Daechとボコ・ハラムの関係

結論から言うと，今後は日本人もこれら2つのテロ集団から狙われる可能性が出てきたということです．1月12日付Le Figaroの«Boko Haram n'est plus une secte, mais un groupe insurrectionnel islamiste»に掲載されたイスラム研究の専門家Toulouse II大学のMathieu Guidère教授へのインタビューによると，２つのテロ集団は共通の思想基盤(カリファティズム)を持っており，少なくとも対立関係にはないようです．実際，昨年の7月にDaechの首領Baghdadiが勝手にカリフを設立したと宣言したとき，ボコ・ハラムの首領Schekhauは，前者に祝いの言葉を伝えています．そして，Schekhau自身もその2ヶ月後にナイジェリアの北東部の支配地域においてカリファの設立宣言を行っています．そして，ボコ・ハラムも，Daechと同様の拡大戦略を続けており，テロの手段も両者において同様です．

なお，ボコ・ハラムと欧米諸国，特にCIAの関係について解説している興味深い記事がありました．カナダのMondialisation.caというサイトで公開されたBoko Haram : le bras armé de l’Occident pour détruire le Nigéria et chasser la Chine du Golfe de Guinéeという記事で，Wikileaksが公開したアメリカ政府の内部文書などを引用して，欧米はBoko Haramを使って中国のギニア湾沿岸の産油国への進出を阻もうとしていると書かれていました．特にアメリカは，中国に国内総生産額のおける1位の座を奪われたくないので，何としても中国の資源確保を阻もうとしているなどとも．下は，同記事に掲載されていた米軍基地の所在国です．これらの基地はCIAの工作による政情の不安定化に乗じて建設されたと書かれています．そして，天然ガスも豊富に埋蔵しているナイジェリアが，将来的にサウジアラビアやカタールの化石燃料市場における支配下から抜け出すのを恐れる両国はボコ・ハラムに資金の提供国だそうです．(Mondialisation.caの英語のサイトでBoko Haramという言葉で検索しても似たような内容の記事が表示されます．ところで，このサイトを運営している団体から"Globalization of War"という本が間もなく発行されるそうですが，既刊書"Globalization of Poverty"と併せて送ってもらうように事前予約すると値引きしてもらえるようだったため，衝動的に予約してしまいました．いずれもアメリカこそが世界の諸悪の根源といった内容のようです．)