Monday 10 August 2020

子供の目から見た第二次世界大戦を描くフランスのアニメーション作品"Les grandes Grandes Vacances"

1939年9月,パリからノルマンディーの祖父母の家にやってきたエルネスト(11歳)とコレット(6歳)の兄妹や転校先のクラスメートたちの目を通して見た第二次世界大戦を描いたFrance3のアニメシリーズ.フランスアニメの珠玉の一遍と言える作品.2015年4月20日から30日にかけて放送されました.(1シーズン,10エピソード)

IMDbでも8.9/10と,きわめて高い評価を得ています.(参考までに『風の谷のナウシカ』は,8.1,『千と千尋の神隠し』が,8.6.日本のアニメーションの中で最も高いユーザー評価を得ているのは,『進撃の巨人』で9.9です.)

全体としては,フィクションですが,小さなノンフィクションの集合体とも言える作品です.というのは,毎回,最後に1分間ほど,「本当のLes grandes Grandes Vacancesの子供たち」と題されたアニメーションが紹介されるのですが,それが,その回のエピソードのヒントとなっていることが知らされるからです.例えば,第7話で,クラスの中に1人,ユダヤ人の女子児童がいるのですが,ある朝,彼女は胸にユダヤ人を示す黄色い星をつけて登校してきます.その意味を知ったクラスメートたちは,憤慨し,次の日,全員が胸に黄色い星をつけて登校してくるのです.そして,本編の後に放送されるアニメーションでは,実際に,クラスメートたちが,そうした行動を採ったのを見た方の証言が紹介されています.ただ,彼らが胸につけた黄色い星には,それぞれがフランスのどの地方の出身であるかが書かれていたそうです.つまり,ブルターニュ人,ブルゴーニュ人と言った具合です. また,特に気に入ったセリフが,第5話の終わりにコレット(ナレーター)が語る次の言葉です.なお,第5話では,エルネストと地元の子供たちが結成したロビンソー同盟が,駐留中のあるドイツ軍兵士が住民から没収した食品などを密かに町の食品店に横流しして儲けていることを見つけ出し,ドイツ軍に通報するエピソードが描かれますが,ドイツ軍からその事実を突きつけられた食品店の主人は,エルネストの祖父母たちからも不法に得ていた利益を彼らに返します.それによって,兄妹はチョコレートなどを購入し,ドイツで捕虜生活を送る父へ送る小包に入れます.その後に語られるセリフです.
Nous étions tout de même heureux, mon frère Ernest et moi, d'avoir réussi à faire notre coli. L'espace d'un instant, nous nous étions sentis proches de notre père. Nous avions compris que nous pouvions surmonter n'importe quelle épreuve à condition d'y mettre tout notre coeur.
それでも(可愛がっていた豚がドイツ軍に没収されてしまっていた),エルネストと私は父へ送る小包をつくることができて嬉しかった.そして,ほんの少しの間だったけど,父のそばにいるように感じられて.私たちは,真心を持って立ち向かうならば,乗り越えられない試練などないことも知ったのでした.
最後になりますが,やはりFrance3から放送された"Un village français"の子供版と言ってよいのではないかと思います.

No comments:

Post a Comment