Monday 28 April 2014

観光客による損傷が進むマチュピチュの遺跡

毎日,多いときには4,000人もの観光客(大半が外国人)が訪れるペルーのマチュピチュの遺跡ですが, インカ時代には300人程度の住民しかいなかった標高2,400 mの古代都市の遺構が,こうした多くの観光客の訪問により損傷を受けつつあると4月1日付シュピーゲルの”Weltwunder in Gefahr"は伝えています.

公には毎日2,500人までしか入場は許されていないはずなのですが,その規制をくぐり抜ける様々な"抜け道"が存在しているため,実際には訪れる観光客は野放しの状態です.彼らの中には壁によじ上ったり,落書きをしたり,さらに,禁止されているノルディックウォーキング用のスティックを使う人も多くいます.単に大勢の人が歩き回るだけでも遺跡全体に深刻な影響があるのですが,土によって固められているだけの石壁もこうした行為によりすでに数カ所の破壊が確認されています.それらの石壁につけられた細かな傷が雨水を吸い込み,周囲の構造が不安定化したためです.

また,遺跡観光の玄関口であるマチュピチュプエブロの町は,山から流れ下る二本の川の合流点に位置しており,地元の言葉でHyacoと呼ばれる土石流の被害を度々受けています.最近の例としては2010年に発生したもので,線路や橋が破壊されために町は完全に外界から遮断され,下山出来なくなった観光客3,000人以上がヘリコプターにより救出されています.本来,このような地形に人が住むこと自体,非常に危険なことであり,それを避けるために賢明なインカの人々はマチュピチュの町を山の上に建設したのです.

2007年には,考古学者や環境保護団体の反対を押切る形でマチュピチュプエブロが面しているウルバンバ川に橋が架けられ,今では自動車で遺跡の近く迄行くことも可能です.また,遺跡周辺でも森林の伐採が進み,現状まま放置すれば,最悪の場合,プエブロの町もろとも遺跡そのものが地滑りなどによって崩壊する可能性も指摘されています.

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