大和』の原作は,菊水作戦当時,短期現役士官として乗組員の1人だった元日銀の各地の支店長を務められた吉田満氏の『鎮魂 戦艦大和』.)
なお,オープニングクレジットには,作品の原作として,阿川弘之 著『米内光政』にも登場する千早正隆氏 著『太平洋戦争最大の奇跡』が挙げられていますが,上段で言及した近藤さんのお話によると.元第五警備陸軍軍医長小林新一郎さんが記した『霧の孤島』(非売品)に負うところが多かったようです.近藤さんもご自身で記録を綴られていたようですが,それをもとに小林さんの本の補填をお手伝いされたとのこと.また,やはりオープニングクレジットによると元第一水雷戦隊先任参謀有近六次さんの「手記」も参考文献として用いられたようです.
DVDに付録として収録されていた近藤氏のインタビューを聴いて,特に納得が行ったのは映画のなかで藤田進が演じた秋山司令官の,ややあきらめかかった態度でした.実際に,爆撃を受けながら本当に来るのか判らない撤収艦隊を兵員達に待たせる立場のつらさが,近藤氏の証言どおりに描かれていると感じました.
また,旗艦軽巡阿武隈の渋谷艦長役の田崎潤は,東宝で2年前に制作されたSF映画『海底軍艦』の主役とも言える万能戦艦轟天号の神宮寺艦長役を演じていますが,すでにその際に肘を張らない海軍式の敬礼をしていたので,さすがに当時の映画の演出はしっかりしていると感じたものです.そして,第51根拠地隊軍医長を演じた平田昭彦は.何といっても『ゴジラ』の芹沢博士役で有名ですが,陸軍幼年学校,同士官学校,そして東京大学の法学部へ進みデビュー前は三菱商事に勤めていたという未来の将校としての教育を受けていた俳優なので,適役だったと言えます.そして,巡洋艦木曽の艦長役の伊藤久哉は,その後も東宝のSF映画(『地球防衛軍』,1957年)などで軍人役などを好演します.なお,最後に,言う迄もありませんが,作品の中で大本営海軍部内で非情の作戦部長を演じた西村晃は,元特別攻撃隊員でした.
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