Saturday, 31 December 2016

ユダヤ人を各地の最終処分場へ運んだ貨車と殆ど変わらない東急田園都市線の混雑状況

東急田園都市線のピーク時の乗車率を200%とすると8500系の中間車(デハ8700, デハ8800,サハ8900)の場合,一人当たりの占有床面積は172.9mm2(19300mm x 2580mm,座席を含む定員144名から算出),ナチスがユダヤ人達を虐殺目的でヨーロッパ各地の強制収容所へ搬送する際に用いられた貨車の中で一般的だったと思われるG10*1)の最悪の状況下でのそれは166.7mm2でした.(床面積25000mm2,1両当たりの定員は50人が想定されていましたが,最大で150人乗せられる場合があったと言うので後者を基に算出.*2))

つまり,東急田園都市線車両の混雑時に於ける乗客一人当たりの占有床面積とホロコーストトレインを構成していたViehwagen(家畜車)と呼ばれた貨車に於けるそれの差分は僅か6mm2でしかないのです.それも,後者に最も多くの人が乗せられた場合で... 

そんなことを知ると,ふとソ連の作家,アレクサンドル・ソルジェニーツィン氏の記録文学『収容所群島』の書名が頭に浮かびました.



*1) ドイツ帝国鉄道発足(1921年)前の同盟式表記によるA2形,後のUIC表記では571-1に含まれるタイプでドイツ帝国鉄道のGs形.イスラエルのネタニア記念公園などに保存車両が展示されています.
*2) WikipediaおよびGedenkstätten ForumおよびWikiwandの情報に依っています.
補記: ベルリンのドイツ技術博物館のユダヤ人搬送についての常設展示紹介のページはこちらです.独英並記のフライヤーのダウンロードはこちらから.

さて,私事ながら,そんな田園都市線のいわしの缶詰状態に身を置きつつ,産まれて初めての平日の東京通いで気づいたことと申しますか,ぼやきを述べさせて頂きますと,
仕事場のある虎ノ門には,あちこちにxxヒルズという名前がついた高いビルが林立しています.(持ち主の名前から森立と言いたいところですが.) ヒルズは小丘といった意味かと最初は思いましたが,むしろ人の生き血を吸うヒル(ズ)と解したほうがよりふさわしいのではないかと思うようになりました.店子達から高い賃料を吸い上げているようですから.おまけに私自身の仕事場も,某ビル(xxヒルズではありません)の26階に位置しているため,帰路の途中など,忘れものに気づき取りに行こうと引き返すとなると悲惨です.さらに想像をたくましくするならば,ご近所にアメリカ大使館があるので,もし北朝鮮からミサイルが飛んで来たら真っ先に巻き添えになるくちです.

通勤に使っている田園都市線の話に戻りますが,車内放送が気になって仕方がありません.例えば,僅か数分程度の遅れについてなぜ事情を説明したり謝ったりしなければならないのか,耳障りでしかたがありません.それと,特に奇妙に聞こえるのが,「閉まるドアにご注意ください」というアナウンス.発車の前にドアは閉まるのが当たり前であり,「閉まらないドアにご注意ください」なら判りますが,なぜ,そんなことを言うのか.ドイツ語圏の駅でも「ドアは自動的に閉まります.ご注意願います.("Achatung, die Türen schliessen automatisch!")」というアナウンスを耳にしますが,こちらは気になりません.なぜだろうと思案して気づいたことは以下のとおり.「閉まるドアにご注意下さい」の場合は,注意するという,英語やフランス語の文法で言えば他動詞の目的語がドアになっている.でも,「ドアが閉まります.ご注意下さい.」と言った場合,注意するという行為の目的語は,ドアではなくて,ドアが閉まることなので,ドアが閉まるから(危ないので)注意してくださいという意味になり,別におかしいことはないと... 言い方を換えると「向こうから飛んで来る矢に注意しなさい」と「向こうから矢が飛んで来るから注意しなさい」の違いと同じものかもしれません.矢は元々危険だから,それに対して注意をするのは言われなくても赤ちゃんでもない限りだれでも判ります.しかし,そもそも矢が飛んで来ることに気づいていないと,これは確かに注意してもらったほうがありがたい.そういうことなのかもしれません.

No comments:

Post a Comment